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私は留守番中 1

隣のご夫婦と私たち夫婦は、
子供が同級生ということもあり、たいへん仲がよかった。
休日のときは、よくお互いの家へ行き食事をしたり、
近くの公園に遊びに行ったりしていた。
しかし、奥さんが癌のため、35歳の若さで亡くなられた。
私たちは、子供とご主人[40]に元気を取り戻してもらうため、
よく食事に招きました。

子供はしばらくして元気を出したが、
ご主人のほうは、半年を過ぎても元気がありませんでした。

そこで私たちは、

「子供は、私たちが見ててあげますから、少し旅行でも行ってきたら。」
と提案をしたのです。

ご主人は、しばらく考え

「妻が一度行ってみたいと言っていた所があるんです。
奥さん、一緒に行ってもらえませんか。」

と言い出した。

妻[33]はびっくりし私の顔を見ていたが、
私は言い出した手前、

「子供たちは私が見ててあげるから、一緒に行って上げなさい」

と、言ってしまったのです。




そして先日、隣のご主人と妻が1泊2日の予定で、
京都から大原、鞍馬へと出発しました。

ホテルは、
「ご主人がわたしのためにスイートを取ってくれたの」
と、妻が言っていました。

私は、口にこそ出しませんでしたが、
妻はだいじょぶだろうか、ご主人は変なことをしないだろうか
心配でたまりませんでした。
そして夜、妻から電話がありました。

「あなた、変わったことない、子供たちは元気?」

「ああ、こちらはだいじょぶだ。そちらはどうだ。」

「ええ、今ホテルの部屋からなんですけれど、ものすごく広くて、
景色もすごく良いし、食事もよかったし、それにベッドも大きくて豪華なのよ。」

「こんな立派な所連れてきて貰ったの初めて。ご主人に感謝しなきゃね。
これからもサービスしなきゃ。」

「ええっ!、これからもってお前、もう何かしたのか!?」

私は受話器を握る手が震えだし、心臓が大きな音を出し、
額から汗が噴出し始めました。

「何言ってるのよ、帰ってからもおいしい料理をごちそうしなきゃねって言ってるのよ。」

「あっそうか、それにしてもご主人はどうだ。」

「ええ、今お風呂に入っているの、少しずつ元気になっているわ。」

「そうか、そりゃよかった、じゃあしたの帰りを待っているよ。」

私は、すぐにでも妻に会いたいと思った。
しかし、それはかなわない。
せめてこのまま何事もなく、帰ってきてほしいと思った。
しかし、妻からの返事は、意外なものだった。

「あなた、ご主人がね、もう1泊しないかって言うの。
明日もう少し足を伸ばして、琵琶湖を見に行かないかって言うの、良いでしょ!?」

「えっ、そんな・・・」

「そしたら、ご主人もっと、もっと元気になると思うの。」

私は、足が震えだしました。
でも、この旅行を言い出したのは私なんです。
隣のご夫婦とお付き合いをしてもう10年、
このままご主人が元気を出さなければ、
亡くなられた奥さんが浮かばれないと思い

「・・・ああ、良いよ、お前の良いようにしてあげなさい。」

といってしまったのです。

「ありがとう、ご主人喜ぶわ、じゃまた明日電話します。」

妻はそういって、すぐに電話を切ってしまった。
私は、受話器を置くと、その場に座り込んでしまいました。
妻はこれからどうするのだろう・・・。

ご主人は風呂に入っているといっていた。
追いかけて一緒に入るのだろうか、どんな格好で電話をしていたのだろうか、
下着姿、それともバスタオルを巻いて、まさか裸ではなかったのだろうか、
ベッドは大きいといっていたが、一人で寝るのだろうかそれとも二人で・・・。
私の眠れない夜が、始まろうとしていたのです。




妻[33]と隣のご主人[40]が旅行へ出かけ2日目となった。

昨日の夜は、ご主人が妻のために予約していた、
豪華なホテルのスイートルームに泊まっているはずだ。
妻からの電話では、こんな豪華な部屋に泊まるのは、
新婚旅行のときでもなかったと、言っていた。

あの時ご主人は、お風呂に入っているといっていた。
心なしか、エコーの聴いた鼻歌が聞こえていたように思う。
あのあと二人はどうしたのだろうか。
そんなことを考えながら、私は眠れぬ夜をすごした。
今でも頭がぼんやりしている。


そして今日変帰るはずの予定を、妻が一日伸ばしていいかと、
言ったこともひとつの原因になっている。
夜、また妻から電話があった。

「あなた、今、大津なの。琵琶湖がきれいよ。何か、変わった事ない?」

「ああ、こちらは子供たちも元気だ。ご主人はどうだ。かわったことないか。」

わたしは、そういうのが精一杯だった。
本当なら、だいじょうぶか、へんなことはされなかったか、
まさか、抱かれたんじゃないだろうな、どうなんだ。
そういいたかったのだが、言えるはずもなかった。

「ええ、ご主人は元気よ、昨日の夜は楽しかったし、でも私はちょっと疲れたわ。」

「疲れたって、お前まさか、ご主人と・・・」

「そう、夜にねえ、ご主人と二人で・・・ホテルの近くのディスコに行ったの。」

「あっ、そ、そうか、そりゃあよかった。」

「でもね、変なことに気づいたの。たいしたことじゃないんだけれど・・・」

「変なことって何だ!?」

「このホテルに来て、チェックインの時何気なく聞いていたんですれど、
前から予約してあったみたいなの。」

「前からっておまえ、昨日の夜1日伸ばしてもいいかって言うから・・・
そこに泊まるなんて予定にもなかったじゃないか!?」

「そうなの、だから・・・まあいいわ、今ご主人下に買い物に行っているの、
それにしても、景色がいいわよ。比叡山から琵琶湖大橋まで、一望できるのよ。」

「そうか、そりゃよかったな・・・」

私の心配をよそに妻は、ご機嫌な調子でした。

「じゃ、明日帰るんだな!?」

「ええ、その予定よ。」

「その予定って、お前・・・」

「冗談よ、明日帰ります。待ってて・・・」

そういって、妻の電話は切れた。
私は妻との話が終わり、安心したのかほっとして、
腰が抜けたようにその場に座り込んだ。

でも、また新たな心配が増えた。
帰るはずの3日目の夜になっても、
妻と隣のご主人は、帰ってこなかった。
そして、電話連絡もない。

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Good Job

続きをキボンヌ

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