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福祉向上省
- 2010/05/03
- 21:46
我々の仕事は必ずしも国民の理解を得られているとは言えない。
そのような世間の風評にもめげず、今日も車を走らせ残業をしている。
そのような世間の風評にもめげず、今日も車を走らせ残業をしている。
「今日の仕事はどこでしたか、先輩」
後輩と二人外回りの仕事をしている時に、そんな呑気なことを奴さんは聞いてくる。
私は無言で仕事先が示されている資料を渡す。
「結構遠いですね…帰るのが遅くなってしまいますね」
後輩が不満をぶつぶつ言う。
彼のような考えで仕事をしている人間がいるから国民が我々に不信感を持つのだ。
我々は公僕として国民のために奉仕しなければならないというのに。
「これも大切な仕事なんだ、不満ばかり口にするな」
私はそう言って後輩を窘める。
本当は言いたいことはまだあるのだが、目的地に到着したので車を止める。
「ここですか」
ついた場所は住宅街の一角にある白い壁のアパートであった。
後輩の台詞に頷きながら私は言う。
「さあ、行くぞ」
仕事は迅速にしなければならない。
後輩を促して、目的の部屋に向かい、インターホンをならす。
「どちら様でしょうか?」
若い女性の声が聞こえる。
「福祉向上省の者です」
私は女性に自分の身分を明かした。
すると、ヒィと言う声と何かが倒れる音がインターホンの向こうから聞こえた。
しばらく待つと、部屋のドアが開く。
長い黒髪の美しい女性が顔を出す。
整っているその顔立ちはしかし、青ざめたものだった。
この仕事をしていると見慣れたものとなっているが、美しい女性が悲しむ姿を見ると胸が微かに痛む。
しかし、我々は仕事をしなければならない。
「夜分遅く失礼します。ご主人はご在宅でしょうか?」
「い…いえ…そろそろ帰ってくるはずですが…」
資料に書かれている時間ではもう帰ってきているはずだが。
ここの主人にしっかりと「確認」してもらわないとならないが、まあ、仕方ない。
「それでは、ご主人がお帰りになられるまでしばらく待たせて頂けないでしょうか」
私は丁重に頼み込む。
大抵の場合には先方は快く受け入れてくれるが、ごくたまに我々を追い返そうとする不届き者もいる。
そういった手合いには遺憾なことだが、少々手荒な真似をせざるを得ないのだが。
幸いにもここの住人は前者であったので、何の問題も起こらなかった。
「どうぞ」
女性は陰鬱な表情で我々を受けいれる。
しばらく、待つか。
友野勇次は残業を終えて、急いで家路についていた。
今日は遅くなってしまった。
収入はそれほどあるわけでは無かったが、彼は幸福であった。
それもこれも今年21になる妻のおかげであった。
二人で支え合って生きていけるのならば勇次には何の不満もなかった。
唯一にして、重大な懸念は彼ら夫婦に子供がいないことであった。
それでも勇次はさほど危惧してはいなかった。
少子化が進んでいる現在子供のいない家庭など山ほどある。
だから、気にするほどのことではない。
そう、自分に言い聞かせながら勇次は妻の待つ我が家のドアを開けた。
「ただい…」
勇次の挨拶の言葉はそこで途切れる。
そこには妻だけでなく、見知らぬ二人組の男がいた。
一体何なのだろう。
悪質な勧誘が家まで入り込んでいたのだろうか。
「夜分遅く失礼します、友野勇次さん。我々は福祉向上省の者です」
年長と見られる男が頭を下げて身分証を見せる。
福祉向上省。
その言葉は勇次にとっては悪魔の言葉であった。
「あ、あんたたちは…」
男たちの身分証を見つめながら勇次は何とか声を出す。
しかし、意味のある言葉を紡ぐ前に男の声が割り込む。
「我々が、こちらに伺いましたのは、友野さん。あなた方ご夫婦にはお子さんがいらっしゃらないということで伺ったのです」
その言葉で勇次の中にあった微かな望みが打ち砕かれる。
