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変わる関係、移ろう日々 ~9~

 暖房の効いた脱衣所の前に来るとシャワーの音が聞こえた。
 いつも使っている場所なのに、扉一枚向こうに操の裸があると思うといつもとまるで違う気持ちになる。
(入っても、いいよね)
「ミサオ、僕も体きれいにしたいから入ってもいい?」
 声をやや大きくして聞こえるように言う。
 返事が聞こえる前に扉を開ける。
 そこには何も身にまとっていない操がいた。
「ハ、ハルくん、どうして」
 驚いた表情を浮かべる操。
「久しぶりにお風呂にいっしょに入ろうと思って」
 すらりとして無駄のない体つき。
 シャワーを浴びているので当たり前のことであっても興奮する。
 操はペタンと女座りをして座り込み、胸元と秘所を慌てて手を使い隠す。
「…ハルくん、見ないで…」
 宗治を見つめながら弱々しい声で操が言う。
 しかし、操の顔に怒りや拒絶でなく羞恥の色が浮かんでいることに宗治は気づく。
「昔は一緒に入ってたし、いいじゃんか。」
「……だって…恥ずかしいよ」
 消え入りそうな声で操が呟く。
「ミサオはすごくきれいだよ、全然恥ずかしくないよ」
 操のしなやかな肉体は宗治の欲情をあおる。
 この場で押し倒したくなるのをこらえて操の反応を待つ。
「だって…ボク、胸ないし……それに」
 確かに操の胸は薄い。


 それでも、かつて一緒に風呂に入っていた時よりは膨らんでいたし、隠す前に一瞬見えたほんのりと色づいた桜色の乳首も宗治をそそる。
 それらは宗治に十分「女」を感じさせ、宗治のペニスを刺激させた。
「それに?」
「だって、その……」
 もじもじしながら操が言う。
 操が宗治の股間を見つめる。
 そそり立つペニスを凝視されるのは宗治も確かに恥ずかしく、操もそうなのかと思った。
 しかし、違うようだ。
「ハルくんは、生えてるよね」
「うん」
 小学校の高学年に入ってから徐々に生えてきたのだ。
 最初は驚いたが今は別に気にしていない。
「ボクは…生えてないんだ」
「だから何が?」
「あの、ここの…」
 自らの股間の方を指さす。
 そうは言ってもきつく閉じられている上に手で隠しているので見えない。 
「絶対に馬鹿にしないから見せて」
 操が足を開けば、操の女性を見ることができるのだ。
「うん…」
 微かに頷き操が覚悟を決める。
 おずおずと操が姿勢を正し、足を開く。
 操の体が緊張で強張っているのが傍目にもわかる。
 操の足の付け根の秘所が宗治の目にさらされる。
 そして、そこは無毛だった。
「他の子はあるのに、ボクにはないんだ…」
「すごく、きれいだよ」
「えっ?」
 宗治の言葉に操が驚いたような表情になる。
 操の秘められた場所を見ることができて宗治は感動していた。
 しかし、そこで操の足が閉じる。
「待って…ハルくん…体洗わなきゃ」
 その前に宗治は行動した。
「ミサオの胸、触りたい」
 そう言うと秘所に注意が行っていた操の隙をついて素早く宗治は手で胸を包み込む。
 小ぶりな胸は宗治の手の中に収まる。
(ミサオの胸、僕の手の中にあるんだ)
「気持ちいいよ、ミサオ」
 乳首がつんと立っているのを感じとる。
「あん……やぁ」

