2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

動き出した歯車(その24)

胸の中は、激しい後悔で一杯だった。
見ればこうなるのは解っていたのに、なぜ、見てしまったんだろう。
あれほど、自分でも見るなって言っていたのに。
さっき、彼女に『信じる』って言った。それは嘘じゃない。いや、嘘でも信じなきゃいけないんだ。自分の言葉
を忠実に守らないと。
じゃないと……俺は、自分の猜疑心に押し潰されてしまう。
見てしまった写真に、自分の気持を全て破壊されてしまう。

彼女の机の引出しに伏せられていた写真は……彼女と中川先輩が仲良く笑って肩を抱き合っている写真だった。

こんなのには負けられない。写真一枚に自分の気持が負ける訳にはいかない。先輩、あんたは昔の人なんだよ。
あんただけには、渡さない。お前には絶対に負けない!!!



あの日から、俺たちは変わった。

休み時間、昼休み、放課後、時間さえあればいつも一緒、手を繋いだり、肩を抱き寄せたり、一緒にいるとき
はいつもどこかしら肌に触れ合っていた。

傍からみれば、いや 傍からでなくてもものすごいバカップルだ。
クラスの連中からは好奇心半分、やっかみ半分の それは手荒い祝福を受けた。
……まあ、仕方ないだろう。学年どころか、我が校どころか、この地区で1、2を争うほどの美少女とラブラ
ブ、いちゃいちゃの関係になったのだから。

幸せ?満足?
この光景をみて不幸せだと感じ取る人間いるのなら、その人の方がどうかしている。勿論、幸せだとも!
大好きな人と、人目も憚らず触れ合い、いちゃいちゃし合い、この幸せを満喫する。自分自身、こうなるなん
て考えてもいなかった。まったく信じられないほどの変わり様だ。

実は、これで終わりではない。
他人の目の無い所では、俺達はより一層深い愛を求め合った。
それは所を選ばない。ある時は彼女の家、ある時は自分の家、又ある時は……音楽教室の中で。

ピチャッ……ピチャ……クチュ
足元の辺りで水の滴るような音が聞こえる。
しかも、それは何処となく粘性を…熱を帯びているようで、聞こえてくるだけで男の股間をカチンカチンに固
くさせる効果がある。
事実、俺の物はさっきからずっと大きく、硬く、固まったままだ。
その大きくなった俺の物を何かが包み込み、なお且つ前後に行ったり来たりしている。その物が1往復する毎
に股間に激しい快感が沸き起こり、蓄積されていく。

暖かいような、熱いような、柔らかいような硬いような、ざらざらした、つるっとした 何かが俺の物に纏わ
りつき、敏感な個所を優しく刺激して行く。その度に背骨に電流が走り、股間の付け根に熱い衝動が走っていく。
後何回、この衝撃を味わえばよいのか……
もう、いい加減一気に終わりにして欲しい。……いや、だめだ。ずっとこの状況が続いて欲しい……。

爆発しそうになる感覚を無理矢理押さえる事数度、……その間に俺の股間を包むそれは、動く速度をどんどん
と速めていた。
と同時に 何かが根元を強く締め付け、前後に動き出す。さながらチューブの中身を扱き出すかの様な動きだ。
それが最後の一押しになったのか、股間のさらに奥から何か熱いものが湧き出す感覚が拡がっていく。

「…くっ……はぁっ……いく……よ……」
その言葉に反応したのだろう、今まで前後に激しく動いていたものはゆっくりと動きを止め 同じくして俺の
物に絡み付いていたものは解かれ、俺の物の先端に柔らかくてザラっとしたものがあてがわれ、そっと俺の先
端……放出口の辺り……をなぞっていく。
もう、全ての準備は整った。
付け根の感覚は、竿全体に広がり……俺は熱い感情が具現したものを、思いっきり放出した。


彼女の……遠野景子の口の中に。

「ん……はぁ………博昭君の……おいしい…」
彼女は恍惚の表情を浮かべ、俺が放出した精液を飲み干していった。
舌と上顎で俺の物を強く挟み込み、まるで搾乳機のように舌を動かして俺のものに残っている精液を搾り出し
ていく……根元に当たった歯がちょっと痛かった。
最後の一滴まで絞り尽くして、彼女は咥えた物を離す。
唇の内側と俺の物の先端の間に一本の糸が引かれ、伸びてゆき、消えていった。
何時からだろうか、彼女に自分の性器を咥えさせ、精液を飲ませるようになったのは。
覚えていない。遠い昔のことだったのだろうか、つい最近の事だっただろうか、俺が要求したのか、彼女から
自発的にしてくれたのか。