「う、うちだけじゃないだろう。子供のいない家は」
勇次の言葉に対して嘆かわしそうに年上の男が首を振る。
「もちろん、その通りです。しかし、他の人間がしているからと言って、違法行為をしていいというわけではないでしょう。
あなた方ご夫婦は結婚して一年が経ちますが、今だに妊娠もなさっていない。
あなた方のような人々がいるから日本の少子化が止まらないのですよ。
良いですか、結婚一年以内に妊娠しなければならないということは法律で定められているのです。
そして、子供を作ろうともしないあなたのような人に変わって我々は仕事をするのです。
あなたはご主人ということなので「妊娠補助」の「確認」をしていただければ良いのです」
男のあまりにもひどい物言いに勇次は激高した。
「ふざけるな!」
思わず先ほどからしゃべり続けた男の顔を殴る。
男はそれを避けようともしない。
「勇次さん…やめて!」
妻の悲鳴が聞こえるが無視した。
勇次のこぶしが男の顔面を捉える。
しかし、男は平然と勇次を見下ろしている。
「こ、この」
勇次は再び殴りかかろうとする。
しかし、突然体に衝撃を感じ、崩れ落ちてしまう。
若い方の男が手に何かを持っていた。
「勇次さん!」
妻が駆け寄ろうとするが、年上の男に抑えられてしまう。
勇次も体に力が入らずただ見つめるしかなかった。
「心配いりません。スタンガンの強さは調節していますからご主人の命に別条はありません。さ、奥さん」
「い、嫌あ!」
妻の悲鳴が部屋に響き渡るが勇次にはなすすべもなかった。
「か、香苗…」
力なく妻の名を呼ぶ勇次。
目の前で妻の服が脱がされていく。
「やめて!いや!」
「奥さん、お静かに…」
必死に抵抗しようとするも妻は服を肌蹴られ女性の部分をさらしてしまう。
男の方も妻を脱がせていく傍ら器用に服を脱いでいる。
男の逸物は勇次のものよりも二周りは大きなもので勇次は強烈な劣等感を感じた。
「さ、奥さん…しっかり挿れる準備をしないと痛いだけですよ」
「いやあ…」
足を広げられ妻の秘所がさらされる。
なんとか妻は抵抗しようとするが、二人がかりでおさえられてしまってはどうしようもない。
若い男が押さえる中、年上の男が妻の太ももに舌を這わせ、股間に顔を埋める。
「いや…やめて」
妻は首を振っていやいやをするが、男はやめない。
やがて、妻の様子に変化が現れる。
「あっ……やめっ…そこ……やめて…ああっ……」
体をピクンピクンと反応させるようになっていったのだ。
「奥さん、ここですか?」
男の顔がうごめくごとに妻の体も反応を返すようになる。
「あっ…ちが……違います……んっ……駄目っ」
徐々に妻の息づかいも荒くなっていく。
(くっ…くそっ)
体が言うことを聞かず、何もできない。
本来ならば暖かい団らんのひとときを過ごすはずの部屋の中には淫音が響き渡る。
「ああっ……あっ……んっ……ああっ…ああああっ」
妻が声を上げた後にぐったりとした。
どうやら男の舌でイかされてしまったようだ。
はぁはぁと聞こえる乱れた妻の息づかい。
そしてその表情には隠しようもない欲情が浮かんでいた。
「ご主人」
突然、男が声を掛けてくる。
「これから、奥さんの「妊娠補助」を行うのでしっかり「確認」して下さい」
そう言って妻の中心を見せつけるように広げる。
そこはすでに男を受け入れる準備を整えていた。
勇次ではない男の。
「や、やめて…」
力ない妻の声。
構わずに男は腰を進める。
「ああっ…」
絶望したような妻の声に勇次は何もすることができない。
しかし、妻の絶望は長く続かなかった。
男が腰を動かし始めると再び瞳に欲情がともり始めたのだ。
「駄目っ……駄目っ…ああん……ああっ……駄目なのにぃっ」
淫らな表情で嬌声をあげる。
勇次がいつも綺麗だと思っていた長い黒髪を振り乱して。
「ああん……あっ……やぁっ……イっちゃうっ……イっちゃうのぉ…」
淫声を上げながら、長い黒髪を振り乱す妻は美しかった。
