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弟の願い事 ~2~

 その夜。
「恵里沙お姉ちゃん、お風呂に入ろ!」
 誠司が恵里沙に抱きつきながら元気よく言った。
 弟が恵里沙に抱きついたのも気に食わないが、何よりもその言葉。
 お風呂。
 一緒に風呂に入るというのだろうか、誠司と恵里沙が。
 思わず誠司に詰め寄ろうとする秀雄を恵里沙が引き止める。
 そのことにカッとなって恵里沙を睨みつける。
(誠司君はまだ子供よ)
(だけど…)

「早く入ろうよ!」
 弟の声が割り込み、恵里沙を連れて行ってしまう。
 父と恵里沙の母に救いを求めるように目を見やる。
 しかし、2人とも「仲が良い」などと言って微笑ましく見つめている。
 秀雄はリビングをでた。
 そして、誠司と恵里沙が風呂に入った後、聞き耳を立てた。


 秀雄は気にしすぎている。
 服を脱ぎながら恵里沙はそう思った。
 もちろん、彼が心配しているのは自分をへの愛情から来るものであり、それを考えれば嬉しい。
 相手は8歳でしかも彼の弟である。
 恵里沙も誠司のことは弟のように可愛がっている。
 その弟のような少年が「恵里沙お姉ちゃんと恋人になりたい」だなんて可愛いではないか。
 今も誠司は恵里沙をいやらしい目つきで舐めるように見ることも無く、さっさと服を脱いで風呂に入っていった。
 そして「お姉ちゃん、早く早く」などと可愛い声で恵里沙に呼びかけている。
 邪心があるなら秀雄の方だろうとすら思う。
 恵里沙とキスできないと知った時の落胆を見るとまるで、彼女にはキスすることにしか価値がないと考えているのではないかとすら勘ぐってしまう。
 勿論、そんなことはないだろうが。
「待っててね、今入るから」
 そう言って風呂に入る。
 誠司はもう体を洗っていた。
「誠司君、ちゃんと体を洗わないと駄目よ」
「うん!」
 誠司は素直に頷く。
 素直さという点では秀雄より誠司の方に好感が持てる。
 幼さからくる率直さなのかもしれないが、誠司は変な勘繰りをしない。
 無論、秀雄にも良いところがあるが。
 恵里沙はおざなりに洗っている誠司の体をきちんと洗いなおしてやり、自分の体も洗って浴槽に入る。
 浴槽の大きさは十分にあり、2人一緒でも問題は無かった。
「あのさ、恵里沙お姉ちゃん…」
 誠司が話しかけてくる。
「なあに、誠司君?」
 恵里沙は優しく微笑んで実の姉が弟にするように聞く。
「おっぱい、触ってもいい?」
 その言葉に恵里沙は一瞬凍りつく。
 相手が秀雄なら下心ありと即座に判断して殴っていたかもしれない。
 しかし、年下の誠司を殴るわけにもいかないので、どうしたものかと考える。
「おっぱい…?」


