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赤い眼_ 第1章

彬は平凡な高校生だった。小学生の時に母をなくしてはいたが、父、大学生の姉、そして中学生の双子の弟と妹といっしょに比較的幸せに暮らしていた。2年前から付き合っている彼女のもいた。彼女の名前はさやかといった。まだ体の関係はないが、すごく仲の良い心の通じ合える彼女だった。
そう、思っていた。

その日の放課後、彬はさやかとデートをしていた。夜の塾までの空いてる短い時間に、二人はよくこうやってデートをしていた。ウインドウショッピングをしたり、喫茶店に入ってたわいもないをしたりと、初々しいデートだった。

そのとき、さやかの携帯にメールが入った。さやかは何気なく携帯を開き、メールを見る。一瞬、さやかの顔がひきつったように見えた。が、次の瞬間にはいつもの朗らかなさやかの顔に戻っていた。

「ごっめーん、お母さんに買い物頼まれてるの忘れてた。催促のメールきちゃった」

顔の前で両手を合わせ、片目を瞑り、小さな舌を出しながらさやかが謝る。彬は少し違和感を感じながらも
「なんだよー、仕方がないなぁ」
とか言って、いつもの調子でおどけてみせた。今日に限らず、さやかは何度かデート中に携帯で呼び出されてどこかへ行ってしまうことがあった。どうせその後はすぐ塾の時間だし、たいていは親からの呼び出しだと聞いていたのでさほど気にもとめていなかったのだが。

しかし彬はそんな不安を言葉にはもちろん、顔にも出さなかった。仮に単なる誤解だったら、それを追及することでこの穏やかな関係が崩れてしまうかもしれない。まだ何の証拠もないし、自分の不安をさやかに押し付けるようなことをしてはいけない。そう思い、自分の気持ちを心の奥底にしまった。

さやかは手を振って帰っていった。彬は少し早いが、塾へと向かう道を歩き始めた。しかし一人になると、さきほど押し込めたはずの不安が膨らみ始めてしまった。まさか浮気してるとは思わない。でも・・・・・・。

そんなことを考え始めると、不安と苛立ちで体が熱くなってくるような気がした。皮膚がビリビリと震えるような不快な感覚。それが嫉妬の感覚だと、彬ははじめて自覚した。とても塾に行くような気分ではなかった。かといってさやかに問いただすこともできない。彬は悶々としながら、しばらく街を歩き、とりあえず今日は塾をサボって家へ帰ることにした。

家に着くとあたりはすっかり暗くなっていた。本来ならまだ塾にいる時間だ。突然家に帰ってきたら、家族はどんな顔をするのだろうか。父親は怒るかもしれない。でもそんなこともどうでもよかった。とりあえず自分の部屋に帰って横になりたかった。

玄関のドアを開ける。と、そこに不思議なものがあった。

「さやかの・・・・・・靴?」

玄関先に、確かにさっきさやかが履いていたブーツが脱いであったのだ。姉や妹が同じものを持っているということも考えにくい。新品にしては少しくたびれているし、何よりさっき一緒にいるときに目にしたさやかの靴に間違いない。

何がなんだかわからないうちに、彬は本能的に足音を忍ばせ、奥へと入っていった。居間の方から何かが聞こえる。人の話し声のような・・・・・・しかし話し声にしてはトーンの高い声。規則的に聞こえる声。経験はなくともわかる、アダルトビデオなどで聞いたことのあるそれ。女の喘ぎ声だった。

「あっ、あっ、すごいっ、いいっ!!」

聞こえてくるその声に、彬は確かに聞き覚えがあった。それは愛しい恋人の声に間違いなかった。脳がしびれ、全身から力が抜けていくような感触。まるで目の前が真っ赤になって見えなくなるような感覚。嫉妬や怒りを越えた、それは絶望の感覚だったかもしれない。彬は寒さではなく、気持ち悪さで少し身震いした。

ドアがうっすらと開いている。彬は向こう側から見られないように極力注意を払いながら、その隙間から室内を覗いた。見たくはないという思いも強かったが、見て確かめずにはいられなかった。果たして、そこには思った通りの光景、いや、思った以上の光景が広がっていた。

居間の真ん中に敷かれた絨毯に四つんばいになっている全裸のさやか。とても綺麗な裸だった。ずっと見たいと思っていたけれど、見られなかったさやかの肌。何度か誘ったことはあるが「私達まだ高校生でしょ」と断られ続けていた。その裸がいま、目の前にあって、違う男に汚されている。