「はい、交代。今度は僕の番」
社会の窓から飛び出した一物を仕舞って、軽くキスを交わす。
してもらったら、してあげるのが道理。これも、必ずやるのが定番にになっている。彼女も拒む事は無い。

彼女を教室の角に背中をもたれかからせるように立たせ、スカートを捲り上げる。
白い、眩しく白い布切れが目に飛び込んでくる。見た途端、さっき精を吸われて萎えた筈の俺の物は大きく硬
く腫れ上がった。
捲り上げたスカートに頭を入れ、彼女の両腰を掴んで、彼女の足の付け根を被う白い布に顔を埋めた。
「…ぁ」
彼女の漏らす小さな吐息が俺の理性を削り取る。
鼻先を撫でる柔らかな感触と微かな刺激臭、又一つ理性が剥ぎ取られていく。
鼻先を布の中心にグリグリと押し付け、彼女の柔らかさと、臭いを堪能する。少し、湿り気が増してきた気がした。


彼女の臭いと布越しの感覚を堪能した後、その布に手を掛け、下に降ろした。
薄めの黒い繁りと、その奥の縦筋が顔を出す。

なおも下に降ろしていく。
膝の辺りで降ろすのをやめ、彼女の左足を持ち上げて、下着から片足だけ引き抜いた。
剥き出しとなった彼女の股間。右膝に引っ掛かっている彼女の白い布切れ。
この時点で理性は殆ど失われている。本能の趣くままに彼女の股間に顔を埋め、一番敏感な所を舐めあげていく。
そこは既に愛液で溢れ、指でクレバスを左右に開いた途端、ツーっと内腿に流れていった。
内腿の柔らかな感触とすべすべの肌が頬をくすぐり、その感覚が、より一層 俺の物を奮い立たせる。

花芯の辺りを舌で精力的に刺激していく。時には唇でつまんで引っ張り、時には歯で甘噛みしたり……その度
に彼女の膝がガクンと崩れる。かなり感じている様だ。
さっきから、彼女は両手を俺の両耳の後ろにあてがい、がっちりと俺の顔を自分の股間に押し付けている。

「ハァ……アッ……ウッ……クゥ……ンッ」
教室だからと出さないようにしていた筈の声が彼女の口から漏れて来た。
その淫靡な響きに興奮し、より一層花芯を刺激していく。

「アァ……ァ……ハァァァ……」
程なく、大きく息を吐きだすと同時に、両腿で俺の頭を挟み込み、より一層強く俺の顔を股間にこすりつけ、
彼女は 高みに達した。


力が抜けたのか その場にペタンと座り込んだ彼女、その顔は魂を引き抜かれたような呆けた表情だ。
こちらもしゃがんで、彼女にもう一度キス。その後ギュッと力一杯抱きしめた。
彼女の腕にも力が入っていく。おそらく表情も元に戻っているだろう。
柔らかな彼女の体の感触が俺の腕に、胸に、伝わってくる。
背中では、彼女の手が優しく撫でまわしている。
彼女の性器を目の当たりにし、それを愛撫するのも幸せだが、こう、お互いの体の肉感を感じあえるこの瞬間
と言うのも幸せだ。この感触は俺に安らぎを与えてくれる。
しかし、この安らぎもほんの一瞬。それ以上の幸福を覚えた者にとっては、さらなる幸せを甘受するための一
呼吸にしか過ぎない。
それは彼女も同じだ。一時の抱擁は、彼女の言葉で終わりを告げる。
「ね……して。」
既に俺の股間は痛いほどギンギンに腫れ上がっている。断るなんて考えてもいない。
黙って頷くと、ジッパーを降ろした。
彼女の膝を内側から捲り上げるように抱えると 自分の一物を反対の手で掴み、彼女に秘所にあてがい、一気
に突き上げた。


「んんっ」
ちょっと苦しそうに眉間にたて皺を寄せて 彼女が呻き声を揚げる。
でも、これは苦痛の表情ではない。(最近になって解ったんだが、最初に入り口を通過する瞬間は結構感じるら
しい。)
ゆっくりと、腰を前後に突き動き出す。
「ハァ、ハァ、ハァァ……ン」
彼女は眉間の縦皺はそのまま、目を閉じて 艶めかしい吐息を漏らしている。
耳元で囁かれる吐息は、どんな媚薬も敵わない。
俺の物に伝わる彼女の中の感覚は 快感として蓄積し、彼女の吐息は、それを何倍にも膨れ上がらせていく。
正直、彼女の中で10回も往復すると いつももう限界ギリギリだった。