「うん、触ってみたいんだ!」
 誠司は元気に言う。
 別にいやらしいことを考えて言っているわけではないようだ。
 女の子の胸に興味があるのだろう。
 恵里沙は自分の胸を見る。
 自分の胸はいわゆる貧乳というやつだ。
 胸がないことは、恵里沙のコンプレックスとなっていた。
 秀雄にはそのことを言っていないが彼はどう思っているのだろうか。
「私は…おっぱい、大きくないよ」
 笑って恵里沙は言う。
 言っていて悲しくなってくる。
「そんなことないよ」
 誠司は笑顔で言う。
 曇りの無い心からの言葉。
「僕よりも大きいし、兄ちゃんや父さんよりも大きいよ!」
 比較対象があれだが、素直な言葉だったので恵里沙は怒る気にもなれない。
 恵里沙は苦笑する。
「男の人と比べても意味がないでしょ」
「そうなの?」
 首を傾げる誠司。
「ねっ、触ってもいい?」
 相手は小さな子供。
 少しくらいはいいか。
 そんなことを恵里沙は思った。
「誰にも言っちゃだめだよ?」
 そう、念押しする。
 もしも誠司が「恵里沙お姉ちゃんのおっぱい触った!」などと触れて回ったら恥ずかしくて死んでしまいそうになるだろうから。
「うん、分かった!恋人同士の秘密だね!」
 むしろ口止めされたことを嬉しそうに言う誠司。
 その態度を微笑ましいと恵里沙が思った。
 そう思っていたら浴槽の中で誠司が胸をペタペタ触り始めた。
 くすぐったいなと恵里沙は思った。
 誠司の感想は違った。
「柔らかいや…」
 感嘆したような声を出す誠司。
 そのまま触り続ける。
 だが、そのうち誠司の肩が震えてくる。
「誠司君…?」
 不思議に思い恵里沙が声をかける。
「うっ……うっ……お母さん…」


 その言葉で恵里沙は彼が母親を亡くしていることを思い出す。
 自分の胸を触りたいと言い出したのも亡くした母親の面影を求めたのかもしれない。
 恵里沙自身、父親を失った時のことを思い出すと今でも胸が締め付けられる。
 そして、誠司はまだ8歳なのだ。
 誠司は涙をポロポロと流している。
 恵里沙はそんな誠司を見つめているうちに、哀れみが増していき、彼を抱きしめた。
「うっ……恵里沙お姉ちゃん…?」
「大丈夫、私がいるし、新しいお母さんもいるでしょう?」
 泣きじゃくる誠司を抱きしめる恵里沙。
 そして、彼の頭を優しく撫でていく。
 やがて、誠司の泣き声も収まっていく。
「ありがとう…恵里沙お姉ちゃん…お姉ちゃんってとっても柔らかいね」
 その言葉に微笑む恵里沙。
「あっ…お姉ちゃん!」
 急に声が誠司の大きくなる。
 そのことに恵里沙は驚く。
「どうしたの?」
「僕が泣いてたこと、内緒だよ!」
 子供らしい意地に恵里沙は笑みを深める。
「2人だけの秘密ね」
 恵里沙は悪戯っぽく笑って言った。
 そうして2人して笑った。


 一部始終を盗み聞きしていた秀雄ははらわたの煮えくり返る思いだった。
 弟の誠司が自分の恋人である恵里沙と風呂に入ったのも気に食わなかった。
 しかも恵里沙は「胸をさわらせろ」という誠司のふざけた要求に従っていたのだ。
 自分も恵里沙の胸など触らせてもらったことはないのに…
 おまけに2人して楽しそうに笑っていた。
 そう、まるで本当の恋人同士のように!
 風呂から上がってきた恵里沙を捕まえて秀雄は問い詰めた。
「何で、あいつに胸なんか触らせたんだよ?」
「誠司君はまだ子供じゃない…」
 恵里沙は気にしすぎだと言わんばかりの表情だった。
 しかし、急に何かに気づいたような表情になる。
「どうして、あなたが知ってるの?」
 その言葉に秀雄は少し、気まずい思いをする。
 だが、すぐに開き直る。
「恋人の素行を監視してたんだ。何が悪いんだよ」


