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幼なじみ寝取られ ~1~
- 2008/09/02
- 04:29
最近、困ったことがある。
ひとつは両親の不在。
親父のヨーロッパへの出張(3カ月)に合わせて、お袋もヨーロッパに行ってしまった。
ひとつは両親の不在。
親父のヨーロッパへの出張(3カ月)に合わせて、お袋もヨーロッパに行ってしまった。
これは当然、生活に困る。
自慢じゃないが生まれてこのかた料理も洗濯もしたことはない。
できない、というわけではないが……そう、ぶっちゃけてしまえば面倒くさい。
コンビニや外食、という選択肢はあるが与えられる生活費をいかに浮かせるかを考えると節約したい部分だった。
だが、まぁこれはちょっと困ったな、レベルの問題であるもうひとつはそうはいかない。
「すぅー、すぅー」
俺の自室。
ベッドの上で丸くなる少女を見てため息をついた。
ふたつめにして最大の問題。
それが俺……日向翔一の幼なじみ、桜井真奈美だった。
お袋が合鍵を渡してしまったこの少女は何が楽しいのか、俺が一人暮らしになって以来毎日のように部屋にあがりこんでいる。
何が問題かって……単純だ。
制服のまま寝ているせいでスカートが危うい感じにまくれあがっているし、お腹だってヘソが見えそうな勢いだ。
無防備すぎる。
いくら幼なじみとは言え、女の子が足やヘソをちらちらさせて寝ているのだ。
理性がどこかに飛んで行ってしまいそうだ。
耐えろ、耐えるんだ、俺。
邪な感情を押し払い俺は出来るだけぶっきらぼうな声で真奈美に告げた。
「おい、こら真奈美! 起きろ!」
「ん、んぅー、しょーちゃん?」
「ああ。ったくどうしてまた俺の部屋で寝てるんだよ」
危うい所だぞ、おまえ。俺以外の男だったら襲われてるんじゃないか?
「だって、しょーちゃん待ってたら眠くなっちゃって」
「待つなら自分の部屋で待てよ」
「えー、せっかく合鍵もらったのに」
少なくとも毎日俺の部屋で昼寝をさせるために合鍵を渡したんじゃないと思うぞ?
「はぁ……」
「え、え? しょーちゃんどうかしたの?」
「いや別に……」
これは大問題である。
両親のいない家に真奈美と二人っきり。
間違いが起ってもおかしくないだろ? そりゃ俺だって男だからな。
それに真奈美のことは…………。
「とにかく、勝手に俺の部屋で寝るな」
ぶっきらぼうな声で俺が言う。
決して来るなとは言わなかったけど……。
「しょーちゃん、晩ご飯できたよー」
どうしてこんなことになっているんでしょうか?
制服の上にエプロンをつけた真奈美が笑顔で俺を呼んでいる。
その格好はなんですか? そしてどうして晩ご飯を作ってくれてるんでしょうか?
正直思考が混乱する。
「ああ」
ほとんど真奈美の言いなりで彼女に呼ばれるまま食卓につく。
カレーライスにサラダと。ありきたりなメニューだったけど真奈美と二人、という食卓に違和感がある。
それは決して不快な違和感ではなく、夢みたいな感じだ。
幼妻か新妻か、そんな雰囲気さえある真奈美の笑顔に幸せな気持ちになると同時に胸が高鳴る。
いやいや、何をドキドキしてるんだ? 俺。
相手は真奈美だぞ? ちょっと天然入った真奈美だぞ?
何年一緒にいると思ってるんだよ……。
そりゃ一番恋人に近い存在であるとは思うけど。
いやいやいや……。
自分の考えを首を振り否定する。
そんなこと考えてたら真奈美の顔もろくに見えない。
「しょーちゃん?」
「な、なんだ。っておわっ」
気がついた瞬間、真奈美の顔が目の前にあった。
それこそキスするくらいの距離。
「ぼーっとしてどうかしたの?」
「い、いや何でもない。というかおまえ顔近い!」
目の前にあった真奈美の顔から慌てて身体を引く。
「?」
首を傾げて真奈美が俺の隣の席に座る。
その前には俺の目の前にあるのと同じカレーとサラダ。
「ま、真奈美も食べていくのか?」
「うん。しょーちゃん一人だと寂しいでしょ? それに今日うちの両親も出かけてるし」
ちょっと待て! なんだその話は! 聞いてないぞ!