それから後は、我慢較べ。
爆発しないよう、処々で休息を入れながら、時に強く 激しく、時に優しく 弱く、出来る限り彼女が気持よく
なるよう、彼女と一緒に絶頂を迎えるよう、彼女の息遣い、表情から彼女の絶頂度合いを探り、それに応じて
腰を調整して動かしていく。職人芸が必要だ。
「ハッ…ハッ…ハッ…アァ……イ……クゥ……」
彼女の息遣いが荒い。漏れる声も艶めかしく変わってきている。そろそろ終わりの時が近い。
それに合わせてこちらも一気呵成に腰を突いていく。景子、イクなら一緒にいこう。
「ハァーーーーーー」
溜息のような喘ぎ声と同時に、俺の物が強く締め付けられた。今まで感じていた快感は一桁上のものに増加し、
竿全体を被う。
と同時に、俺も高みに上り詰め、彼女の中に放出した。


ビュク、ビュク、ビュク……何度かの痙攣の後、自分の物を彼女の中から引き抜く。
彼女の股間からは、白く濁った粘液が泡を立て、床に流れ出た。
ポケットからティッシュを取り出し、彼女の股間を、床に流れ落ち白濁液を拭き取っていく。彼女は恍惚の表
情、、俺のなすがままに受け入れている。

一通り、処置を終えると彼女の肩を抱き寄せてキス。
お互いに舌を絡めあい、吸い合う。あの日までの俺達では考えられなかった、貪りあう激しいディープキスが、
続けられていく。……飽きるまでずっと。



夕日が落ち掛かる中、乱れた服を調え、そそくさと下校の支度をしていく。お互いに一言も喋らず、目線も合
わす事さえない。
恥ずかしくて、と言うわけではない。
それは、強いて言えば後悔の念だ。

――結局、又彼女と最後までしてしまった。――

こんな筈ではなかった。
勿論、男子たるもの 好きな女の子とエッチをしたいと願う事は何らおかしいことではない。
けれども、それだけではない筈だ。
もっと、お互いに高め合い、支えあい、一緒に(セックス以外の)楽しい思い出を作っていく、それが付き合う
ということだと、精神的な充足感が二人の愛にとって最も重要な事だと思っていた。
いや、今もそう思っている。
なのに 実態は、精神的な満足などあさっての方へ投げ飛ばし、ただひたすら肌が触れ合うことを、交じり合
う事を求め、実行した。
いつも彼女と交わった後、『又 体の繋がりを求めてしまった』事に落ちむ。
いつも、今日こそは最後までいくのはやめようと心に誓った。今日こそは普通に顔を合わせ、普通に話し、お
互いの気持を確認して、普通に帰ろうと思ったのに……。

何故?さっきまであれほど幸せぶりを宣伝していたのに、自身も『幸せだ』と宣言した筈なのに……。
幸せだと言った言葉には嘘は無い。確かに俺は幸せだと感じている……彼女に触れている間だけは。

正直に言おう。幸せを感じる異常に苦しいんだ。
彼女の姿が自分の視界に無い時、彼女の素肌が自分に触れていない時、例え様も無い苦しさに発狂してしまい
そうだった。


唯一、彼女と肌を合わせている時だけが、この苦しみから開放される時だった。そして、その余韻に浸れる間
は、この苦しみを味わわずに過ごす事ができた。
だから、会うとどうしても求め……人目が無ければ最後まで行ってしまう。

しかし、余韻が消えれば、苦しみは又押し寄せてくる。
繰り返される苦痛……違う。それは時を追うごとに、彼女との逢瀬を繰り返すごとに、酷さを増していた。
それは、酷い怪我に苦しむ患者に打たれた麻薬と同じだ。
苦しみから逃れるために貪り、一時の安寧に身を委ねる。けれども、得られた安寧の代償として、より一層の
苦渋が課せられ、それから逃れるため、より一層求める……酷い悪循環。

何故、それほどまで傷つきながら強く求める?
何故、肌を触れ合えない事にこれほどまで苦痛を感じるのか?
苦痛……?、苦痛ではない。

それは……恐怖。
俺は、怖れていた。

大切な人が自分の目の前からいなくなる恐怖。一度味わった身としては、もう二度と味わいたくない。
彼女がいなくなる事に恐怖し、その恐怖から逃れるため、彼女の温もりを求めた。その温もりだけが自分達を
繋いでおく絆だと感じ、温もりが消えないように求めつづけたんだ。

彼女がいなくなってしまう?……彼女を誰かに奪われるというのか?
一体誰が?……何にそんなに怯えている?

