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変わる関係、移ろう日々 ~6~
- 2008/04/11
- 10:05
操の母の声から判断するにいつもの彼女に戻ったように感じた。
二人で何やらティッシュで股間の辺りを拭いている。
『いいじゃないか、たまには家でしてみるのもいいもんだろ?』
そう言いながらキスをする。
(あっ…)
宗治にもキスというものが恋人などがする、ということはおぼろげながら知っていた。
そして、自分の中に悲しみがあることを理解した。
宗治の瞳から涙がこぼれ落ちる。
二人で何やらティッシュで股間の辺りを拭いている。
『いいじゃないか、たまには家でしてみるのもいいもんだろ?』
そう言いながらキスをする。
(あっ…)
宗治にもキスというものが恋人などがする、ということはおぼろげながら知っていた。
そして、自分の中に悲しみがあることを理解した。
宗治の瞳から涙がこぼれ落ちる。
『もう、健吾のH…』
呆れたような声で操の母が言う。
『洋子…』
父の声が真剣さを帯びる。
普段も真面目な父だが、いつもよりもその色あいは濃かった。
『結婚しよう』
その言葉に、しばらく沈黙が続く。
やがて、操の母がそれを破る。
『私で…いいの?操もいるのよ?』
彼女の言葉には不安が込められていた
宗治にはなぜ不安そうにするのかわからない。
父が力を込めて語りかける。
『それを言うのなら、俺にも宗治がいる。俺は宗治と洋子とミサオちゃんと4人で幸せになりたいんだ。
宗治はミサオちゃんと仲が良いようだし、洋子のことも慕ってる。きっと家族になれる』
『嬉しい…健吾』
涙交じりの声には喜びが含まれていた。
二人で抱き合う。
『愛してる…洋子』
『私も…愛してる』
口づけを交わす二人。
宗治には分からないことだらけだった。
それでも二人が好き合っていて操の母が宗治に父に対するような眼差しを向けたり、キスをすることはないということは分かった。
(ミサオちゃん…)
操のことをすっかり忘れていたことを思い出し、今の状況が一秒続くごとに悲しみが深まっていた宗治は操の元へ行くことにした。
『遅いよ、ハルくん!何してたの?』
公園で待たされていた操はかんかんに怒っていた。
宗治はあの後、泣いたのがばれないように顔を洗っていたらさらに遅れてしまった。
『あのさ、ミサオちゃん…僕のお父さんとミサオちゃんのお母さんがケッコンするとしたらどう思う?』
『ママとハルくんのパパってケッコンするの?
いいなあ、ママ、ウェディングドレス着れるんでしょ?すっごく綺麗だよ、きっと』
羨望の含まれる声で操が言った。
彼女の興味はウェディングドレスにあるようだ。
『でも、ハルくん。そしたら、どっちがお姉ちゃんになるの?』
そんなこと考えてもみなかった。
『ミサオとハルくんって誕生日おんなじだよね?どっちが年上なのかな?』
二人の誕生日は同じ日なのだ。
『どうなのかな…』
先ほどの悲しみを忘れるために宗治はそのことを考えてみる。
『ミサオがお姉ちゃんね!』
元気良く操が言う。
『どうして?』
『お姉ちゃんがいいから!』
特に根拠はないようだった。
『ミサオちゃんの方が子供だと思うけどな』
自分も子供のくせに宗治はそう言った。
『どうして?』
宗治の言葉に操は不満そうな顔をする。
『だって、お母さんのことママっていうし、自分のこと「ミサオ」って言うじゃん』
『む~、そんなの関係ないよ』
どうしてか、「姉」がいいらしい。
『あるよ』
『ないよ』
『あるよ』
『ないもん!』
二人で次第にムキになっていく。
結局、その日はラケットを使うことがなかった。
どちらが年上かで言い争いになり、しまいにはつかみ合いの喧嘩になった。
そう言えば操が自分のことを「ボク」と呼ぶようになったのは、この時に「自分のこと「ミサオ」って言うのは子供っぽい」と宗治がさんざん言ったからだった。
家に帰って父に操と喧嘩したことを言うと「女の子に何てことをするんだ!」と叱られてしまった。
だが、操と喧嘩することで、宗治は悲しみから立ち直ることができた。
しばらくして、父と操の母が結婚するという話を父の口から聞いた時も涙を流すことはなかった。
そして、二人で一緒に遊んだ。
幼かった二人は両親の真似をして、キスもした。
