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祖父の指(2)

 僕は想い出していた。昔、母が祖父を風呂に入れた時のことだ。
 母と祖父が浴槽の中に収まると、父は「あとで呼ぶから」と僕や兄をいったん部屋に戻させる。
 いつもそうだった。そして、それは単に祖父が長湯だからだと僕はずっと思っていた。
 兄はどう思っていたのか知らぬ。少なくとも僕はそう思っていた。
 しばらくして父が兄と僕を呼びに来る。
 浴室に行って父と一緒に祖父を浴槽から担ぎ出すと、母はいつも放心したように浴槽に浸かっていたと思う。
 そんな時、父は必ず「お母さん、ちょっとのぼせちゃったから・・・」と言って、母を一人浴槽に残したまま、祖父の世話だけを命じた。
 一度だけ、母だけが残された浴槽に僕も入りたいとせがんだことがあった。父はダメだと言った。怒るようにそうすることを拒んだ。
 何故かよそよそしかった。そのよそよそしさは僕に向けてのものだったのだろうか・・・。
 祖父を、祖父の部屋に担ぎ込んで世話をしている間に、母は一人で浴槽を出る。
 いつも先に寝てしまう。その夜、母の姿を見ることは決してなかった。

 僕は、母と一緒に浴室のすぐ外で立ちすくんでいた。どうもしてあげられない。
 圭子の声が激しくなってきた時、僕は母を廊下の椅子に下がらせた。母はしきりに「ゴメンなさい・・・」と謝っていた。
 父と兄は、廊下に座り込んでボンヤリしている。二人にも圭子の声はハッキリと聞こえているだろう。
 父が言った。「まあ、辛抱してくれ。あの歳じゃもう長いことないから・・・。母さんだって・・・」
「あなた・・・」
「いや、いいさ、別に・・・。どうせ、下は役立たずなんだから実害があるわけじゃない」
 母が?まさか、母も?そして、父はそれを知っていたというのか?
「それに、圭子さんが本当に嫌なら、声を上げるさ。いや、こういう声じゃなくてな・・・。その時はガラスをぶち破ればいい」
「絶対に嫌がってないさ」兄が言う。
「最初から判ってたのか?」僕は兄に聞いた。
「多分そうなるかな、とは思ってたさ。だって最近、じいちゃんの圭子さんを見る目、違ってたものな」
「・・・」
「そうじゃないんだよ。じいちゃんはな、ああしてやることが風呂に入れてくれた御礼だと思ってるんだ。
 別に圭子さんのこといじめようと思ってやってるんじゃない。ずいぶん女遊びしてきた人だしな・・・」
「義姉さんもやってたのか?」それが離婚の原因か、と僕は思った。
「あの人はやろうともしなかったわ。臭い臭いって」母が思い出したように言う。
「だから、私、圭子さんがいじらしくって、いじらしくって・・・」それから、両手で顔を覆った。
 圭子の声がさらに激しくなった。
 僕は、圭子が泣いているのかなって思った。でも、そうではなくて鼻歌を唄っているように聞こえる時もあった。
 僕は、今まで、こんな圭子の声を聞いたことがなかった。確かに圭子の声には違いない。
 その時、一際、圭子の叫ぶような大きな声がして・・・、そして静かになった。
 しばらくして、浴室の中で、「おい!」と圭子に呼びかける祖父の声がした。
 それからゆっくりとドアが開いた。ノック式の鍵だから、内側からはノブをちょっと回すだけで開く。
 僕は浴室のすぐ脇に立っていた。
 だから、ドアが開くのがすぐ判って、開くと同時にドアを大きく開けた。そして何よりもまずストッパーをしっかりはめた。
 祖父が僕を見て言った。
「ベッピンさんが気をやってしまった」
 気をやる?僕はその意味が判らなかった。
「え?」
 でも、その意味は圭子の様子を見てすぐ判った。気をやる、とは気絶してしまうことだったのか・・・。
 圭子は、身体を傾けるようにして浴槽のヘリに身体を預けている。
 目をつむった顔が、湯船すれすれになるくらいに下を向いている。髪の毛が濡れていた。
 でも、けなげにも、祖父の胸に回した手は、しっかりと組まれていた。
 どうなっても、自分がどんな風になっても絶対に離すまい、そんな圭子の気持ちがいじらしかった。
「圭子に何したんだ?」僕は祖父に聞いた。
「何って、かわいがってあげてたんだ」
「誰もそんなこと頼んじゃいない。何でそんなことした?」
 しかし、祖父はそれには答えず、一言、「いい女だな」と言った。

