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天国へは行けるのかしら?

晃師様が来る。由美子はそう聞いただけで身震いがした。
晃師様というのは由美子と夫の隆が入信している章願教の教祖に当たる人だ。
章願教というのはインドで修行したなんとかいう偉いお坊さんが、苦労の末に悟った教えを広める一種の新興宗教だ。
晃師様はその四代目の教祖にあたる。
一般の信者にも厳しい修行を行わせており、その代わり死後は光の国へ行けることを約束していた。
もともと隆の会社の上司が熱心な信者で、ぜひ隆にも入るよう勧めてくれたのだ。
隆はともかく自分まで入らされたことに不満がないわけでなかった。
月のお布施が男性一万六千円で女性がその半分の八千円。
女性が半額というのはどこかのお見合いパーティーのようだが、冗談でなく女性信者が少ないので
その獲得のための値段設定らしかった。
普通のサラリーマンである隆の給料から毎月二万四千円を捻出するのは由美子にとって骨のおれる仕事だった。

晃師様がくる。前の晩になって急に隆から言われたので、何の準備もしていなかった。
いつもなら晃師様が見えるときはかなり前からわかっているので、食事等の準備を失礼が
ない程度に整えておくことができたのだ。部屋も片付いていない。なにより由美子は
心の準備ができていなかった。


「ピンポーン」
玄関のチャイムが鳴った。テレビでプロ野球の中継を見ていた隆が出迎えてくれた。
白い修行服に伸びっぱなしの髪と髭、いかにも教祖という感じの男がリビングにぬっと現れた。
年は60歳くらいだろうか。由美子は挨拶をするとイスに腰掛けるよう勧めた。
隆もテレビのリモコンでスイッチを消すと昼食の準備ができたテーブルについた。

若い夫婦の「巣」にそれとは似つかわしくない男を交えてにぎやかに昼食が摂られた。
食後も談笑が続き、風体に似合わず教祖の冗談は夫婦を笑わせた。小一時間ほど三人で
話していると、隆が不意に立ち上がり、たまった仕事があるというので書斎に入ってしまった。

教祖と由美子の二人だけになるとお互いに言葉が少なくなった。
由美子も落ち着かないようにお茶菓子を継ぎ足したりしていると、教祖が胡坐をかいた自分のひざをポンとひとつ叩いた。
こちらにきて座れという合図だった。
由美子はオロオロと立ち上がると教祖の膝に遠慮気味に腰を下ろした。
信者の修行はこいうった訪問という形で行われることがある。
夫婦で入信している場合、夫は妻を教祖に差し出さなければならない。
これまでに2度由美子は教祖に抱かれていた。今日は三度目だ。

この信じられないような行為は信者の間では普通のことになっていた。
自分の妻を他の男に抱かせるという苦痛が修行の効用をもたらすという理屈だが、
とうてい受け入れられるものではない。隆と由美子も最初は相当に抵抗したが、
結局、教祖ととりまきに言いくるめられてしまった。教団の事務所で六時間にもおよぶ
教義の説法を受けて由美子が根負けしたのだ。
隆は完全に受け入れたわけではなかったが、由美子の意思を尊重するという形で辛うじて容認した。
真昼間に人のうちに上がりこんで、昼食と人妻を戴く・・なんとずうずうしいのだろう。
由美子にしてもこれが本音だった。ファンデーションを厚めに塗った透き通るような顔に、
髭だらけの顔が覆いかぶさり由美子の唇を吸った。ブチュブチュと吸いながら
胸とも尻ともなく執拗に撫で回している。特に尻の割れ目に集中した。


失礼があってはいけないので朝のうちにシャワーを浴びていた由美子に対して、
体を寄せてきた教祖からは得も知れぬ体臭が漂った。ぐっとこらえて身を任せる。
やがてジーンズが脱がされて、さっき履き替えたばかりのパンツも脱がされるとリビングの絨毯の上で仰向けにさせられた。

由美子を見下ろすように仁王立ちになった教祖はどこからともなく取り出した
コンドームを自らの性器におもむろに取り付けた。今から犯すという宣言。
そんなに見せ付けなくてもいいのではないだろうか。
自分が優位であるということを殊更に強調するように目の前でコンドームの位置を調整している。
突然、リビングのドア越しに隆の声がした。


「俺、ちょっとタバコ買いにいってくるから。」
様子を伺いにきたのだろうか。わざわざタバコを近所の自動販売機に買いに行くと
律儀に報告してきた。ちょっとまって!由美子は気持ちだけ隆の後追って玄関を出たがそこで隆を見失った。

「ご主人を愛してるの?」
教祖が尋ねた。下から見上げると勃起した亀頭のさらに上のほうに教祖の顔がのぞいている。
「はい」
由美子の素直な気持ちだった。ある種最後の救いを期待したのかもしれない。教祖の慈悲を。
「よろしい」
教祖はそう言うと両膝を床につけて背中を少し丸めると、無慈悲にも由美子の中へと入ってきた。

なにがよろしいのか由美子にはわからなかった。由美子にとって状況はちっともよろしいとはいえない。
しかし、由美子の入り口には男を受け入れるだけの十分な粘りけが出ていた。
自分でもわかっていたし、そのこと自体、我ながら腹立たしくもあった。
心とは別に体は受け入れる体制を整えていた。二度にわたる教祖とのセックスで二回とも由美子は完全に行かされていた。
その経験が内臓の活動と同様に自分の意思とは全く別の体の変化を促した。
獲物を捕らえたタガメのように由美子を抱きかかえると教祖は静かに揺れた。
内壁を擦り上げながら進入したかと思うと入り口付近までまた戻る。
この動きに合わせて思わず声が出てしまう。さながら空気圧縮による楽器を連想させた。

「あっ・・ああっ・・・」

演奏は15分ほど続いて由美子の痙攣とともに幕をおろした。
膣が収縮し精液を体内に取り込もうと吸引するがコンドームがそれを阻む。
修行という名のもとで行われたセックスと、本来の目的である生殖の為のセックスはわずか0.01ミリのコンドームによってその意味を隔てられた。

短い時間で由美子は昇天させられ、この瞬間、明らかに由美子の体は妊娠を望んでいた。
一呼吸置くと教祖は体を起こして、由美子から自身を抜き取った。
ゴムの先には白い教祖の欲望が溜まっていた。


放心状態で横になっていると、急に由美子の目に涙があふれてきた。
悲しいわけではなかったが涙が止まらない。勝手に涙があふれてくるのだ。
その場で嗚咽をもらしながら泣き崩れてしまった。

 その年の暮れに教祖が逮捕されたというニュースがテレビから流れた。
信者からわいせつ行為があったとして訴えられたのだ。
セックス教団はたちまちのうちにワイドショーのネタにされ、好奇の目と非難の矛先が向けられた。
昼食の後片付けをしながら由美子は複雑な思いでテレビを見ていた。
それはすでに教祖との性交が日常化してしまっていた由美子にとって、これで教祖の強姦から解放されたという安堵だけでなく、これからの不安があったからだ。
「天国へは行けるのかしら?」
由美子は愛と信仰に溢れていた。

おしまい

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