そしてそのさやかの美しいお尻に腰を撃ちつけているのは、厳しくも優しい、尊敬していたはずの彬の父だった。ありえない光景だった。

ソファーの上にもう二人の人間がいた。こちらも彬がよく見知った顔だ。弟の太陽と妹の月子が、こちらも全裸で絡まっていた。まだ成熟しきっていない弟と妹の体が、大人の行為をしている。双子とはいえ仲が良すぎると思ったこともあったが、まさかこんなことになっていようとは思っても見なかった。姉の姿だけは、室内にはないようだった。

「ほら、こんなに濡れてぐちゅぐちゅいってる。恋人とのデートをほっぽりだして、まったく酷い娘だ」

言いながら、父はパンパンと音を響かせてさやかの白いお尻に腰を打ちつける。遠目ながらにも、父の太く怒張したものが、さやかの股間に出入りしているのがよくわかった。そのたびに、さやかの形のよい胸がゆれ、顔をほてらせた口から
「あっ、あっ」
と吐息が漏れる。さやかは彬がいままでに見たことのない淫らな表情で、その行為を楽しんでいるようだった。

「あっ、あん、私をこんなにしたのは、おじさまでしょう・・・・・・」

さやかは嬉しそうな声をあげながら、肩越しに父の顔を振り返る。父は意地悪をするように腰の動きを早めた。さやかは一段と大きな声を出して、眉根にしわをよせて目をつむり、絨毯をつかむように指先を強く曲げた。

「っつたく兄貴もバカだよなぁ。何にも知らないんだから」

口を開いたのは、ソファーの上で双子の妹の月子と体を絡めている、弟の太陽だった。太陽はソファーの上に座り、その上に月子が向かい会うように座っている。太陽が月子の腰のあたりを支えて、月子は太陽の首に腕をかけ、お互いを抱きかかえているような姿勢だった。はっきりとは見えないが、おそらく陰部はつながっているのだろう。ソファーの振動を利用して、太陽がギシギシと動き、そのたびに上に載っている月子が快感の声をあげていた。

「そこがお兄ちゃんのいいとこなんじゃない」

そうフォローしたのは月子だった。

「なんだ月子、兄貴のことかばうのか?そんな奴にはお仕置きしてやらないといけないなぁ」

そう言いながら、太陽は月子の腰を掴んでいた手を下に滑らせ、お尻の肉を掴んで左右に開き、指先でそこに開いた後ろの穴を刺激し始めた。

「父さん、月子のお尻にお仕置きしてやって」

父がそれを聞いて、さやかから離れる。するとさやかが、父の聳え立つ陰茎にすがるようにして訴えた。

「いや、いや、やめないで。もっと欲しいの」
「まあまあ、待ちなさい、さやかちゃん。まだ時間はある。彬が帰ってくるまでまだ時間はあるんだから、ゆっくり楽しもう。少し月子にお仕置きしたら、またたっぷりかわいがってあげるから」

さやかは少し拗ねたような顔をしながら、父の陰茎から手を放した。父はそのさやかの顎を掴み、濃厚なキスをした。さやかはうっとりしながらそれを受け止めている。父の唇が離れると、二人の口の間に唾液の筋が伸びた。さやかはとろんととろけた瞳で父を見つめていた。

彬もさやかと何度かキスをしたことはあるが、唇と唇が触れる程度のもので、あんな濃厚なキスはしたことがない。したいと思ったことはあるが、さやかに悪いと思って遠慮していた。それなのに・・・・・・。

父は、太陽の上で揺れている月子の後ろにやってくると、その細い腰をぐっと掴んだ。まだ太陽がお尻の肉を開き、穴に指を出し入れして刺激している状態だったので、父の方には月子の肛門が丸見え状態だった。

「お、お尻まだ慣れてないから優しくしてね」

月子が言う。

「はは、嫌とは言わないんだな」

父が答える。

「だって、気持ちいいんだもん。あ、あんっ」

月子が話し終えないうちに、父のモノが月子の後ろの穴に入っていったようだ。慣れてない言いながら、あっさりと父の大きなモノを咥えてしまったようだった。

「あっ、あっ、すごっ、中で、中でこすれてる!!」

月子のお尻に向かって腰を動かしている父の足元に、さやかがやってきた。さやかは父のお尻の方に入り込むと、そこを開いて顔を近づけていく。まさか、やめてくれ、と彬は念じるが届くはずもない。そのままさやかは、父の肛門に舌を這わせはじめた。

