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春の朝

入学式のざわつきも落ち着いた春の朝、僕の視界にある二人の姿が写った

桂木優菜と彼女の幼馴染みの佐藤真一である、二人は仲良く談笑しながら
学校の門をくぐる、一見すると美男美女のお似合いカップルであるが――
「あ、先輩だ、ごめんね真ちゃん、私行くね」
「あ・・・あぁ、じゃあ帰りに、な」
 僕の姿を見て優菜は顔を輝かせ、真一は悪夢を見ていたような顔をする。


 佐藤真一、彼は間違えてしまった、とても大事な選択を。
 僕と優菜の出会いはただ部活の先輩と後輩であった、毎年廃部の危機に怯えながら
毎年新入部員が定員をギリギリ満たすというほどの部。

 そこに彼女はやってきた、こんな可愛い子がと部室がざわめいたのもいい思い出だ。
 人数も少ない部だけあり仲良くなるのも早く僕は彼女からある相談をされた
 その内容は幼馴染みの男の子がいて想いを告げても曖昧な返事ばかり
自分以外にもアプローチする子もいるから不安で仕方ない、というモノだった。

 正直、優菜の幼馴染みに嫉妬を覚えたのは否定できない、しかし僕はその時考えた
少し頭のゆるそうなこの優菜なら騙してうまいことできるんじゃないか、と。
 僕は言った『だったら幼馴染みに自分を本当に好きか試してはどうかな』と、そして
優菜は僕の言う通りに動いてくれた。
 下準備として僕は優菜に幼馴染み、真一に再度告白するように言った。



「もう待てないよ・・・私のこと好きじゃないの?」
「好きだよ、好きだけど・・・」
「好きなら、好きなら・・・キスして」



 賭けだった、このまま恋人になってしまう可能性は十分にあった、ただ僕は
佐藤真一の優柔不断を信じた。



「・・・ッ!ごめん!」
「あっ・・・」



 賭けは僕の勝ち、僕はちゃんとチャンスをあげたんだよ?真一くん。
 これで準備は整った。





 部室に真一を呼び出す、そこには僕と優菜と一台のパソコンが置いてある。
「なんの・・・用かな」
 この間の告白の事があり気まずい様子の真一くん。
「君にはこれを見てほしくてね」
「なん、ですか?」
「君が本当に桂木さんを好きかと、桂木さんから相談されてね」
「・・・それは、あの」
「まぁこれを見たまえ」


 パソコンの画面に写し出されたのはこの部室だ、そしているのは
僕と優菜の二人、違うのは机が片付けられ毛布が敷かれているというだけ。
『真ちゃん、私もう待てません、だから・・・先輩に抱かれます』



 僕が優菜に言ったのは「佐藤くんは君がいつでも近くにいるから曖昧な態度で
いるんだろう、だから君がすこ~しだけ佐藤くんから離れればいいよ、そうすれば
佐藤くんも君の大切さを理解するはずさ」というもの、そして僕は優菜に提案した。



 君の初めてを僕にくれないかい?



 優菜は最初驚き、迷ったが了承した、どうやらそれほど
追い詰められていたようだ、僕が思ったより彼女は不安で仕方ないようで好都合だった。



『ぅ・・・ぅうっ・・・い、痛・・・い』



『キスは・・・キスはダメです・・・ふぁっ・・・』



『真ちゃん・・・見てますか?私・・・先輩に初めてあげちゃったよ、こんな
私でも真ちゃんは私を好きでいてくれますか?』



 膝から崩れ落ちる人間というのを初めてみた、真一はまさに放心状態で
駆け寄る優菜にも返事すらしない有り様である。
「好きだよ、真ちゃん」
 心なしか優菜の言葉が乾いて聞こえた気がした。

end

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