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寸止め

何本か前の電車で事故があったせいで、後発の電車はラッシュ時のような混雑。
しかも事故の影響がまだ残ってるようで、待ち合わせだのすれ違いだので、電車は駅でもない場所でたびたび止まる。
雨のせいで、湿度が高くて冷房が寒いという、地獄のような車内で、あたしは別の地獄にも耐えていた。
痴漢だ。
しかも困ったことに、突き出せない痴漢。
相手は恋人なのだ。
最近、お互いに忙しくてすれ違いばっかりだったけど、その間に、こんな変態プレイに開眼しちゃったのか。
器用にスカートをたくし上げ、和也の指は下着に着地している。
電車の揺れに負けないように、軽く足を開いて踏ん張っているから、和也も指を動かしやすいことだろう。
……もちろん、あたしはこんなの、イヤだ。
イヤだけど、どう制止したらいいものやらと迷っているうちに、和也はあたしの割れ目をなぞるように指を前後にこすり始めた。
んん。
気持ちいい、とまではいかないけど、背徳感が妙に気分を高揚させる。
相手が見知らぬ痴漢ではなく、本当にイヤだったらすぐにやめてくれる恋人だから、ギリギリまで試してみようかな、なんて…思い始めてみたり。
和也の指が、割れ目の上まで滑ってきた。
──くんっ。
あっ。
クリトリスに触れた…というか、え?もしかして、あたしのクリトリス、ちょっと大きくなってた?
──くにゅくにゅくにゅ。
痛くない絶妙な強さで、和也の指が押し付けられる。薄布1枚へだてて、クリトリスをこね回している。
いや、こね回すというより…掘り返すといったほうがいいのかも。
クリトリスの両脇に、指を2本、潜り込ませようとしている。
下着がクリトリスを包むような形で、あたしのデリケートな部分に食い込み始めた。
んう。
ぞくぞくしてきた。
今たってる鳥肌は、絶対、冷房のせいじゃない。
──きゅむ。
「っん」
根元から摘まれて、あたしは息を呑んだ。
い、い、今、ちょっと、下半身がビリっときた…。
これ以上やられたら、マズいかも。
「か、和也和也っ」
小声で、背後に声をかけた。
周囲の人が、迷惑そうに身じろぎしたので、申し訳ないやら恥ずかしいやらで顔が熱くなる。
「…なに?」
同じく小声で、和也からの返事。声の位置からすると、背後にぴったりついているのではなく、ちょっと斜め後ろっぽい。
不自然なくらい、腕伸ばしてるんじゃないでしょうね…?
「なに、じゃないわよっ。手!」
「て?」

もぞもぞ、と今まで止まっていた手が、スカートの中で蠢きだす。
「ちょ、もう、やだ」
「やだって言ったって…我慢しろよ」
なんでよ!!
振り向いてとっちめたい。けど、振り向くどころか、首を動かすことすら難しい。
スカートの中で、指がまた活発に動き出した。
2本の指でクリトリスの根元を摘まみ、先端をくるくると別の指が撫で回す。
こんな場所なのに(こんな場所だから…?)、あたしのクリトリスはすっかり勃ってしまったようだ。
先端はきっと包皮から出てしまっている。
──ぷにゅにゅ。
あんんんん!
デートのシメはホテルだから、当然、勝負下着なんだよ!薄いやつなんだよ!
むき出しのクリトリスが、薄い下着の上からこすられてる。
爪の先でカリカリとこまかくくすぐられて、膝が震えた。
しゃがみこんじゃいそう…。
無意識のうちに身体が揺れていたのか、肩が後ろの他人にぶつかってしまった。
慌てて背を伸ばす。
その動きについてこれなかった和也の指は、あたしのクリトリスを押さえたまま後ろにずれた。
──っぷりゅ!
~~~~~~~!!!!
あたしは慌てて口を押さえた。
クリトリスが強くひっかかれ、弾かれたのだ。
目を開いているはずなのに、一瞬、閃光が走ったように何も見えなくなる。

い、
イっちゃった…
小さい波だったけど、今のはイった。


下着がじっとりしてきた。
和也の指も、湿り気に気づいた。
クリトリスから離れた指は、下着のクロッチ部分を丹念になぞっている。
も、もうやめて…
とは思うものの、今、口から手を離したら、喘ぎ声が漏れてしまいそう。
和也の指が、またクリトリスを目指した。
湿って張り付いた下着の上から、膨らんだクリトリスを見つけ出すのは簡単なことだろう。
和也の指はクリトリスの膨らみを、ゆるゆると指先で撫で回し始めた。
それだけで、イったばかりの身体は意思に反して震える。
ゆるゆる、ゆるゆる。
触れるか触れないかくらいの、微妙なタッチで、指はクリトリスとその周囲をなぞる。
じんじんしてきた…
急激に膨らんでぱちんと弾けるタイプじゃない、じわじわと包囲網を狭めてくるような快感が腰の辺りをたゆたっている。
ああっ。
指を押し付けてしまいたい。クリトリスに押し付けて、腰を思いっきり揺らすの…。
やらしい考えが、振り払っても振り払っても脳裏に忍び寄る。
ああもう、和也め!!!
なんでこんなとこで、そんなテクニシャンぶりを発揮するのよー!!!
寒いくらいの冷房なのに、あたしはじっとり汗ばんできている。
たまに肌をなでる冷風が、逆にあたしの欲情した肌の熱さを教えてくる。

『ええー、ご乗車のお客様には大変、ご迷惑をおかけしております。次は──』

間延びしたアナウンス。
クリトリスを這い回る指。
膨らんだクリトリスの先端が、下着を押し上げているのが分かる。
下着を押し上げてるせいで、包皮がめくれ上がってる。
気持ちいい…
もっと…触って欲しい。
めちゃくちゃに引っかいてくれてもいい、こんなゆるゆるした刺激じゃなくて。

「か、」

耐え切れずに恋人の名前を呼ぼうとしたのと、

「なあ真理奈、おまえ大丈夫か?もしかして電車に酔った?」

和也に両肩を支えられたのはほぼ同時だった。
大丈夫か、ですって?
人のクリトリス触りながらいう言葉じゃないわ。
あたしは和也にすがりついた。
「ば、ばか…!………(;゚д゚)ァ.... !?」
ぎくりとする。
和也の両手は、あたしの肩にある。
待って。
待って待って。

………今、あたしのクリトリスを弄ってるの、誰?


fin

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まさかのホラーオチ

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