月子が二人の肉親の男に激しく疲れながら叫ぶ。幼い体が跳ね、快感に歪む。やがて月子の声が高まっていき、
「いっくーー!!」
と絶叫して太陽の上に突っ伏した。それでも、二人の男の攻めは止まない。倒れた月子の体に容赦なく二本の肉棒がぶち込まれて行く。

ほどなく、感覚を取り戻した月子が再び喘ぎ始める。

「だめ、だめ、まじすごい、またイッちゃう!」
「うっ、そろそろ俺も!」

太陽と月子が叫ぶ。同時に、二人の体がびくんびくんと痙攣し始めた。

「あっ、あっ、出てる、お兄ちゃんの中に出てる」

どうやら月子の膣に突き刺さった太陽の陰茎が中出ししているようだった。

「二人とも情けないなぁ。もうイッっちゃったのか」

父がそう言いながら、まだ果てていない陰茎を月子の尻の穴からゆっくりと抜いた。その陰茎は月子の体液と排泄物で少し汚れていた。その陰茎に向かって、さやかが飛びついた。何をするのか、やめてくれ、とまた念じる彬だったが、その思いはやはりさやかには届かない。さやかは掴んだその父の大きなものを自分の口に持って行き、そこに付着した月子の汚物をぬぐうこともなく、それを口に含んだ。そして嬉しそうな顔で、それを舐め始めたのだ。

「さやかちゃんは優秀だなぁ。ものすごくエッチだし、しっかりするべきこともわかってる。おじさんうれしいよ」

父が薄ら笑いを浮かべて、自分の汚れたものを綺麗にしているさやかを見下ろしている。こんな父の醜い顔は見たことがない。見たくもなかった。そしてこんなさやかの姿も。その父の顔を見上げながら、さやかは父のモノを加えた顔を前後に揺さぶる。

「まったく、こんなイイ子が彬の彼女だなんて」
「いいえ、今は私のすべてはおじさまのものです」
「ははは、本当にイイ子だ。じゃあそんなさやかちゃんにはご褒美だ」

父はそう言いながら、さやかの体を絨毯の上に横たえた。さやかの顔は赤く火照り、期待に輝いているようにさえ見える。反比例して、彬は苦しさに歯を食いしばり、ものすごい頭痛にさいなまれていた。それでも、その場を離れることが出来ずにいた。

父がさやかの股間に割って入り、さやかのしなやかな白い足を自分の肩にかけた。そして膨らみきった陰茎をさやかの股間に当てると、一気に体を前に押し出した。

「あっ、ああん!」

さやかが喜びの声を上げる。同時に、父がものすごい勢いで腰を動かし始めた。

「だっ、だめ。すごっ、すごい。おじさま、そんなにされたらあたし・・・・・・」
「いいよ、さやかちゃん。たくさんイきなさい。これはご褒美なんだから」

言いながら、父が手を伸ばし、さやかの形のよい胸をわしづかみにする。ずんずん、と音がしてきそうな腰の動き。父の大きなものは、さやかの小さな体の一番奥まで貫いているようだった。

「あっ、いくっ、いくっ、おじさま、いちゃうーーー!!」

そう叫んで、さやかは絨毯に爪を立てながら果てた。ぐったりとしているさやかを、さらに父の陰茎が攻め立てる。

「だめっ、だめっ、おじさま、さやかおかしくなっちゃう」
「なんだ、まだおかしくなってなかったのか。じゃあもっと突いてあげないといけないな」

父はそう言いながら、ひょいとさやかの体を持ち上げた。さやかが反射的に父の首にすがりつく。そのまま父は、さやかの体を抱いて立ち上がった。

「うおっ、駅弁!」

太陽が体を起こして、おどけた声で叫ぶ。

「だめ、これ奥までささっちゃう。怖い、怖いよおじさま」
「だいじょうぶ、その感覚に身をゆだねなさい」
「だめっ、だめっ、あっ、さやか、さやかもう何も考えられない!!」

空中で父に支えられて揺れているさやかが鳴き声を上げる。父が突き上げるたびに、さやかのからだがびくんびくんと跳ねているように見える。感じているのか、イっているのか、もうさやかはまともに声も出せないようで、ただ必死に父の首にしがみついてもだえていた。