ということは例えば真奈美が今日泊まっていっても…………ああ、何考えてるんだよ、俺!
「あの、しょーちゃん、どうかしたの? カレーは好きだったうよね?」
「ああ、うん。なんでもないぞ」
いかん心臓がドキドキしてきた。くそっ。
「あ、そうだ」
「?」
唐突に何かを思いついたように真奈美が声をあげる。
??
「しょーちゃん。あーん」
「!!!???!!!」
カレーをスプーンにとり俺に差し出す真奈美。
いや、なんですかそれ。俺に食べろと? それを?
「あ、あーん」
って何素直に口を開けてるんだよ、俺!
ううう……。
「おいしい?」
「あ、ああ」
「よかった♪」
真奈美の満面の笑顔に思わず抱きしめたい衝動に駆られる。
いや、耐えろ、耐えるんだ、俺!
今日の夜さえ耐えれば真奈美の両親は帰ってくる!
耐えろ!
……すごく辛い夜になりそうだった。
「で、どうだった?」
教室に入るなり私……桜井真奈美に声をかけてきたのは親友の小笠原由里だった。
「ど、どうだったって」
なんて言えば良いのかな?
由里の言いたいことは分かる。しょーちゃんとのことだ。だけど……うーん。
「昨日の夜は彼氏の部屋に泊まったんでしょ?」
「えええええっ!! 泊まってない! 泊まってないよ!」
私は慌てて首を振る。
晩ご飯を一緒に食べたけど、はっきり言ってそれだけだ。泊まるなんて……だいだい
由里ちゃんも知ってると思うけど私としょーちゃんはお隣同士なんだよ?
「…………はぁ?」
何だか宇宙人を見るような目で見られました。はい。
「だってさ真奈美」
「う、うん」
「両親留守の彼氏の家に行って料理を作ってあげたんでしょ?」
「そ、そんなしょーちゃんは彼氏ってわけじゃ……」
「で、真奈美の両親も留守だし昨日は絶好の脱処女日だったわけでしょ?」
「だっ……」
顔が火照るのが分かる。あのこの人は教室でいきなり何を言ってるんでしょうか。
「その顔だと……はぁ……」
呆れたため息をつかれる所なのかな? あれ?
「仕方ないわね……真奈美もちょっと荒療治したほうが良いかもね」
「あ、荒療治って……?」
由里の声に不安が募る。あのぉ……何されるのかな?
「ねぇ、真奈美今日の放課後暇? まぁ、暇じゃないって言っても無理矢理連れてくけ
ど」
「え、えっと……」
今日は帰ったらしょーちゃんに晩ご飯を作ってあげようと思ってた。あとしょーちゃんの部屋の掃除とか、しょーちゃんの服の洗濯とか……やることは一杯ある。
「よし、決定。今日は私たちとカラオケ行くわよ。月夜くぅーん」
由里は唐突に立ち上がると一人のクラスメートの名前を呼んだ。
月夜幸太郎。
細身で色白の男の子だ。中性的な顔立ちでクラスではカッコ良いと評判の男子……
もっとも私はしょーちゃんの方がカッコ良いと思うけど。
「ん。どうしたんだ」
由里に声をかけられ月夜くんはこちらに向かって歩いてきた。
「今日さ、カラオケ行こうよ」
「別に構わないけど」
「この子にさ、世の中っていうものを教えてあげてよ」
弾んだ声で由里が言う。えっと、何だかイヤな予感がするよぉ……。
「ん」
月夜くんの視線が突き刺さる。あんまり彼とはしゃべったことがないから……その苦手だった。ちょっと怖い。
「へぇ、なるほど」
「うん、そういうこと。よろしくね」
「ああ。この子ならいいぜ」
何だか二人の間で妙なやりとりが成立している気がする。すっごく不安になるんだけど。
ところで、私行くなんて一言も言ってなかったんだけど……あれ??
