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しおれ荘

しおれ荘という名のアパートは、栄一丁目という番地にあるにも関わらず、随分と寂れた佇まいだった。
トタンの屋根は錆びつき、所々が虫食いになっているし、六つある部屋の中には、窓ガラスさえ入っていない所もある。
住んでいるのは、男であれば職工かゴロツキ、女ならば盛り場で働いているような連中ばかりであった。
そんな環境ゆえか、このしおれ荘に住む一組の姉弟も、当たり前のように荒んだ生活を送っていた。

「忠雄、ちょっとタバコちょうだい」
「ん」
姉の春香に求められると、忠雄は咥えていたタバコをまわしてやった。
新品のやつは切らしていて、残っているのはもう、この吸いかけしかない。
「ありがと」
春香は一口、煙を吸うと、携帯電話に手を伸ばした。
メールをいくつか見て、二つ折りの携帯電話はパタンと閉じられる。

「あーあ、退屈」
今年、十八歳になる春香は、この台詞が口ぐせである。
そして、十六歳の忠雄は、
「退屈っていうなよ。ますます退屈にならあ」
と、言うのが口ぐせであった。

「何なら、春香さんも花札に加わりますか?」
そう言ったのは、忠雄の友人である。実は今日、天気が悪いせいで、建
設現場で働いている忠雄と、その友人が二人、この部屋に居る。
春香は夜の仕事なので、今の時間は在室が普通だった。

「花札、知らないもん」
「俺たちが教えてあげますよ」
「そうそう」
超がつくほど短いスカートで、足を崩して座っている春香の股間を、二人の友人は注視していた。
忠雄はそれに気づいていたが、あえて何も言わない。

「見てても、あんまり面白そうじゃないし、遠慮しとく」
春香は立ち上がり、隣の自室へ戻って行った。
このしおれ荘、元々は家族連れの入居を前提としているため、
六畳と四畳の和室、それに台所と風呂、トイレも設えられているので、
いささか古い事に目を瞑れば、案外、住みやすいと言えよう。

春香たち姉弟も、以前は父母と共に住んでいたが、
父は他所に女を、母も同じく勤め先で男を作り、ここを出て行っている。
それ以降は、姉がスナックで、弟は建設現場の日雇いで糊口をしのいでいた。

座布団の上には花札が置かれている。
親は忠雄で、ちょうど今、子の二人が、札をめくっている所だった。

「なあ、忠雄よ」
山という名の友人は、少し斜に構えながら呟いた。
「なんだ?」
「お前、だいぶん負けが込んでるけど、大丈夫か?」
「給料日には払うよ」
「博打の金は、その場払いが鉄則だぜ」

確かに忠雄にはツキが回っていないようだった。
負けた金額は一、二万程度だが、今はその持ち合わせが無い。
「忠雄さん、タバコ買いに行ってくれませんか?」
こう言ったのは、塩田という後輩である。
忠雄より数えで一つ年下だが、すでに悪の風格を備えた少年で、近辺でも不良で通った輩だった。

「タバコ?」
「切らしてるんでしょう?」
「ああ、そういえば・・・」
先ほど、姉にねだられて最後の一本をくれてやっていたのだ。
塩田の言う通り、タバコを吸いたければ、買いに行く他無い。

と、その時、奥の部屋にいた春香がこちらへやって来た。
そして、潤んだ瞳で言うのである。
「山崎君と塩田ちゃん。そんな、回りくどい事せずに、こっちへ来たら?」
先ほどと同じ、超がつくほど短いスカートから伸びる足が、誰の目にも眩い。
春香はその足を交互に組み、ことさら美しさを強調している。

「いいんですか、春香さん」
「忠雄のバカが、派手に負けてるんでしょう?どうせ、お金も無いんだろうし、あなたたちにも悪いじゃない」
「だってさ。行こうよ、山崎さん」
一応、お伺いを立ててみる山崎とは違い、塩田はその気十分である。

多少、やさぐれてはいるが、春香は目鼻筋の通った美しい少女で、
まだ十八歳。肌には染み一つなく、白く透き通っているし、胸も大きい。
そのくせ、腰がきゅっとくびれていて、スタイルの良さは見てすぐ分かるほどだ。
「さあ、山崎さん」
塩田に腕を捉まれると、
「悪いな、忠雄・・・」
と、山はバツの悪そうにしつつも、春香の部屋へ消えていった。