夫である勇次以外の男に抱かれていながらも、淫靡に輝いていた。
「あっ……ああっ……もうっ…やっ…やあっ……あああああああああああああああ!」
妻の絶叫と共に男も妻を汚してく。
美しく淫らに輝く妻を。
今までに見たこともないほどに乱れた妻を。
「かな、え」
その光景を目にしながら勇次はいつの間にか涙を流していた。
何度も妻が貫かれていくのを見せられた後、ようやく男が妻から離れた。
「さあ、ご主人。「確認」してください」
そういって男は妻の足を広げ、白濁に汚された妻の中心を見せた。
疲れ切った妻は抵抗することもできない。
「「確認」されましたか?それではこの書類にサインをお願いします」
男が差し出した書類に力なくサインする勇次。
男に無言で手渡す。
「それでは失礼しました」
男達が去って行ったあとには、冷めきった夕食と汚された妻だけが残された。
「これで今日の仕事は終わりですね」
「ああ」
帰りの車の中で後輩の台詞に私は頷く。
法律により結婚後一年以内に妊娠がなかった場合、我々福祉向上省の者が無作為に選んだ夫婦の元に行き孕ませる。
また、我々がきちんと仕事をしていることを確認してもらうために我々の妊娠補助を夫にも立ち会ってもらうのだ。
今日のことを思い返すと悲しくなってくる。
法に逆らい子をもうけようとしないばかりか、今回のように我々に暴力まで振るう輩もいる。
日本はどうなってしまうのか。
しかし、私は絶望しない。
我々の地道な努力によって少子化の改善に寄与できればと思えば、仕事に誇りを持つことこそあれど、絶望などするはずもない。
「しかし、先輩。明日も来るって言わなくても良かったんですか?」
「問題ないだろう」
我々は妊娠を確実なものとするべく、一週間は同じ家庭に通うことになっている。
国民には周知されている事柄であり、知らない者がいるならば全ての責任はその者にある。
「先輩、一杯どうです」
「馬鹿もの、明日も仕事があるんだぞ」
人を孕ませるのにも体力がいる。
明日に向けて英気を養うべきだろう。
「帰るぞ」
我々の仕事は必ずしも国民の理解を得られているとは言えない。
それでも私は自分の仕事に誇りを持っている。
後輩と二人外回りの仕事をしている時に、そんな呑気なことを奴さんは聞いてくる。
私は無言で仕事先が示されている資料を渡す。
「結構遠いですね…帰るのが遅くなってしまいますね」
後輩が不満をぶつぶつ言う。
彼のような考えで仕事をしている人間がいるから国民が我々に不信感を持つのだ。
我々は公僕として国民のために奉仕しなければならないというのに。
「これも大切な仕事なんだ、不満ばかり口にするな」
私はそう言って後輩を窘める。
本当は言いたいことはまだあるのだが、目的地に到着したので車を止める。
「ここですか」
ついた場所は住宅街の一角にある白い壁のアパートであった。
後輩の台詞に頷きながら私は言う。
「さあ、行くぞ」
仕事は迅速にしなければならない。
後輩を促して、目的の部屋に向かい、インターホンをならす。
「どちら様でしょうか?」
若い女性の声が聞こえる。
「福祉向上省の者です」
私は女性に自分の身分を明かした。
すると、ヒィと言う声と何かが倒れる音がインターホンの向こうから聞こえた。
しばらく待つと、部屋のドアが開く。
長い黒髪の美しい女性が顔を出す。
整っているその顔立ちはしかし、青ざめたものだった。
この仕事をしていると見慣れたものとなっているが、美しい女性が悲しむ姿を見ると胸が微かに痛む。
しかし、我々は仕事をしなければならない。
「夜分遅く失礼します。ご主人はご在宅でしょうか?」
「い…いえ…そろそろ帰ってくるはずですが…」
資料に書かれている時間ではもう帰ってきているはずだが。
ここの主人にしっかりと「確認」してもらわないとならないが、まあ、仕方ない。
「それでは、ご主人がお帰りになられるまでしばらく待たせて頂けないでしょうか」