怯えている?……俺が?…………確かに俺は怯えている。たった一枚の写真に怯えている。
かつて彼女が付き合っていた、彼女のはじめての相手、中川淳という男の写真に。




あの時、彼女は、今は俺だけが好きといってくれた。
俺もそれを信じている……なのに、その後に見た写真に写った元彼に怯え、言葉の証を求めている。信じると
言いながら信じられずに証を求めている。そんな自分が嫌で、自分への嫌悪が自分の苦しみをますます倍加させる。
彼女は?彼女はこんな俺の行動をどう思っているんだろう。
彼女は、これほど自分勝手に愛を求める男にどうして付き合っていられるのだろう?
彼女はこんな俺を優しく包み、求める程に応じて愛を与えてくれているのか?そんな女神様のような人なのか?

違う。
俺だけが求め、彼女だけが与えてきたんじゃない。
お互いに求め合い、与え合ってきたんだ。
彼女だって求めてきたんだ。
彼女だって激しく求め、貪るように愛を奪い取っていったんだ。

彼女にも余裕は見られなかった。
俺と一つになってから、彼女の顔から 落ち着いた 母親のような慈愛にみちた笑顔 といったものが消えた。
どことなく焦っているような表情に変わっていた。
多分、彼女も俺と同じ。俺の後ろに居る(ように見える)誰かの影に怯えているのだろう。

あるはずのない、『伊藤香織』という影に。

馬鹿な話だ。お互いが過去愛したものに決別し、今ある愛に全力を捧げると誓い合ったはずなのに、……それ
なのに、互いの過去の相手の影に心を脅かされ、その苦しさに胸を掻き毟っている。
その苦しみから逃れるために求め合い、肌を寄せ合う……それなのに、近くに寄り添えば寄り添う程、お互い
に傷つけ合ってしまう。まるで互いに鋭いトゲが体中に生えているかのように。


願っていたのは、こんな事じゃなかった。
何で、こんなになっちまうんだ。
俺は、俺には、この人を愛する能力も、資格も無いっていうのかよ?!!

とにかく、今のままじゃダメだ。このまま行けば、二人ともボロボロになって、最後は別れるしかなくなる。
お互い、相手のことを大切に思うのなら、離れたくないのなら、こんな関係じゃいけないんだ。

動き出した歯車は、当事者の思いとは裏腹に、軋みをたて、あらぬ方へと向かっていた。



「ひろクン、ちょっと話があるんだけど、来てくれない?」
久しぶりに香織から声をかけられた。
あの日以来、香織とはまともに話していない。
勿論、こちらが避けていたということもある。
やはり、その後の景子との事、その時の景子から言われた言葉が、どうしても香織を避けるような行動を
とらせていたのは、間違いない。
あいつ自身もそれを察したのだろうか、俺の教室まで来るような事は勿論、電話やメールさえよこすよう
なこともなかった。
唯、時折目が合うと、こいつから悲しそうな視線な視線が送られてくる。その視線を感じる度に、胸を抉
られるような強い痛みを感じていた。
その痛みは、誰に対するものなんだろう。
その視線に答えてやれない、香織へ向けてなのか。
その視線に心を痛めている自分の、景子への贖罪なのか。

「何だよ」
こちらの胸の内を見抜かれない様、努めて無愛想に振り返った俺の目に飛び込んできたのは、いつに無く
悲壮感の漂った香織の目だった。
他愛の無い、下らない用事ならスルーしようと思っていたのだが、断れば自殺でもし兼ねないその目に
気押されていた。きっと、俺の家に押しかけてきた時、こいつの目はこんな感じだったのだろう。
「ちょっと、ここじゃ話せないから、来てくれる?」
既に、俺に選択権はなくなっていた。



3月とはいえ 曇り空に北風の吹く花冷えの中、吹きさらしの屋上には、俺と香織以外には誰もいなかった。
正直、寒い。できるだけ早く終わりにして欲しい。
なのに、こいつは何も話し出さない。悲壮感バリバリの顔でこっちを睨んだままだ。
いくら、これから話す事が大事な話だと分かっていても、こう寒くてはいつまでも待てるわけじゃない。

