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高校生だった俺ら

高校生だった俺らは
あとちょっとで大学受験って事で勉強の為にも学校以外で会わない事にしてた。
「じゃあね、また明日学校で。」
「うん。」
その日、”俺”はそのまま帰った。
自分で言うのもなんだけど
先生にも
「お前は慶応狙えば何とかなるかもしれない。」って言われてた。
彼女と一緒に行こうとしてた学校には、成績面では問題が無かった。



彼女の方は少し厳しいみたいで学校から塾に行っていたらしい。
心配させないためにも俺はきかされてなかった。

事件はその日に起きた。
夜8時くらいに家のチャイムがなった。
そのときなんで親が居なかったのかは覚えてない。
覚えてるのは彼女の服とかがボロボロになってて
ただ「ごめんね」と泣きながら繰り返す事しか。
とにかくびっくりした俺は彼女をあがらせてシャワーを浴びさせた。
何があったのか・・・。きこうにもきけなかったのはよく覚えてる。

風呂から上がってきた彼女はまだ
「ごめんね」と泣きながら繰り返すだけで
何があったのかは教えてくれなかった。
あれだけ会うことを拒んだ彼女がいきなり家に来たのだから
大変な事があったのは分かる。
目の前でこんなに泣き崩れてる彼女が居て、それを見て何もできない自分がいる。
俺は自分の無力さを呪った。


「今日は家に帰りなよ。」
そう言っても彼女は帰ろうとしない。
多分彼女は覚悟を決めてたんだろうと思う。
彼女も僕も大学生になるまでは貞操を守ろう。
なんて恥ずかしい約束をしてた。
言い出したのは彼女だったけど。

だけどその日、彼女は自分から誘ってきた。
何があったのか・・・。僕は不思議だった。
何をきいても「ごめんね」泣き声とこの一言だけだった。
ただ、「ごめんね」と泣きながらも彼女が誘って来てる、
ここで断れば今までのものが崩れるような気がした。
ガタガタと震える彼女。童貞喪失だったと言うのにそこまでしか覚えていない。
その後の事件の方が大きすぎて。


彼女は泣きながらずっと僕にしがみついていた。
朝になって学校に行かなきゃだめだったけど、
彼女がやっと落ち着いて来たのにこのまま行こうなんて気にはなれなかったのだろう。
その日学校を休んだ事ははっきり覚えてる。
(もちろん彼女の方は親御さんに電話をした。めちゃくちゃ怒られた。)
それからゆっくり彼女に何があったのかをきいた。
「ご・・・めんね。初めてを○○君(俺の名前)にやれなくて。」
つじつまがあった。
あの服のボロボロさ。初めてじゃないこと。SEXの時に震えていたこと。
彼女はレイプにあったのだろう。怒りがたまった。
その日、ずっと彼女を抱き続けた。


「ありがとう、○○君の力が効いたよ。」
送っていくよ。その言葉に首を縦に振らず
「勉強してね」
そう言って悲しげに笑って帰ろうとする彼女。
外に出て人が通るとすぐにビクッとする仕草を見て
送らない奴がいるものか。
彼女の否応なしに送る事にした。
家に着くと着くなり彼女のお父さんが
こっぴどく俺を怒鳴り付けた。
でも俺はああ、この人はこの子の為にココまで本気になっている。
この人なら守り通す事ができるのだろうな・・・と思った。

説教に時間を食われ少し遅くなって家に帰るとき、
「じゃあまた。」そう言って手を振ってくれた
彼女の笑顔を見たのはあれで最後だった。


その日は早朝、学校に行った。
意味もなく、いつも遅刻間際に言ってる俺がだ。
学校が始まると言うのに彼女は来ない。
あの日の後だしな・・・。まぁ、予想はできていた。
HRの時に俺だけが教師に呼び出されたとき
「何だ」と思った。

「・・・お前、×とつきあってたよな?」
ただ、その一言。
・・・ああ。その事か・・・。
少し、考えが小さかったのかもしれない。
「今朝、彼女が自殺した。」
「・・・?」
聞こえなかった。いや、ききたくなかったのかもしれない。
「首つりだったそうだ。」
不思議と涙が溢れなかった。
信じ切れなかったんだと思う。
「足下にな、遺書が二つ書いてあって、親御さんと○○、お前の分だ。」
目の前に差し出されたのは
「ごめんね」と彼女の可愛い文字で書かれた封筒だった。


内容は今でもはっきりと覚えてる。
「ごめんね、○○君。
  3つ、謝りたいことがあります。
 一つは、初めてをあげられなかったこと。
 もう一つは、先に逝っちゃったこと。

 そして最後に、
 一緒に大学に行けなくてごめんね。

 それでも○○君は、生きてください。
 私の事なんて忘れて。」



短い文章だった。
この文を読んで涙が溢れた。
・・・悲しかったから?
・・・悔しかったから?
多分喜びや幸せ以外の感情がどっと溢れた感じだったと思う。
じゃあ”また”なんて約束した奴が何で自殺するんだよ。


それからそのままトイレで何度も吐いた。
先生が気を遣ってか早退させてくれた。
涙が止まらず何度も何度も吐いた。
お通夜と葬式、行ったがいつでも死ねると思った。
何日も、水も飲まずただ、泣き続けた。
何も食べてないので胃酸だけが口から出た。


結局、俺は大学に行くのをやめた。


彼女の最後の言葉が無かったら多分今の俺は居ないと思う。
最近、そんな彼女の3回忌が終わった。
あのこっぴどく僕を怒ってくれた彼女の父親も
「×の事は、忘れてください。
 あなたにはあなたの人生があるんです。
  その方が×の為にもなるんです。」
と言ってくれた。

犯人が分かればその怒りを生きる力にもできるのでしょうが犯人も分からずじまいで
このシーズンが来ると気が狂いそうなくらい悲しくなります。

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