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嫁の彩たんが寝てる間に -4-

西新宿の高層ビル街のベンチ。
俺は、脱力感と少しの興奮の中で、彩の話をじっと聞いていた。
その中で心は決まっていた。
彩と別れようと・・・・・
どうしても彩を許せない自分を消すことはできなかった。
研修旅行の最終日、空港で自由行動が1時間あり、誰にも内緒で彩と小林は一緒に行動した。
最後の10分、彩は思い切って小林にこれからどうするのかと聞いた。

「お前も彼氏がおるし、俺も前の彼女のことを引きずっている。
お前は東京やし、俺は大阪にもどらなあかん。お互い帰ったら、
もう一回将来のことを真剣に考えようや。そして1ヵ月後また会おう!」
小林はこう彩に答えたらしい。

再び西新宿の高層ビル街のベンチ。
長い沈黙の後、それをやぶったのは俺だった。
俺「これから、彩はどうしたいの?」
彩「どうしていいか分からないの。私にとってどっちも大事だから」
俺はそんな彩の言葉に少し腹が立ったが、冷静に言葉を選びながら話をした。
俺「彩の中では小林を受け入れた時点で結論はでているんだと思う。
これから小林とお付き合い始めるのかどうかは知らんけど、きちんと
俺とのケジメをつけて、がんばんな!」
泣き出す彩。
泣きたいのは俺のほうだった。でもここで泣くのは俺のプライドが許さなかった。

もっと取り乱すかもしれないと思っていたが、意外に冷静な俺がいた。
泣き止まない彩の手をとり、タクシーを拾った。
タクシーで自分のアパートまで、彩を連れて行った。
最後と思い部屋で彩を抱いた。最後の思いを彩にたたきつけた。
彩も最後と思ったのか、素直に俺のことを受け入れた。
最終電車に乗るため、最寄の駅まで彩を送っていった。
駅までの道、二人とも無言で歩いた。
最後に乗るときに彩が「また電話してもいい?」と聞いたが
俺は答えなかった。


彩と別れた次の日から、俺にとって地獄の日々が始まった。
女々しいのだが、彩から貰ったものなど思い出のあるものを見るたびに苦しくなった。
彩と寝たベッドもシーツ、布団カバーとも新しいものに変えた。
それでも、一人で部屋にいるときは彩のことを考えて苦しんだ。
友達に話をすると「時が解決してくれるよ!」と気軽に慰めてくれたが、
いったいどれくらい待てばいいんだよ!・・・・・と思った。

彩とは、その時期は時間帯がずれていたので、バイト先でもほとんど会うことが無かった。
一度、控え室で、帰るところの彩にばったり会った。
久しぶりに見る彩は前より可愛く見えた。
もう、その小さな唇もそのやわらかい胸も自分のものではないんだ。
そう思うと胸が苦しくなった。

俺「元気か?」
彩「うん」
この会話が俺の限界だった。

その日バイトが終わって、着替えているとポケットに手紙が入っていた。
彩からだ。内容はこんな感じだったと思う。

私の我儘でこんな別れ方になってしまってごめんなさい。
さっき、久しぶりに会ってうれしかった。
私、今でも〇〇君(俺)のことが好きです。
来週、大阪に行って来ます。
そして、自分の気持ちにケジメをつけるつもりです。
この前言えなかったけど、今まで本当にありがとう。

正直、腹が立ちました。
必死に気持ちの整理をつけようと苦しんでいる俺にこんな手紙を書くか。
「大阪へ行って来ます」
このフレーズがさらに俺を苦しめた。
何しに行くのか!小林に抱かれに行くのか!
もう、これ以上俺の気持ちを乱さないでくれ!



何日か経って、バイト先でスケジュール表を見てみると
3日間くらい彩のスケジュールが空欄になっていた。
マネージャーに軽く、「彩入ってないんだ?」と聞くと、
「なんか、大阪に旅行に行くから、その日は入れないで!と言ってたよ」
と教えてくれた。
やっぱり、大阪に行ったんだ。

彩が大阪へ行ったと聞いた日の夜、俺は悶々としていました。
目を閉じると会ってもいない小林の顔が浮かぶ。
ホテルの一室、抱き合う二人・・・・・
胸は苦しかったが、少しだけ興奮した。
彩が俺以外の男のものを口に含んでいる。
俺以外の男のものを受け入れている。
そう思うと興奮して、股間が熱くなったのを憶えている。
そのころから俺は寝取られフェチだったかもしれない。

それから5日くらい経って、バイト先で彩と会った。
バイト中だったので、言葉は交わさなかったが、なんとなく元気がなかった。
彩の俺を見る目が悲しそうな気がした。
何か一言でも話し掛けようと思ったが、言葉が見つからなかった。
大阪はどうだったんだろうか。
気にするまいと心の隅に追いやっていたことが嫌がおうにも気になりだした。

その夜、彩の短大の友人から電話があった。
その内容は以下のようなものだった。
大阪から戻ってから、彩はひどく落ち込んでいるらしい。
大阪で会った小林は、研修旅行のときの小林ではなかったらしい。
今、彩を慰められるのは〇〇君(俺)だけだから、彩に電話してあげて!

正直、ふざけるな!と思った。
小林からどのような仕打ちを受けたのかは知らんが、自業自得じゃん!
ここ1ヶ月の俺の苦しみに比べれば、彩の苦しみなんてたかが知れてる。

俺は「わかった」と言って電話を切ったが、掛けるつもりなんて
毛頭無かった。
小林に対する怒りもあった。俺の彩をたぶらかしやがって。
彩に対する怒りもあった。見る目なく小林みたいな男にだまされやがって。
怒りの次に悔しさが込み上げてきた。
そんな男のために俺は彩に「がんばれ!」なんてカッコいい言葉吐いて、
道を譲ってしまったのかと。


次の日、彩からの着信があったがでなかった。
なんて会話すればいいのかわからなかったから・・・・・
自分の気持ちがどうしたいのかも整理できていなかった。
愛しい気持ちと憎い気持ちが半々くらいだったかな。

2日後、バイト先で彩に会った。
彩は10時上がりで俺は9時入り12時上がりだった。
重なった1時間は忙しくて、目を合わす暇もなかった。
10時15分くらいになっても店は満員状態だったが、彩に
「××さん(彩のこと)上がってください!」と声を掛けた。
当時、バイト先では俺は夜間のキャップだった。

彩「私、まだ時間大丈夫だから、延長しますよ」
俺「ごめん、頼むね。11時までいい?」
彩「はい、了解です!」

こんな会話だったと思うが、久しぶりに彩と話した充実感があった。
11時になるとだいぶ客も引けたので、彩に上がってもらった。

俺「お疲れ様!今日はありがとね」
彩「お疲れ様でした。〇〇さん、ラストまで頑張ってくださいね」
俺「おう!」

俺は控え室へ向かう彩に何か声をかけたかったが、言葉にならなかった。
不思議と心が穏やかな自分を感じていた。
バイトが終わって、着替えていると上着のポケットに手紙が入っていた。
俺は手紙が入っていることを期待していたと思う。

彩からだった。

「バイトお疲れ様です。終電まで時間があるので、△△で待ってます」
△△は、前にバイト後に二人でよく行ったバーだ。
12時15分。彩の最終は12時50分だからまだ間に合う。
俺は△△まで走った。

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