二人とも大人と同じことをしてドキドキした。
『えへへ、お母さんとお父さんとおんなじだね』
二人で交わした笑顔。
喜びも、悲しみも、宗治と操はいつでも一緒に体験したのだ。
やがて、新しい家に引っ越し、成一という友達ができても変わらないはずだった。
はずだったのに。
ピピピッ。
「……んっ」
目覚ましの音で目を覚ます。
いつの間にか寝てしまったようだ。
今の自分は中学生で幼稚園児などではない。
そして、あの時は操が傍にいることで慰められたが――
『…好きなんだ。セーくんのこと』
操の告白。
『こ、この…もうボクの部屋に来んな、バカ!』
宗治に向けられた怒りの眼差し。
これからは宗治自身でどうにかしなければならない。
「ミサオと坂上のこと……僕は応援しなきゃな、これからは」
起き上がり、意識を覚醒させていく。
今日からはもう、自分が操を起こすことはないのだろう。
いつもなら操を起こすはずの時間になっても宗治は操の部屋にいくことはできなかった。
どんな顔で操の部屋にいけるというのだろうか。
仕方なく、宗治は一人で一階へ降りる。
すでに操は朝食を食べていた。
「ミサオ…その…おはよう」
「………」
操はじろりと宗治を一瞥するとそのまま食事を再開した。
「二人とも、今日は私高校の頃の友達と会うからお夕飯はミサちゃんとハルくんで作ってね」
「「はーい」」
思わず、宗治と操の二人の声が重なる。
宗治と操は一瞬顔を見合わせる。
驚いた表情はすぐに消え冷たい視線を宗治に向けたあとそっぽを向く操。
結局一言も交わすこともなく、操はさっさと食事をして準備を終えると学校へ一人で行ってしまった。
「ミサちゃんと喧嘩したの?」
義母の洋子が聞いてくる。
「うん…」
宗治は力なく頷く。
今回の件では宗治は覗きをしてしまったので、宗治としてはこちらから謝るしかない。
だが、謝るにしても向こうが話を聞いてくれない。
宗治にしてもオナニーを覗かれてしまっては笑って許すというのは困難であろう。
だから、どうしていいかわからない。
「行ってきます」
「いってらっしゃい、ちゃんと仲直りするのよ」
その言葉を背に宗治は学校へ向かった。
同じ学校に行っているのだから宗治と操は同じ方向へ歩く。
ただし、操とは距離を開けて歩いていた。
途中で成一と会う。
「よう、ハル。ミサオはどうしたんだよ?」
「おはよう、セイ……まあ、ちょっと喧嘩をしてね」
説明のしようもなく、宗治は困惑を言葉に乗せた。
「おはよう、セーくん。行こ」
宗治を無視して、操は成一の手を掴むとそのまま足早に進む。
「えっ…?でもハルはどうす…」
「行こ」
怪訝な表情を見せる成一を横目に、操は成一を促す。
困惑した表情を見せた成一だが、操に促され二人で歩きだした。
「………」
宗治は二人が歩いているのを後ろから一人でとぼとぼと歩いて行った。
呆れたような声で操の母が言う。
『洋子…』
父の声が真剣さを帯びる。
普段も真面目な父だが、いつもよりもその色あいは濃かった。
『結婚しよう』
その言葉に、しばらく沈黙が続く。
やがて、操の母がそれを破る。
『私で…いいの?操もいるのよ?』
彼女の言葉には不安が込められていた
宗治にはなぜ不安そうにするのかわからない。
父が力を込めて語りかける。
『それを言うのなら、俺にも宗治がいる。俺は宗治と洋子とミサオちゃんと4人で幸せになりたいんだ。
宗治はミサオちゃんと仲が良いようだし、洋子のことも慕ってる。きっと家族になれる』
『嬉しい…健吾』
涙交じりの声には喜びが含まれていた。
二人で抱き合う。
『愛してる…洋子』
『私も…愛してる』
口づけを交わす二人。
宗治には分からないことだらけだった。
それでも二人が好き合っていて操の母が宗治に父に対するような眼差しを向けたり、キスをすることはないということは分かった。
(ミサオちゃん…)
操のことをすっかり忘れていたことを思い出し、今の状況が一秒続くごとに悲しみが深まっていた宗治は操の元へ行くことにした。
『遅いよ、ハルくん!何してたの?』
公園で待たされていた操はかんかんに怒っていた。
宗治はあの後、泣いたのがばれないように顔を洗っていたらさらに遅れてしまった。
『あのさ、ミサオちゃん…僕のお父さんとミサオちゃんのお母さんがケッコンするとしたらどう思う?』
『ママとハルくんのパパってケッコンするの?