 操の声が宗治を高ぶらせる。
 宗治は操の胸を堪能していく。
「んっ……ん……ハルくん……んっ……」
 何とか声を抑えようと操は試みるが宗治の愛撫に声が漏れ出てしまう。
 操が自慰の時に漏らしていた時の声。
 成一を想って漏らしていた声。
 しかし、今回は宗治の手がその声を生み出している
 そう思うと操を自分のものにしたような気持ちに宗治はなる。
「んっ……はぁ……はぁ……あっ………はっ……はぁ……はぁ…ぁん……やぁっ……っ……はぁ」
 徐々に操の体から強張りが抜けていくのがわかる。
 操の顔からも羞恥が薄れ、それに代わるように快楽が浮かんでいく。
 自分が操にこのような淫らな表情を浮かべさせていることに、ここ数日の悩みなどまるで嘘のようであった。
「ミサオ、最高だよ」
「はぁ……あっ……ハル、くん………あっく……やめて……ボク…ボク……あっ………おかしく…やっ……なっちゃうよぉ…」
 快感に染まった声で操が宗治の名を呼ぶ。
 成一ではなく宗治の名前を。
「僕の前だからいいよ、おかしくなっても。
 もっと、おかしくなってよ、ミサオ」
 そう、成一でも他の男でもない宗治の前で。
(こんなに、ミサオがいやらしくなるなんて)
 いつも一緒にいたのにどうして自分は気づかなかったのだろうか。
 どうして成一に渡してやろうなどと考えたのか。
 なんと愚かだったのだろう。
「やっ……んっ……はぁっ……はぁっ……んんっ……はぁ……恥ずかしい、よ……やっ……あっ…あぁぁああっ!」
 操が体をビクッと跳ねる。
 はぁはぁといやらしい操と宗治のの息遣いが浴室に満ちる。
 いつの間にか宗治は操を風呂場のマットに押し倒していた。
「体、洗わなくちゃ…ハルくん」
 官能を振り払い理性を総動員して操が声を上げる。
「僕、ミサオとしたいよ」
「だめ…体洗わなきゃ、それに…」
 起き上がろうとする操。
 宗治はそれを制する。
「だって、見てよ」
 宗治が自らのいきり立ったペニスを見せる。
「ハルくんの…こんなにおっきくなるの…」
 驚いた口調で凝視する操。
 押し倒されたまま無意識のうちに操が手を伸ばす。
 操の手が宗治の先端に触れる。

「うっ」
 己の手で触れるのとはまるで異なる感触が宗治を襲う。
「痛かった、ハルくん?」
 宗治が声を出したことに操が痛みを感じたと誤解する。
「違うよ、ミサオ。ここ…握って」
 操の上からどいた後、普段ならば考えられない要求をする宗治。
 操もいつもなら応じるなどありえない要求だったが、浴室に満ちた淫らな空気がいつもならありえない行動をとらせた。
 浴槽に腰掛けた宗治のペニスに言われるまま手を添える。
(くぅっ)
 今度は声を出さなかったが、快感が得られることに変わりはない。
「ミサオ…今度は手を、そう、そうやって、動かして」
 操に己のペニスをしごかせる。
 自慰とすることは対して変わらないのに操の手でされると自分でするよりはるかに気持ちがいい。
「ああっ…ミサオ…気持ちいいよ…」
 宗治の表情が緩んでいく。
 操は手でペニスをしごいていく。
「ミサオ、ちょっと待って」
 射精感が込み上げてくる中で操の手を止めさせる。
「今度は、口に入れて」
 操の手でするだけでこれほど気持ち良くなれるのだから、口でしてもらえばさらにすごいのではないか。
 そう思ってフェラチオを宗治は頼んだ。
 だが、その言葉で操は自分のしていたことに気づいたという顔になり、手を離す。
「やっ、やだよ…そんな、ハルくんの…オチンチンを口になんて」
 オチンチンという部分は恥ずかしそうに小声で言った。
 理性が戻ってきて自分が何をしていていたのか思い出したのか、真っ赤になる。
 そのことに宗治は落胆した。
「じゃ、せめて手で最後までしてよ」
「そんな…駄目だよ…ボク」
「ミサオ、お願い。さっきはしてくれたじゃんか」
 頭を下げる宗治。
 やがて操は躊躇いがちにペニスに手を添えてしごいていく。
(やっぱり、すごくいいよ)
 口でしてもらえなかったことは残念だが、手でしてもらうだけでも気持ちいい。
 操が他の誰でもない宗治のペニスを手で握ってしごいているのだから。
 徐々に快感が高まっていく。
「うっ……くぅ……」
 あまりの快感に宗治は思わず声が漏れ出る。
 このまま出せば目の前でしごいている操に精液がかかるだろう。
 自分の精液で操を汚す。
 そう考えると操の手の動きを止める気にはならない。

 操を汚したい。
 その欲望で宗治の心はいっぱいになる。
(もう、だめだ!) 
 限界が訪れるのを待つ。
 操から与えられる刺激に快感は高まり続け、そして。
「ううっ!」
 ドクン。
 宗治のペニスが脈打つ。
 勢いよく飛び出した白濁は操の顔や胸にかかり汚していった。
 白く、白く汚していった。
 成一を好きだと言った操の口も汚していった。
「あっ……」
 宗治の精液に体を汚されて驚きに顔が固まる操。
 一方、宗治は興奮していた。
(僕が…ミサオを汚したんだ……坂上でも、他の男でもなく、僕が)
 操に自分の印を刻んだような気持ちに宗治はなる。
 射精の快感と操を汚したことへの満足感に宗治は包まれた。

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