「しょーちゃぁん……」
昼休み。何だか泣きそうな声で真奈美がやってきた。
ど、どうしたんだ?
真奈美と俺の教室は何の因果かかなり離れている。幼なじみでクラスメートというの
はなかなかあり得ないものなんだ。
だからわざわざ渡り廊下を通って俺の教室まで来たんだ。よっぽどのことがあったの
だろう。
「ど、どうしたんだ真奈美」
クラスメートの好奇の視線に汗をかきながらも真奈美に近寄る。
「ごめんね……今日友達とカラオケ行くことになっちゃって……」
心底イヤそうな口調で真奈美が言う。
あー、なるほど。
付き合いの長い俺にはなんとなく分かった。
カラオケに強引に誘われて断りきれなかったんだろうな、真奈美は。昔から押しに弱いところがあったからな。
「今日は晩ご飯作りに行けなくなっちゃった」
ちょ、真奈美さんや、教室でそういう発言はやめてください!
誤解されるというか何というか……。
「ごめんね」
「あ、いやうん。別にいいよ……真奈美に毎日来てもらうのも悪いしさ」
内心冷や汗を倍増させながら俺は言った。
真奈美の気持ちはありがたいけど……この場は困りますよ。
「ほんとにごめんね。あ、今朝渡したお弁当だけど……それだけは洗っておいてくれるかな?
あとの洗いものと洗濯は私がするからさ」
「あ、ああ」
もう頭の中はこの会話が人に聞かれてないかという不安でいっぱいだった。なんだよ、この同棲カップルな会話は……。
「じゃ、また」
真奈美は元気に手を振ると自分の教室に向かって駆け足で戻っていく。
いや、その台風みたいだったな……。今の会話をクラスの連中に聞かれてないといいのだけど……。
この時、俺は無理を言ってでも真奈美を止めるべきだった。
そう心の底から後悔するのはずっとずっと後のことだった……。
自慢じゃないが生まれてこのかた料理も洗濯もしたことはない。
できない、というわけではないが……そう、ぶっちゃけてしまえば面倒くさい。
コンビニや外食、という選択肢はあるが与えられる生活費をいかに浮かせるかを考えると節約したい部分だった。
だが、まぁこれはちょっと困ったな、レベルの問題であるもうひとつはそうはいかない。
「すぅー、すぅー」
俺の自室。
ベッドの上で丸くなる少女を見てため息をついた。
ふたつめにして最大の問題。
それが俺……日向翔一の幼なじみ、桜井真奈美だった。
お袋が合鍵を渡してしまったこの少女は何が楽しいのか、俺が一人暮らしになって以来毎日のように部屋にあがりこんでいる。
何が問題かって……単純だ。
制服のまま寝ているせいでスカートが危うい感じにまくれあがっているし、お腹だってヘソが見えそうな勢いだ。
無防備すぎる。
いくら幼なじみとは言え、女の子が足やヘソをちらちらさせて寝ているのだ。
理性がどこかに飛んで行ってしまいそうだ。
耐えろ、耐えるんだ、俺。
邪な感情を押し払い俺は出来るだけぶっきらぼうな声で真奈美に告げた。
「おい、こら真奈美! 起きろ!」
「ん、んぅー、しょーちゃん?」
「ああ。ったくどうしてまた俺の部屋で寝てるんだよ」
危うい所だぞ、おまえ。俺以外の男だったら襲われてるんじゃないか?
「だって、しょーちゃん待ってたら眠くなっちゃって」
「待つなら自分の部屋で待てよ」
「えー、せっかく合鍵もらったのに」
少なくとも毎日俺の部屋で昼寝をさせるために合鍵を渡したんじゃないと思うぞ?