「くそっ」
一人、六畳間の方に残された忠雄は、落ちているタバコを拾い、火をつけた。
春香は二人を自室に招き入れる時、一瞬、こちらを見て微笑んだ。
愚かな弟を、笑う事で哀れんだのである。

勿論、その理由は博打の負けが込み、借りを作った忠雄にある。
姉は弟がこさえた借財を、彼女が持つ物で弁済するつもりなのだ。
すなわち、山と塩田の両名に、体を好きにさせるのである。

「俺、一番」
「馬鹿野郎。先輩の俺をさしおいて」
「どっちでもいいから、ケンカしないの。私は、どこへも行きはしないわ」
そんな声が隣室から聞こえてくると、忠雄の心臓が早鐘のように鳴り始める。

そして気がつけば、部屋を仕切る穴の開いた襖へにじり寄り、姉と友人たちの様子を覗き見るのであった。

「あーん・・・」
安物のベッドの上に、春香が押さえつけられている。
上半身には塩田、下半身には山がそれぞれ張りつき、懸命に服を脱がそうとしていた。
「ああ、春香さんの胸、めちゃくちゃ柔らかい」
塩田が体ごと被さるようにして、春香の乳房を揉んでいる。
ブラジャーはしているものの、カップごと柔らかな肉を掬われているので、
その様は淫猥極まりない。

「ちょっと、恥ずかしいじゃないの」
「これから、もっと恥ずかしいことをするんだから、これぐらいは我慢して
よ。それより・・・」
そう言いながら、塩田はズボンのチャックを下ろすと、
中から少年らしからぬ大ぶりな肉塊を取り出した。
「わあ、大きい」
目を丸くする春香。実際、塩田の物は相当な逸物と言えた。

「しゃぶってよ、春香さん」
「いいわよ・・・」
春香は身を返し、這うような格好で塩田の肉棒を咥え込んだ。
頬を窄め、鼻を鳴らしながら、肉の凶器とも言える物を、さも愛しげにしゃぶるのである。

「馬鹿野郎、塩田。始めにフェラさせたら、キスが出来なくなるだろうが」
山が怒ると、
「だって、俺、しゃぶってもらうの好きなんですもん」
塩田は悪びれもせず、春香の髪を掴み、ゆっくりと腰を動かすのである。

「ちっ、じゃあ、俺は、下半身を責める事にするか」
先ほどから目が釘付けになっていた、ミニスカート越しのむっちりとした尻。
山はそこへ頬擦りをしながら、純白パンティを食い込ませる尻の割れ目へ手を這わせていく。

「ン、ンン~ッ!」
「山崎さん、春香さんが何か言ってますよ。もっとも、俺のチンポで言葉が出ないようですが」
「気持ち良いって言ってるんだろう。ホラ、お前もぼうっとしてないで、おっぱいを揉むんだ」
「了解」

塩田は肉棒を咥えさせたまま、四つん這いになった春香の乳房を下から揉んだ。
着ているシャツを捲り上げ、ブラジャーはホックだけを外し、
カップが緩んだ事で出来た隙間から手を差し込み、乳首を捻り上げる。
「ン!ンンッ!」
春香が身悶えると、塩田は口元を歪め、山と顔を見合わせて笑った。
「乳首が、敏感なようですね」
「もっと、派手にやれ。俺もやる」
「へへ、チンポしゃぶりも良い按配だし、たまんねえな」

塩田は腰を突き出し、もっとしゃぶれと春香に命じつつ、乳首を千切らんばかりに弄ぶ。
そして山は、パンティを太ももの辺りまで下ろし、
むせ返るような牝臭を放つ春香の女肉へ、かぶりつくのであった。

(ちくしょう、あいつら・・・)
春香を中心に、二匹の青獣がやりたい放題の状態だった。
だが、忠雄はそれを一人、蚊帳の外から眺め、地団駄を踏んでいるしかない。
元々の原因が己にあるからだ。