 何の反省も見えない態度に恵里沙は怒りを覚える。
 そして秀雄を睨みつける。
「人がお風呂に入ってるのを覗いてたの?」
「何だよ、お前が誠司とべたべたしてたのが悪いんだろ!」
 秀雄の態度がだんだんとけんか腰になる。
「あの子はまだ子供よ…秀雄。気にしすぎよ」
 恵里沙は呆れたような口調で言う。
「うるさい、この裏切り者!」
 思わず手が出る。
 秀雄は恵里沙のことを平手で叩いた。
 叩いた後、即座に後悔する。
 しかし、時間は戻らない。
 恵里沙は一瞬、ポカンと口を開けた。
 やがて、信じられないという表情を浮かべてその紅茶色の瞳にみるみる涙が溜まっていく。
 そこに、誠司がやって来た。
 彼は事情を知らないが恵里沙が泣いているのだけは分かった。
「恵里沙お姉ちゃんをいじめるな!」
 誠司は兄に食ってかかる。
 弟の言い草にカッとなるが、叩いたのはやりすぎたと思っていたので恵里沙に謝る。
「その…ごめん」
 頭を下げて謝る。
「いいのよ…私が悪かったもの」
 恵里沙が目を赤くしながら力なく言う。
 涙を流す恵里沙を見ているうちに後悔が強くなる。
 しかし、そんな彼女を慰めたのは弟だった。
「大丈夫、恵里沙お姉ちゃん?」
 心配そうに聞く誠司。
 恵里沙は泣き腫らした顔でにこりと笑顔をつくって答える。
「ええ、ありがとう。誠司君」
「いこ、お姉ちゃん」
 誠司は秀雄を睨みながらそう言う。
 恵里沙は一瞬躊躇ったが誠司の手をとった。
 こうして、吉岡秀雄の最悪のクリスマスは終わりを告げた。
 しかし、彼の最悪な日々は続く。


「あっ……いいっ…いいっ…いいよっ…誠司君」
 吉岡秀雄は弟の誠司の部屋の前で立ち尽くしていた。
 弟に話があると呼ばれて秀雄がやってきたところ二人は交わっていたのだ。
 彼の恋人の安岡恵里沙(いや今は彼女の母が父と結婚しているということになっているから吉岡恵理沙というべきか)がそこにいた。
 四つんばいになり獣のような格好でこちらを向いて。
 そして、誠司は背後から恵理沙を貫いている。
 恵里沙は全く抵抗せずに誠司の行為を受け入れている。
 むしろ、彼が腰を動かせば動かすほどに喘ぎ声をあげる。
 誠司がこちらに顔を向ける。
「ほら、『元』恋人の兄ちゃんが見てるよ、気持ちいいよね?」
 『元』という言葉に力を入れて、誠司は言う。
 誠司が腰の動きを激しくする。
「ああん…やっ…違っ……言わないでっ…ああん…ああっ……あん……あん」
 2人とも秀雄の目の前で行為を続ける。
 淫らな交わりを。
 しかし、恵理沙を貫いた状態で唐突に誠司が動きを止める。
 彼女が不審を込めて誠司を振り返る。
「嘘ついたらだめだよ、恵理沙お姉ちゃん…こんなにキツク締め付けてさ、兄ちゃんに見られて興奮してるの?」
 笑みを浮かべながら誠司が問う。
「ち、違…そうじゃないの…誠司君」
 恵理沙が泣き出しそうな表情で誠司になる。
 なおも笑みを浮かべつつ、誠司が続ける。
「じゃあ、兄ちゃんの前だし、もうやめた方がいいか…」
 そういって、己の肉棒を引き抜こうとする誠司。
「だ、だめ、誠司君…抜かないで」
 恵理沙が必死に懇願する。
 その懇願に意地の悪い笑みを誠司は浮かべる。
「だって、興奮してないんでしょ…お姉ちゃんはさ…」
「し、してる…してるの…私」
「兄ちゃんに見られながらしてるのに?」
「そう、そうなの…私…私は…」
 二人は秀雄を前にしながら、まるで彼がいないかのようにやり取りする。
 秀雄はどうしても体を動かすことができない。
(何なんだよ!どうして動かないんだ!)
 秀雄は怒りと屈辱に黙って耐えるしかなかった。
「言ってごらん」
 優しく笑みを浮かべながら誠司は言う。
「えっ…?」
 不思議そうな表情になる恵理沙。
「兄ちゃんに見られながらするのが興奮するって。欲情してるって」
 その台詞にためらいを見せる恵理沙。


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