「はぁ……」
「え、え? しょーちゃんどうかしたの?」
「いや別に……」
これは大問題である。
両親のいない家に真奈美と二人っきり。
間違いが起ってもおかしくないだろ? そりゃ俺だって男だからな。
それに真奈美のことは…………。
「とにかく、勝手に俺の部屋で寝るな」
ぶっきらぼうな声で俺が言う。
決して来るなとは言わなかったけど……。
「しょーちゃん、晩ご飯できたよー」
どうしてこんなことになっているんでしょうか?
制服の上にエプロンをつけた真奈美が笑顔で俺を呼んでいる。
その格好はなんですか? そしてどうして晩ご飯を作ってくれてるんでしょうか?
正直思考が混乱する。
「ああ」
ほとんど真奈美の言いなりで彼女に呼ばれるまま食卓につく。
カレーライスにサラダと。ありきたりなメニューだったけど真奈美と二人、という食卓に違和感がある。
それは決して不快な違和感ではなく、夢みたいな感じだ。
幼妻か新妻か、そんな雰囲気さえある真奈美の笑顔に幸せな気持ちになると同時に胸が高鳴る。
いやいや、何をドキドキしてるんだ? 俺。
相手は真奈美だぞ? ちょっと天然入った真奈美だぞ?
何年一緒にいると思ってるんだよ……。
そりゃ一番恋人に近い存在であるとは思うけど。
いやいやいや……。
自分の考えを首を振り否定する。
そんなこと考えてたら真奈美の顔もろくに見えない。
「しょーちゃん?」
「な、なんだ。っておわっ」
気がついた瞬間、真奈美の顔が目の前にあった。
それこそキスするくらいの距離。
「ぼーっとしてどうかしたの?」
「い、いや何でもない。というかおまえ顔近い!」
目の前にあった真奈美の顔から慌てて身体を引く。
「?」
首を傾げて真奈美が俺の隣の席に座る。
その前には俺の目の前にあるのと同じカレーとサラダ。
「ま、真奈美も食べていくのか?」
「うん。しょーちゃん一人だと寂しいでしょ? それに今日うちの両親も出かけてるし」
ちょっと待て! なんだその話は! 聞いてないぞ!
ということは例えば真奈美が今日泊まっていっても…………ああ、何考えてるんだよ、俺!
「あの、しょーちゃん、どうかしたの? カレーは好きだったうよね?」
「ああ、うん。なんでもないぞ」
いかん心臓がドキドキしてきた。くそっ。
「あ、そうだ」
「?」
唐突に何かを思いついたように真奈美が声をあげる。
??
「しょーちゃん。あーん」
「!!!???!!!」
カレーをスプーンにとり俺に差し出す真奈美。
いや、なんですかそれ。俺に食べろと? それを?
「あ、あーん」
って何素直に口を開けてるんだよ、俺!
ううう……。
「おいしい?」
「あ、ああ」
「よかった♪」
真奈美の満面の笑顔に思わず抱きしめたい衝動に駆られる。
いや、耐えろ、耐えるんだ、俺!
今日の夜さえ耐えれば真奈美の両親は帰ってくる!
耐えろ!
……すごく辛い夜になりそうだった。
「で、どうだった?」
教室に入るなり私……桜井真奈美に声をかけてきたのは親友の小笠原由里だった。
「ど、どうだったって」
なんて言えば良いのかな?
由里の言いたいことは分かる。しょーちゃんとのことだ。だけど……うーん。
「昨日の夜は彼氏の部屋に泊まったんでしょ?」
「えええええっ!! 泊まってない! 泊まってないよ!」
私は慌てて首を振る。
晩ご飯を一緒に食べたけど、はっきり言ってそれだけだ。泊まるなんて……だいだい
由里ちゃんも知ってると思うけど私としょーちゃんはお隣同士なんだよ?