「春香さんのここ、魚系の臭いだな。こんなに可愛くても、やっぱりマンコはくせえもんだ」
「そんなに臭うんです?」
「ああ。だが、チンポにビンビン来る臭いだぜ・・・」

山は親指で陰核をこねるようにし、人差し指と中指を肉穴の中へずぶりとねじ込んでいる。
また、空いた手で丸い桃尻の真ん中にあるすぼまりを、円を描くようにマッサージしていた。
すると、暴力的な扱いを受け、身悶えていた春香に、何やら怪しげな空気がまとわりつく。

「フーン・・・」
いまだ、塩田の肉棒を咥え込んでいる為に、くぐもった声しか出せないが、
乞うような眼差しで、彼女が何を欲しているのかが分かる。
また、それを証明するように、春香の肉穴からは濁った粘液が垂れはじめているのだ。
「いい濡れ具合だ。今、ここに入れたら、たまらんだろうな」
「山崎さん、先にいってください。俺、フェラで一発、出しときます。
春香さんに、俺の精液、飲ませたいし」
「よし、じゃあ、いかせてもらおうか」

山がズボンを脱ぎ、肉棒を取り出した。
これも、十代の少年のものとは思えぬほど、逞しい物である。
「覚悟するんだ、春香さん」
そう言うと、春香はちょっとだけ切ない眼差しを山に向けた。
そして、次の瞬間、
「ン─────ッ・・・」
濡れそぼった肉穴が、山の肉棒によって串刺しにされたのである。

「へへ、ずっぽりいきやがった」
春香の腰を掴み、山は根元まで一気に肉棒を突き込んだ。
今までさんざん悪戯されて解れきった肉穴は、何の抗いも無くそれを呑み込んでいる。

「体がビクビクしてらあ。でも春香さん、おしゃぶりはちゃんとしてますよ」
「チンポ好きなんだろうな」
「だったら、しっかりご馳走してやりましょう。山崎さん」
「分かってる。見てろ」
山は一旦、突き入れた肉棒をゆっくりと引き抜き、雁首の所で止めた。
そして、また根元までずぶりと突き入れ、次第にその動きを小刻みに、かつ早めていった。

「ンッ、ンッ、ンッ・・・」
春香は出し入れされる動きに合わせ、低いため息を漏らす。
犬のように這い、唇と肉穴で二人の男を喜ばせるその姿は、
あさましいとしか言い様がない。
「ああ、やべえ・・・俺、いきそう」
塩田が腰砕けになり、息を荒げ始めた。
おまけに無意識に尻の穴を締め、子種を放出する準備を整えている。絶頂が近いらしい。

「いいじゃねえか、飲ませてやれよ」
「春香さん、悪いけど、飲んでくれよ・・・ああ、で、出る・・・」
塩田は春香の頭に手を当て、スパートをかける。
そして次の瞬間、肉棒から大量に放たれた精液を、春香は音を立てて飲むのであった。
「ン・・・ふうッ・・・ああ、凄くたくさん出したのね・・・それに、濃いわ」
あらかた精液を飲み干した後、春香は肉棒から唇を離し、青臭さを噛み締める。
目を細め、唇を舌で舐めるその仕草は、淫女そのものであった。

「こっちの方も忘れるなよ」
「ああ・・・忘れようにも、忘れられる訳ないわ・・・」
三浅一深を心得た山の腰使いに、春香はうっとりと頬を緩めている。
一、二の三、一、二の三・・・そのリズムを重ねられるほど、
男は──そして、女も楽しくなってくるのは、自然な事であった。

「うッ・・・ああッ!あッ、あッ、あッ・・・」
「春香さん、喜んでますね」
「俺と、どっちが先にイクかな?塩田、ちょっと賭けないか」
「いいですよ。俺は、山崎さんが先にイクのに賭けます。大一枚」
「ふふふ、いいだろう。その賭け、乗った。悪いが、一万円いただくぜ」

春香の体を使った賭けで盛り上がる青獣たち。
その様を、忠雄は相変わらず襖の向こうから覗いている。
ただし、いつの間にか下半身を露呈させ、屹立した肉棒を激しく擦っていた。
(姉ちゃんが・・・ちくしょう!)
姉があんな目に遭っているというのに、この弟は助けにも行かず、
自慰をしているのだ。それは、世界一、惨めで滑稽な姿だった。