私は丁重に頼み込む。
大抵の場合には先方は快く受け入れてくれるが、ごくたまに我々を追い返そうとする不届き者もいる。
そういった手合いには遺憾なことだが、少々手荒な真似をせざるを得ないのだが。
幸いにもここの住人は前者であったので、何の問題も起こらなかった。
「どうぞ」
女性は陰鬱な表情で我々を受けいれる。
しばらく、待つか。
友野勇次は残業を終えて、急いで家路についていた。
今日は遅くなってしまった。
収入はそれほどあるわけでは無かったが、彼は幸福であった。
それもこれも今年21になる妻のおかげであった。
二人で支え合って生きていけるのならば勇次には何の不満もなかった。
唯一にして、重大な懸念は彼ら夫婦に子供がいないことであった。
それでも勇次はさほど危惧してはいなかった。
少子化が進んでいる現在子供のいない家庭など山ほどある。
だから、気にするほどのことではない。
そう、自分に言い聞かせながら勇次は妻の待つ我が家のドアを開けた。
「ただい…」
勇次の挨拶の言葉はそこで途切れる。
そこには妻だけでなく、見知らぬ二人組の男がいた。
一体何なのだろう。
悪質な勧誘が家まで入り込んでいたのだろうか。
「夜分遅く失礼します、友野勇次さん。我々は福祉向上省の者です」
年長と見られる男が頭を下げて身分証を見せる。
福祉向上省。
その言葉は勇次にとっては悪魔の言葉であった。
「あ、あんたたちは…」
男たちの身分証を見つめながら勇次は何とか声を出す。
しかし、意味のある言葉を紡ぐ前に男の声が割り込む。
「我々が、こちらに伺いましたのは、友野さん。あなた方ご夫婦にはお子さんがいらっしゃらないということで伺ったのです」
その言葉で勇次の中にあった微かな望みが打ち砕かれる。
「う、うちだけじゃないだろう。子供のいない家は」
勇次の言葉に対して嘆かわしそうに年上の男が首を振る。
「もちろん、その通りです。しかし、他の人間がしているからと言って、違法行為をしていいというわけではないでしょう。
あなた方ご夫婦は結婚して一年が経ちますが、今だに妊娠もなさっていない。
あなた方のような人々がいるから日本の少子化が止まらないのですよ。
良いですか、結婚一年以内に妊娠しなければならないということは法律で定められているのです。
そして、子供を作ろうともしないあなたのような人に変わって我々は仕事をするのです。
あなたはご主人ということなので「妊娠補助」の「確認」をしていただければ良いのです」
男のあまりにもひどい物言いに勇次は激高した。
「ふざけるな!」
思わず先ほどからしゃべり続けた男の顔を殴る。
男はそれを避けようともしない。
「勇次さん…やめて!」
妻の悲鳴が聞こえるが無視した。
勇次のこぶしが男の顔面を捉える。
しかし、男は平然と勇次を見下ろしている。
「こ、この」
勇次は再び殴りかかろうとする。
しかし、突然体に衝撃を感じ、崩れ落ちてしまう。
若い方の男が手に何かを持っていた。
「勇次さん!」
妻が駆け寄ろうとするが、年上の男に抑えられてしまう。
勇次も体に力が入らずただ見つめるしかなかった。
「心配いりません。スタンガンの強さは調節していますからご主人の命に別条はありません。さ、奥さん」
「い、嫌あ!」
妻の悲鳴が部屋に響き渡るが勇次にはなすすべもなかった。
「か、香苗…」
力なく妻の名を呼ぶ勇次。
目の前で妻の服が脱がされていく。
「やめて!いや!」
「奥さん、お静かに…」
必死に抵抗しようとするも妻は服を肌蹴られ女性の部分をさらしてしまう。
男の方も妻を脱がせていく傍ら器用に服を脱いでいる。
男の逸物は勇次のものよりも二周りは大きなもので勇次は強烈な劣等感を感じた。
「さ、奥さん…しっかり挿れる準備をしないと痛いだけですよ」
「いやあ…」
足を広げられ妻の秘所がさらされる。
なんとか妻は抵抗しようとするが、二人がかりでおさえられてしまってはどうしようもない。