「で……話って何だよ?」
屋上に上がってから、かれこれ10分はたつ。寒さに我慢するのもそろそろ限界だ。
けれども、香織から返事は返事は無い。

「話が無いのなら、行くぜ」
そう言って帰ろうとした時だった。『フッ』ひとつ深呼吸した音が聞こえた後に、香織が話し出した。

「ねえ、……知ってる?あんたと遠野さんがね、音楽室で……エッチ……してるって、噂が立ってるの」

『エッチ』の言葉に息を呑む。……バレてるのか?彼女とあそこでやった時の事を思い浮かべる。
彼女とした時は、全部しっかり鍵をかけたはず。あそこは防音処理されているから、音は漏れていない
……おそらく、確証はつかまれていない筈。

「ねぇ、どうなの?本当にそんなことは、して……いないよ……ね?」
今度は逆に、自分の質問に答えない俺に不安になったのか、香織が急かしてくる。
……というか、噂の真偽を知りたいというより、むしろ否定して欲しい様に見えるのは、俺の自惚れだろ
うか?
でも、嘘をついて取り繕う理由は何も無い。それに 誰かに本当のことを話して、景子との今の関係に歯
止めをかけたい気持ちが、どこかにあったのだろう。


「いや、……やってるよ」

香織の顔色が見る間に蒼くなっていく。
何で?お前にとって、そんなにショックなことなのかよ?

「そう……なんだ」
声が震えていた。何だか、息も絶え絶えな表情に見ていられなくなる。
そして、またもや沈黙が二人の間に流れる。


「ひろクン、変わったよね」

「そうか?」

「……うん、前のひろクンだったら、こんな事してなかったと思う」

「そりゃ、買いかぶりだ。俺だってエッチな事はしたいよ」

「だけど、そんな……教室でやるなんて……絶対にしなかったはずだよ……ね、やめて。……別に、ひろ
クンと遠野さんがエッチする事に何もいう事はない。何も言う資格ないもの。……でも、学校では……学
校の中でだけは、……しないで、お願い。……じゃないと、私……」

「何、深刻な顔して言ってるんだよ。俺と景子がエッチしていようといまいと、お前には関係ないだろ?」

「そんなこと無いよ!!!」
唐突に香織の声が大きくなる。


「そんなこと、ないもん。……わかってる?学校の中でそんな事したのバレたら、退学だよ?」
「そんなの嫌なんだから。あんたと……ひろクンと一緒の学校に行きたくて、一所懸命に頑張ったのに、
そんなことになるなんて、絶対に許さないんだから……だから、そういうのは、やめて……ね?お願いだ
から」

あの日、景子が言ったことを思い出す。
『伊藤さん、あなたの事、まだ諦めていない』

香織が、俺に対して未だにこんな真剣な気持ちでいてくれていた事に、嬉しさと、同時に胸に痛みを感じた。
香織、どんなにお前が俺に真剣な気持ちを向けててくれても、俺それに答えてやることはできない。今、
俺の心の中にいるのは、景子だ。お前じゃない。
とはいえ、こいつの忠告は至極まっとうなものだ。彼女との事を考えても、学校内での性行為は控えたほ
うが良いのは、間違いない

「解った。彼女と話してみる」

「ちゃんと遠野さんと話し合ってよ。絶対だからね」
言うだけ言うと、香織は こちらに目を合わせようともせず、自分の教室へと戻っていった。

そう、噂になっているのなら、抑えなくちゃな。
でも 丁度良い口実ができたと思う。
彼女も この話をすれば納得してくれるだろう。

自分たちの意志で抑えることができなかった事が悔しいけれど、これで元々思っていた ゆったりした
ほのぼのした関係に戻れるきっかけができたような気がする。
香織には感謝しないといけないな。

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

最近のトラックバック

アクセスランキング

アクセスランキング ☆ランキングの参加は、このページ
http://saeta.blog.2nt.com/
にリンクするだけです☆

ブロとも申請フォーム

お知らせ

(*´Д`)<ハァハァ・・・・・・

かんりにん:(*´Д`)<ハァハァ・・・・・・
相互リンクも大歓迎です。
気に入ったらどんどんリンクしてください。

コメント欄にでも知らせてくださると嬉しいです。

ブログ内検索

注目

ページの先頭へ戻る