「い、いきそう・・・」
悩ましく腰を捻って、春香は天井を仰いだ。髪を振り乱し、今も悠々と肉棒
を突き込む山に流し目をくれて、とどめを刺してくれと乞うのである。
「中出しでいいか、春香さん」
「どこでもいいから・・・いかせて・・・もう少しなの」
今の春香は、矢をつがえた弓の状態にある。
キリキリと力を蓄えた弦が、矢を放つ瞬間が、絶頂である。
もちろん、射手は山だ。

「悪いが塩田、お聞きの通りだ。賭けは俺の勝ちだな」
「ちぇッ。春香さん、もうちょっと頑張ってくれなきゃ」
塩田がむくれ顔になった時、春香の背が反った。そして、「い、いくッ!」
と、叫びながら、激しく体を痙攣させたのである。

(姉ちゃん!)
この時、襖の向こうで忠雄も同時に果てていた。
青獣二匹ほどのモノではないが、それなりの大きさの肉棒を擦り続け、達したのである。
先端から白濁液を漏らしたそれは、姉の中で思いを果たした山崎達とは異なり、
惨めな不発弾とでもいうべき状況だった。

「おお・・・春香さんの締まって・・うう、全部出すぞッ」
感極まった山も、春香の胎内で射精を開始した。
まるで暴れ馬に跨るように春香の腰を掴み、必死の形相で肉棒から子種を放出する。
二度、三度と激しい戦慄きが肉棒を通り過ぎると、塊のような濃い目の精液が肉穴の中を目指して突き進んでいった。

「ああッ!出てるのが分かる・・・妊娠しちゃうわ」
「ふふ。俺のガキを孕んでも、知らないぜ」
山は肉棒を絞り込むように腰を振り続け、射精を終えた。
一滴すら残さんとする、凄まじい行為だった。
「ふうーッ・・・」
春香がベッドに寝転び、大の字になった。
その両脇を、山と塩田がそれぞれ、川の字になって寄り添う。

「春香さん、気持ち良かった?」
「まあね」
「しっかりいってたもんな。塩田の精液も飲んでるし」
「飲みにくいのよね、あれ。でも、美味しく飲めたかも」
三人は顔を見合わせ、声を張り上げて笑った。
男二人に女一人の交わり
が、まるで遊びか何かのようである。

「・・・タバコ欲しいな」
「向こうに、俺のやつがあるよ。取って来ようか?」
「いいわ、塩田ちゃんはここに居て」
春香がベッドから起きて、六畳間へやって来ようとしている。
忠雄は慌てて肉棒をしまい込み、ズボンを穿いて知らぬ風を決め込んだ。

「タバコ、タバコ・・・」
春香は忠雄を無視するように通り過ぎ、放ってあるタバコを手に取った。
この時、忠雄は姉の姿を横目で見ている。

(姉ちゃん、すげえ格好だな)
たくし上がったシャツに、肩からストラップの外れたブラジャー。
超のつくほど短いスカートは腰の上まで捲れ上がり、パンティは足首に引っ掛かっていた。
着衣のまま性交に入り、終わりまでそのままだったのだ。
その姿は、春香が無理強いをされたような状態であった事を、如実に示している。

「忠雄、火」
タバコを咥えた春香が、忠雄の前にしゃがみ込む。
山の肉棒を捻じ込まれた女穴はぽっかりと開き、濁った粘液が逆流していた。

忠雄は震える手でライターを持ち、姉の咥えたタバコに火をつける。
「ふうーっ・・・美味いねえ」
「ね、姉ちゃん」
不意に忠雄は、姉の胸の中で泣き崩れた。
殴られても良いから、自分を責めて欲しかった。

「ねえ、忠雄。退屈って、つまらないけど・・・悪いもんじゃないよね」
春香が言うと、忠雄はただコクコクと頷いて答えた。
雨は多少、小降りになったが、まだ街を煙らせている。
骨まで染み入るような、細かい雨だった。
「明日も雨かなあ・・・」
曇る空を窓越しに見上げ、春香は紫煙をくゆらせる。
まだ、霧のような雨は、止む気配を見せていない。

おしまい

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