若い男が押さえる中、年上の男が妻の太ももに舌を這わせ、股間に顔を埋める。
「いや…やめて」
妻は首を振っていやいやをするが、男はやめない。
やがて、妻の様子に変化が現れる。
「あっ……やめっ…そこ……やめて…ああっ……」
体をピクンピクンと反応させるようになっていったのだ。
「奥さん、ここですか?」
男の顔がうごめくごとに妻の体も反応を返すようになる。
「あっ…ちが……違います……んっ……駄目っ」
徐々に妻の息づかいも荒くなっていく。
(くっ…くそっ)
体が言うことを聞かず、何もできない。
本来ならば暖かい団らんのひとときを過ごすはずの部屋の中には淫音が響き渡る。
「ああっ……あっ……んっ……ああっ…ああああっ」
妻が声を上げた後にぐったりとした。
どうやら男の舌でイかされてしまったようだ。
はぁはぁと聞こえる乱れた妻の息づかい。
そしてその表情には隠しようもない欲情が浮かんでいた。
「ご主人」
突然、男が声を掛けてくる。
「これから、奥さんの「妊娠補助」を行うのでしっかり「確認」して下さい」
そう言って妻の中心を見せつけるように広げる。
そこはすでに男を受け入れる準備を整えていた。
勇次ではない男の。
「や、やめて…」
力ない妻の声。
構わずに男は腰を進める。
「ああっ…」
絶望したような妻の声に勇次は何もすることができない。
しかし、妻の絶望は長く続かなかった。
男が腰を動かし始めると再び瞳に欲情がともり始めたのだ。
「駄目っ……駄目っ…ああん……ああっ……駄目なのにぃっ」
淫らな表情で嬌声をあげる。
勇次がいつも綺麗だと思っていた長い黒髪を振り乱して。
「ああん……あっ……やぁっ……イっちゃうっ……イっちゃうのぉ…」
淫声を上げながら、長い黒髪を振り乱す妻は美しかった。
夫である勇次以外の男に抱かれていながらも、淫靡に輝いていた。
「あっ……ああっ……もうっ…やっ…やあっ……あああああああああああああああ!」
妻の絶叫と共に男も妻を汚してく。
美しく淫らに輝く妻を。
今までに見たこともないほどに乱れた妻を。
「かな、え」
その光景を目にしながら勇次はいつの間にか涙を流していた。
何度も妻が貫かれていくのを見せられた後、ようやく男が妻から離れた。
「さあ、ご主人。「確認」してください」
そういって男は妻の足を広げ、白濁に汚された妻の中心を見せた。
疲れ切った妻は抵抗することもできない。
「「確認」されましたか?それではこの書類にサインをお願いします」
男が差し出した書類に力なくサインする勇次。
男に無言で手渡す。
「それでは失礼しました」
男達が去って行ったあとには、冷めきった夕食と汚された妻だけが残された。
「これで今日の仕事は終わりですね」
「ああ」
帰りの車の中で後輩の台詞に私は頷く。
法律により結婚後一年以内に妊娠がなかった場合、我々福祉向上省の者が無作為に選んだ夫婦の元に行き孕ませる。
また、我々がきちんと仕事をしていることを確認してもらうために我々の妊娠補助を夫にも立ち会ってもらうのだ。
今日のことを思い返すと悲しくなってくる。
法に逆らい子をもうけようとしないばかりか、今回のように我々に暴力まで振るう輩もいる。
日本はどうなってしまうのか。
しかし、私は絶望しない。
我々の地道な努力によって少子化の改善に寄与できればと思えば、仕事に誇りを持つことこそあれど、絶望などするはずもない。
「しかし、先輩。明日も来るって言わなくても良かったんですか?」
「問題ないだろう」
我々は妊娠を確実なものとするべく、一週間は同じ家庭に通うことになっている。
国民には周知されている事柄であり、知らない者がいるならば全ての責任はその者にある。
「先輩、一杯どうです」
「馬鹿もの、明日も仕事があるんだぞ」
人を孕ませるのにも体力がいる。
明日に向けて英気を養うべきだろう。
「帰るぞ」
我々の仕事は必ずしも国民の理解を得られているとは言えない。
それでも私は自分の仕事に誇りを持っている。