「…………はぁ?」
何だか宇宙人を見るような目で見られました。はい。
「だってさ真奈美」
「う、うん」
「両親留守の彼氏の家に行って料理を作ってあげたんでしょ?」
「そ、そんなしょーちゃんは彼氏ってわけじゃ……」
「で、真奈美の両親も留守だし昨日は絶好の脱処女日だったわけでしょ?」
「だっ……」
顔が火照るのが分かる。あのこの人は教室でいきなり何を言ってるんでしょうか。
「その顔だと……はぁ……」
呆れたため息をつかれる所なのかな? あれ?
「仕方ないわね……真奈美もちょっと荒療治したほうが良いかもね」
「あ、荒療治って……?」
由里の声に不安が募る。あのぉ……何されるのかな?
「ねぇ、真奈美今日の放課後暇? まぁ、暇じゃないって言っても無理矢理連れてくけ
ど」
「え、えっと……」
今日は帰ったらしょーちゃんに晩ご飯を作ってあげようと思ってた。あとしょーちゃんの部屋の掃除とか、しょーちゃんの服の洗濯とか……やることは一杯ある。
「よし、決定。今日は私たちとカラオケ行くわよ。月夜くぅーん」
由里は唐突に立ち上がると一人のクラスメートの名前を呼んだ。
月夜幸太郎。
細身で色白の男の子だ。中性的な顔立ちでクラスではカッコ良いと評判の男子……
もっとも私はしょーちゃんの方がカッコ良いと思うけど。
「ん。どうしたんだ」
由里に声をかけられ月夜くんはこちらに向かって歩いてきた。
「今日さ、カラオケ行こうよ」
「別に構わないけど」
「この子にさ、世の中っていうものを教えてあげてよ」
弾んだ声で由里が言う。えっと、何だかイヤな予感がするよぉ……。
「ん」
月夜くんの視線が突き刺さる。あんまり彼とはしゃべったことがないから……その苦手だった。ちょっと怖い。
「へぇ、なるほど」
「うん、そういうこと。よろしくね」
「ああ。この子ならいいぜ」
何だか二人の間で妙なやりとりが成立している気がする。すっごく不安になるんだけど。
ところで、私行くなんて一言も言ってなかったんだけど……あれ??
「しょーちゃぁん……」
昼休み。何だか泣きそうな声で真奈美がやってきた。
ど、どうしたんだ?
真奈美と俺の教室は何の因果かかなり離れている。幼なじみでクラスメートというの
はなかなかあり得ないものなんだ。
だからわざわざ渡り廊下を通って俺の教室まで来たんだ。よっぽどのことがあったの
だろう。
「ど、どうしたんだ真奈美」
クラスメートの好奇の視線に汗をかきながらも真奈美に近寄る。
「ごめんね……今日友達とカラオケ行くことになっちゃって……」
心底イヤそうな口調で真奈美が言う。
あー、なるほど。
付き合いの長い俺にはなんとなく分かった。
カラオケに強引に誘われて断りきれなかったんだろうな、真奈美は。昔から押しに弱いところがあったからな。
「今日は晩ご飯作りに行けなくなっちゃった」
ちょ、真奈美さんや、教室でそういう発言はやめてください!
誤解されるというか何というか……。
「ごめんね」
「あ、いやうん。別にいいよ……真奈美に毎日来てもらうのも悪いしさ」
内心冷や汗を倍増させながら俺は言った。
真奈美の気持ちはありがたいけど……この場は困りますよ。
「ほんとにごめんね。あ、今朝渡したお弁当だけど……それだけは洗っておいてくれるかな?
あとの洗いものと洗濯は私がするからさ」
「あ、ああ」
もう頭の中はこの会話が人に聞かれてないかという不安でいっぱいだった。なんだよ、この同棲カップルな会話は……。
「じゃ、また」
真奈美は元気に手を振ると自分の教室に向かって駆け足で戻っていく。
いや、その台風みたいだったな……。今の会話をクラスの連中に聞かれてないといいのだけど……。
この時、俺は無理を言ってでも真奈美を止めるべきだった。
そう心の底から後悔するのはずっとずっと後のことだった……。