いいなあ、ママ、ウェディングドレス着れるんでしょ?すっごく綺麗だよ、きっと』
羨望の含まれる声で操が言った。
彼女の興味はウェディングドレスにあるようだ。
『でも、ハルくん。そしたら、どっちがお姉ちゃんになるの?』
そんなこと考えてもみなかった。
『ミサオとハルくんって誕生日おんなじだよね?どっちが年上なのかな?』
二人の誕生日は同じ日なのだ。
『どうなのかな…』
先ほどの悲しみを忘れるために宗治はそのことを考えてみる。
『ミサオがお姉ちゃんね!』
元気良く操が言う。
『どうして?』
『お姉ちゃんがいいから!』
特に根拠はないようだった。
『ミサオちゃんの方が子供だと思うけどな』
自分も子供のくせに宗治はそう言った。
『どうして?』
宗治の言葉に操は不満そうな顔をする。
『だって、お母さんのことママっていうし、自分のこと「ミサオ」って言うじゃん』
『む~、そんなの関係ないよ』
どうしてか、「姉」がいいらしい。
『あるよ』
『ないよ』
『あるよ』
『ないもん!』
二人で次第にムキになっていく。
結局、その日はラケットを使うことがなかった。
どちらが年上かで言い争いになり、しまいにはつかみ合いの喧嘩になった。
そう言えば操が自分のことを「ボク」と呼ぶようになったのは、この時に「自分のこと「ミサオ」って言うのは子供っぽい」と宗治がさんざん言ったからだった。
家に帰って父に操と喧嘩したことを言うと「女の子に何てことをするんだ!」と叱られてしまった。
だが、操と喧嘩することで、宗治は悲しみから立ち直ることができた。
しばらくして、父と操の母が結婚するという話を父の口から聞いた時も涙を流すことはなかった。
そして、二人で一緒に遊んだ。
幼かった二人は両親の真似をして、キスもした。
二人とも大人と同じことをしてドキドキした。
『えへへ、お母さんとお父さんとおんなじだね』
二人で交わした笑顔。
喜びも、悲しみも、宗治と操はいつでも一緒に体験したのだ。
やがて、新しい家に引っ越し、成一という友達ができても変わらないはずだった。
はずだったのに。
ピピピッ。
「……んっ」
目覚ましの音で目を覚ます。
いつの間にか寝てしまったようだ。
今の自分は中学生で幼稚園児などではない。
そして、あの時は操が傍にいることで慰められたが――
『…好きなんだ。セーくんのこと』
操の告白。
『こ、この…もうボクの部屋に来んな、バカ!』
宗治に向けられた怒りの眼差し。
これからは宗治自身でどうにかしなければならない。
「ミサオと坂上のこと……僕は応援しなきゃな、これからは」
起き上がり、意識を覚醒させていく。
今日からはもう、自分が操を起こすことはないのだろう。
いつもなら操を起こすはずの時間になっても宗治は操の部屋にいくことはできなかった。
どんな顔で操の部屋にいけるというのだろうか。
仕方なく、宗治は一人で一階へ降りる。
すでに操は朝食を食べていた。
「ミサオ…その…おはよう」
「………」
操はじろりと宗治を一瞥するとそのまま食事を再開した。
「二人とも、今日は私高校の頃の友達と会うからお夕飯はミサちゃんとハルくんで作ってね」
「「はーい」」
思わず、宗治と操の二人の声が重なる。
宗治と操は一瞬顔を見合わせる。
驚いた表情はすぐに消え冷たい視線を宗治に向けたあとそっぽを向く操。
結局一言も交わすこともなく、操はさっさと食事をして準備を終えると学校へ一人で行ってしまった。
「ミサちゃんと喧嘩したの?」
義母の洋子が聞いてくる。
「うん…」
宗治は力なく頷く。
今回の件では宗治は覗きをしてしまったので、宗治としてはこちらから謝るしかない。
だが、謝るにしても向こうが話を聞いてくれない。
宗治にしてもオナニーを覗かれてしまっては笑って許すというのは困難であろう。
だから、どうしていいかわからない。
「行ってきます」
「いってらっしゃい、ちゃんと仲直りするのよ」
その言葉を背に宗治は学校へ向かった。
同じ学校に行っているのだから宗治と操は同じ方向へ歩く。
ただし、操とは距離を開けて歩いていた。
途中で成一と会う。
「よう、ハル。ミサオはどうしたんだよ?」
「おはよう、セイ……まあ、ちょっと喧嘩をしてね」
説明のしようもなく、宗治は困惑を言葉に乗せた。
「おはよう、セーくん。行こ」
宗治を無視して、操は成一の手を掴むとそのまま足早に進む。
「えっ…?でもハルはどうす…」
「行こ」
怪訝な表情を見せる成一を横目に、操は成一を促す。
困惑した表情を見せた成一だが、操に促され二人で歩きだした。
「………」
宗治は二人が歩いているのを後ろから一人でとぼとぼと歩いて行った。