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さいごまで、いっしょがよかったね。

信じる、信じないはお任せしますが…
僕自身、この経験が自分の妄想であればと、何度も思ったものです。

高校生の時だったんですけど、彼女がいたんです。
お互いの性格も趣味もかなり一致してて、デートもしょっちゅう。
ただ、まだ高校生だし責任とりきれないから、セックスだけはやめとこうって。
お互い子供を作って育てられるようになったら結婚しようって。

皆さんは青臭いとおっしゃるかも知れませんが、僕らは本気でした。
二人の家庭が待ち遠しくて、子供は何人がいいかな、名前は何にしよう、とか冗談混じりにでも話し合っていました。
死ぬまで、ううん死んでも一緒だからねって。

当時、僕は童貞、彼女は処女。
そして彼女はセックスどころか自慰も経験がなく、性感というものすら知りませんでした。
恥ずかしながら僕は、そんな彼女に、何もかも初めてという彼女に何かの期待をしていたのかも知れませんね。



そうして、ある時期、連絡が数日間途絶えちゃったんです。

学年末試験の時期で、「ああ、勉強頑張ってるんだな」って思ってました。
で、さすがにもう終わってるだろって思って電話入れたら、電話口の彼女がえらく沈んでるんですよね。
「どうした?」って聞いたら、

元彼に重大な秘密を握られてしまった
それが漏れれば自分は退学処分になってしまう
今回の学年末の成績を比べて自分が勝っていればその秘密は守られ、
元彼に負けていれば自分は犯される

、と。
聞いていて、恐ろしくなると同時に、私は悟りました。
彼女の声が暗いわけ。
「勝てる自信ないのか…?」
「ううん」



しばしの沈黙……
この間、僕の頭には様々な思いが駆け巡りました。
とりあえず勝てたが、別の悩みがあるのか
勝てる自信は一応あるが、それでも不安なのか
それとも、最悪の結果だったのか。


彼女の答えは、こうでした。
「もう、負けちゃったの」



僕はその時、鋭い刃物で突き刺されたような、あるいは鈍器であばら骨を砕かれたような感覚がしました。
声も出ず、嗚咽もなく、ただ涙だけがとめどなく流れ出しました。
「それでね、」彼女は続けます。
「あんな奴に初めてをあげたくなかったから…あなたの次に好きな人に…処女、あげちゃった」
この時点で、彼女はあわせて二人の男と寝たという事になります。


僕はとても複雑な気持ちになりました。
ひとつは、最も不幸なかたちの初体験でなくてよかった、と。
それでいて、二人もの男に愛する恋人を抱かせたという言葉で表せない悔しさ、憤り、哀しみ、色々。
それに、なぜ自分に一言でも連絡してくれなかったかと。
二度目の痛撃に耐えながら、僕は彼女を…
それでも彼女を、愛したかった……


ところが、まだ彼女は何か言うのです。

「処女あげた次の日、覚悟きめて元彼の家に行ったの。最初は、相手は元彼だけだと思ってた。
でもそいつの部屋に入ったら…」
僕はこの瞬間、何かを予感しました。
どうかこの予感が外れてほしい、と願うばかりでした。
しかし、現実は残酷なものでした。
「…やらしい目つきした男の人が何人もいたの」

僕はそれ以降、彼女の話をあまり聞いていませんでした。
手足を縛られたとか、口でするのを強制されたとか、中に出されたとかが、時々聞こえるばかり。



彼女は妊娠中絶、そして一生子供の産めない身体になり、しばらくして自殺していきました。


夜になると、私はいつも彼女を思い出します。
一緒に遊園地に行ったこと。
ああ、デートに財布を忘れて怒られたこともあったっけ。
でも、どこか楽しそうだった。
映画も観に行った。
帰りの買い物で、ずいぶん長い間待たされた。
上映時間より買い物の方が長いのってお前ぐらいだぞってこづいたら、「ごめーんっ」って笑ってたなぁ。
寒い日、コンビニで肉まんとピザまんを買って半分ずつ交換して食べた。
一緒のコタツで寝た。
いつもの一人で入るコタツより、どこかあったかかった。


好きって告白された時…
そうだ、あの日、僕もずっと前から好きだったって…答えたんだ。
あれからもう、何年経ったっけ。
CD貸したら喜んでくれた。
電話したら、ハムスターに子供が産まれたってはしゃいでた。
いつか私たちにも…って、…。
未来の夫婦だよっていつも嬉しそうに言ってた。
いつからだったろう、
ずっとずっと好きだった。
君の、その、

純粋な笑顔。


僕は恋人の墓に花を手向けるたびに、こう思うんです。
何かを語りかけるような向かい風に吹かれながら…
そうして、その風も、僕と同じ事を思っているような。


さいごまで、いっしょがよかったね。

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