「さあ、さやかちゃん、次はどうしてほしいのかな?」

さやかを揺さぶりながら父が問う。さやかは完全に呆けた目で父の顔を見て、苦しそうな息の合間に言った。

「お、おじさまのが欲しい。おじさまの出してほしいの」
「何を出して欲しいのかな? ちゃんと言わないとわからないよ」
「おじさまの精子欲しいの。おじさまのスペルマ、中にいっぱいくださいっ!」
「そうか。でもそんなことしたら赤ちゃんができてしまうぞ」
「いいのっ、おじさまの赤ちゃん欲しい。いっぱい欲しいの。出して、出してください、お願いします!」
「そうかそうか。よし、じゃあたっぷり出してあげるからね」

そう言うと、父はさらに激しくさやかをゆさぶりはじめた。さやかの体が上に持ち上がり、どすんと落ちる。同時に父のモノがさやかに深々と突き刺さる。そのたびにさやかが悲鳴のような善がり声を上げる。二人の体液がこすれる、じゅぷじゅぷという音が、彬の元まで聞こえてきていた。

「さやかちゃん、じゃあそろそろいくよ」
「来て、来てください! いっぱい出してさやかを妊娠させてください!」

ひときわ深く、父のモノがさやかの中に突き刺さった。
「うっ」
と小さく父がうめき、同時に腰がびくん、びくんとはぜる。さやかは腰をがくがくと震わせながら、よだれを垂らして父の首にしがみついていた。

「あっ、出てる・・・・・・、さやかの中におじさまのがいっぱい出てる・・・」

言葉どおり、二人の結合部から、父が射精した白い液体がどろっとあふれ出して来ていた。それが絨毯を汚す。

彬は静かにその場を離れた。見るべきではないものを見てしまった。そんな気分だった。皆に気づかれないように玄関から家を出た。行く当てはなかったので、とにかく歩いた。どこをどう歩いたかなど覚えていなかった。体が恐ろしく重く感じられ、歩きながら何度か吐きそうになった。頭の中を、さやかの喘ぎ声といま見た光景がぐるぐると渦を巻き、それらが怒りと絶望と恐怖を繰り返し生み出してゆく。興奮したというよりは、とにかく怒りに打ち震えていた。行為を見ながら勃起はしなかった。ひょっとするとこのまま一生勃起できないのではないかとさえ思ったほどだった。

2時間ほどさまよった後、いつのまにか彬は家の前に戻っていた。玄関のドアを開ける。さやかのブーツはもうなかった。変わりに姉の靴が脱いである。

居間までいくと、そこにはいつもの一家団欒の光景が広がっていた。ソファーに座ってテレビを見ている父と太陽。洗い物をしている姉。ちょうど風呂から月子があがってきたところだった。まったくの日常、まったくの平凡な光景。さっき見たのは夢か幻だったのではないかとさえ思う。いや、そうであったらどれだけ救われただろうか。

「あ、お兄ちゃんおかえり、おそかったね」

月子がいつもの調子で声をかけてきた。

「あ、ああ、ちょっと寄り道してて」
「受験生なんだからあんまり遊びまわってるんじゃないぞ」

今度は父が声をかけてくる。

「お父さん、彬は彬でがんばってるんだから。少しくらい息抜きしたっていいじゃない」

姉が助けに入る。太陽はテレビに熱中してるのか、会話には入ってこなかった。

「御飯は?」

母代わりの姉が尋ねてくる。彬は
「うん適当にすませたから、ごめん」
とか何とか言って、さっさとその場を出て行った。居間にはいたくなかった。その絨毯にはさやかと父が交わった体液がこぼれ、そのソファーには兄妹が繋がってこぼしたものが付着しているはずだ。そんな場所に、これ以上いられるはずがなかった。

けっきょく彬は今日見たことを誰にも切り出せなかった。姉はあの場にいなかったとはいえ、彬が塾に行っている時間にはたいてい家にいるはずだ。それに太陽が「知らないのは兄貴だけ」と言っていたことから考えても、姉もあの狂乱に加わっている可能性は高いと思われた。

どうしていいかわからなかった。誰にも相談できない。なぜ自分の彼女が父にまたがって善がりくるっているのか、父と子、兄と妹が生でつながり、あまつさえ中で射精なんてことができるのか。彬には理解できなかった。

けっきょく彬は、気が狂いそうなほど悶々としながらも、その記憶を封印することしかできなかった。

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