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嫁の彩たんが寝てる間に-33-

再び、新宿の居酒屋。
渡辺「ほんとにすまん!」
俺「ちょっと腹立つけど、いいよ。お前が彩のこと好きだったのは俺も知ってるから」
渡辺「ほんとにすまんな」
俺「お前のおかげで、俺も彩のことが今でも好きなのがわかったから」
渡辺「本気か?」
俺「ああ、マジだ」
居酒屋を出ると俺は勇気を振り絞って彩に電話を掛けた。
俺「久し振り!彩」
彩「えっ、どうして?」
俺「今からそっちの近くまで行ってもいいか?話したいことがある」
彩「・・・・・今、どこにいるの?」
俺「東京に来てる。少しだけでいいから時間をくれないか?」
彩「うん。わかった」
それだけ言うと俺は彩の実家の最寄りの駅へと向かった。


彩に会いに行く電車の中で俺はこれまでの自分の人生について振り返る。
バイト先での彩との出会い。
彩の就活。そして内定。海外研修旅行。小林。
彩の就職。島村。
俺の九州への異動。智美との出会い。
智美の過去。智美の身体を駆け抜けていった男達。
尾崎。伊藤。大橋。
平山の配属。
そして智美との別れ。
渡辺からの電話。

1つ1つの出来事が、今に繋がっている気がした。
そして今、俺は再び彩のところへ向かっている。
彩は俺のことを受け入れてくれるだろうか。
受け入れてくれなければ、それも運命だろう。
今は自分の気持ちに正直に行動しよう。そう決めた。
そんなことを考えているうちに駅に着いた。
人波を掻き分けて改札へと向かう。


改札の向こうに彩が立っていた。
約1年半ぶりの再会。彩は髪を茶色に染めて少し大人びて見えた。
二人、何も言わず、じっと見つめあう。
彩の目が少し潤んでいるようにも見えた。
俺「久しぶり!」右手を差し出す。
彩「ほんとだね」右手を差し出して、俺の手に重ねた。
少年のころの気持ちに戻ったようで、ドキドキした。
俺「ちょっとだけ、時間くれる?」
彩「うん」
そう言うと俺は彩の手をとって歩き出した。

駅の近くの公園のベンチ。
この公園は、付き合いだしたころよく行ったところだった。
俺「元気だった?」
彩「うん」
そんな通り一遍の会話を続けた。
なかなか言いたい一言が口に出せない俺がいた。

時間はあっという間に経った。
俺の新宿へ戻る終電の時間が迫っていた。
彩「そろそろ行かないと終電乗り過ごしちゃうよ」
俺「ああ」
彩「今日は来てくれてありがとう。久しぶりに話せてうれしかった」
話したいことは何ひとつ言えてないのにこのまま帰るのか!
俺、勇気を振り絞って「彩!」
彩「なに」
俺「出張で東京に出てきたなんて嘘で、本当は彩に会いに来たんだ」
彩「えっどうして?」

俺「電話で渡辺から彩のこと聞いて、じっとしていられなくて!」
俺はこれまでのいきさつを彩に話した。
「○○はこれからどうしたいの?」
彩が聞いてくる。
「彩とやり直したい!彩が好きだ」
俺ははっきりと伝えられた。
彩、少しだけ考えて、
「もう、終電の時間だから、○○君戻って。明日私が新宿に行くわ。
その時、返事してもいい?」

新宿へ戻る電車の中。
俺は彩とのやり取りを振り返った。
伝えたいことは伝えることができた。
だが、その場で返事がもらえることを期待していただけに、少し肩透かしを
くらった気がしていた。
そう考えると不安になった。


その日は眠れなかった。
勢いで上京し、渡辺に会い、そして押しかけるように彩に会いに行った。
そして、何の駆け引きもなしに彩へ告白した。
これで本当によかったのだろうか。
もっとじっくり話をしてからでも遅くはなかったのではないか。
そんなことが頭を駆け巡った。
考えれば考えるほど不安は大きくなり、
終いには彩と島村は付き合っているのではないかなど考えだした。

そんなことを考えて、ウジウジしている自分が嫌だった。
彩に会え、思いを伝えることができ、今回の上京の目的は果たせたじゃないか。
それでダメだったらキッパリ諦めようじゃないか。
久しぶりに彩に会えてうれしかっただろう。
それに明日(実質的には今日)も、また会えるじゃないか。
それだけでも十分だよな。
そう考えると不思議に気持ちが落ち着いた。
俺は深い眠りについた。


翌朝、電話が鳴っていた。
まだ、寝ぼけた状態で着信も見らずに電話を取った。
「おはよう!まだ寝てたよね?」
この声は誰だ!俺は自分が新宿のビジネスホテルにいることすら分かっていない。
「おはよう」とりあえず答えておく。
「○○の部屋っていくつ?」
彩だ!ようやく気付いた。時間を見ると7時30分だった。
俺「512だよ。今どこにいるの?」
彩「ホテルの下。今からそっちに行っていい?」
そう言うと彩は電話を切った。

慌てて身支度をする俺。
着替え終わるのと同時に部屋のドアをノックする音が聞こえた。
開けると彩が立っていた。
彩「来ちゃった」
俺「はえーな。何時に起きて家でてきたんだよ?」
彩「6時前に起きたよ。昨夜はほとんど眠れなかったから」
彩をじっと見つめる。彩の目がウルウルしていた。
ただ愛おしいと思って抱きしめた。
彩も俺の背中に手を伸ばし、抱きしめ返してきた。
俺たちは一時無言で抱きしめ合った。

コメント

とっても良いよ~。ウルウルhttp://blog65.fc2.com/image/icon/e/263.gif" alt="" width="14" height="15">
素敵ですhttp://blog65.fc2.com/image/icon/e/343.gif" alt="" width="14" height="15">

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