 祖父の手は、いや、おそらく圭子を絶頂に導いたに違いない祖父の指は、すでに圭子には触れていない。
「でも、ずいぶん悦んでたぞ」
 いつの間にか浴室の中に入ってきた父が、言っても無駄だ、という顔をして、
「ともかく、じいちゃんを出そう。のぼせてしまう」そう言いながら、祖父を抱え上げようとしたが、圭子がしっかり手を組んでいる。
 僕は、優しく圭子の手をほどこうとした。でもギュッと握った手はかたくなで、なかなかほどけなかった。
 僕は圭子の肩を優しく揺すった。
「おい、大丈夫か?もういいから・・・。手をほどいていいから・・・」
 圭子は気づいた。ぼんやりして、そして、だるそうに手をほどいた。
 僕と父が祖父を持ち上げると、圭子の身体がズルズルとお湯の中に沈み込んでしまうように見えた。
 でも、僕はどうしようもない。父と一緒に祖父を脱衣室まで運んでいると、母が兄に指図をした。
 それまで僕と父が祖父を抱え上げるのを浴室の入り口の外で見ていた兄が、入れ違いに浴室に入って、そのまま浴槽の中の圭子を抱き上げた。
 僕にはそれが判っていたが、しょうがないのだ。大人四人が入れるほど浴室は広くない。
 兄が全裸の圭子を抱いたまま、そのすぐ後ろに立っていた。だるそうに目を閉じて兄の胸に顔を寄せるようにしている。
 僕と勘違いしているのだ。両手が兄の首に巻き付いていた。圭子の身体からお湯がポタポタと落ちた。
 僕は兄を睨みつけながら、圭子の身体を受け取った。圭子は今抱かれていたのが兄だと判って、驚いたように僕を見た。
「・・・、私・・・」
「いいから・・・。いいから、何も言うな」
 僕は圭子がいじらしかった。手で、髪の毛を梳いてやった。
「もう出よう」
 圭子はコックリとうなずく。
 僕は、早くここから圭子を去らせたい・・・、その一心だった。
 そのまま、浴室を出て、廊下を足早に歩く。圭子の全裸の身体から、水がポタポタと落ちた。
 母が追い掛けて来て、バスタオルを圭子の身体に掛けてくれた。
 そして、圭子の裸の肩をトントンと軽く叩いた。圭子がボンヤリと母を見た。
「あとはこっちで何とかやるから・・・。ともかく圭子さんを休ませて・・・」
 僕は黙っていた。圭子が、僕の首に手を回して、恥ずかしそうに顔を僕の胸に押し付けるようにしていた。

 でも、不思議だった。
 あの圭子が、どうして祖父のたった二本の手だけで、いや十本の指だけで、いとも簡単に絶頂を迎えることが出来たのか?
 しばらく圭子はボンヤリと横座りに座って、気だるそうに身体を拭いていた。
「もう寝ろ」僕が言うと、圭子はそのまま崩れるように布団の上に寝転んだ。
 明るい蛍光灯の下に、圭子は何を隠すでもなく、身体をちょっと横向きにして全裸のまま寝ている。
 いつもは僕に下着姿を見せるのも恥かしがるのに、今は全裸の身体を隠そうとしない。
 圭子が着るかな?と思って箪笥の引出しから出したパジャマも、圭子は見えているだろうに着ようとする素振りも見せなかった。
 僕は、立ったまま、そんな圭子のすべてを見ていた。
 圭子は、そんな僕に気が付いたのだろう。
「・・・、軽蔑してる?」目をつむったまま、小さな声で言った。
「・・・。そんなことないさ・・・」僕はそれ以上何も言えなかった。
 今、僕は圭子に何をしてあげたらいいのだろう?セックス?圭子は待っているんだろうか?
 でも・・・。ゴメン、圭子。僕には自信がないんだよ。
 いや、お前を抱いてセックスするくらいのことは今すぐ出来るさ。僕だってまだ若いんだ。
 でも、お前をさっきみたいにいかせる自信がないんだ・・・。
 窓の外を見ると、雪はさらに激しさを増していた。




 圭子を女にしたのは僕だ。まだ高校生の頃の話しだ。僕も童貞だったし、なかなか一回では出来ずに、三回目にやっと成功した。
 圭子のやつ、「もうこんなこと二度としたくない!」って言っていたっけ。
 でも、何て言ったらいいんだろう、圭子はまだ女の悦びを知らないっていうのかな。
 圭子の身体はいつも素直に僕を受け入れてくれるんだが、本当に圭子が達したのを見たことがない。
 圭子からセックスを求めて来ることはいまだかつて一度もなかった。
 僕がセックスを要求した時だけ、僕が歓ぶなら、って順々とそれに従ってくれているようだった。
 セックスっていうのは、男の満足のために女の身体を提供するもの、って考えているふしがあった。

 その後、圭子が変わったかって?いや、全然前と同じさ。何も変わりはしない。
 というか、あれは本当にあったことなんだろうか、ひょっとしたら全部僕の夢の中での出来事だったんじゃないかって思うことさえあった。
 それくらい、圭子の様子は以前と変わらなかった。
 しかし、どう考えたってあの時のことは事実に違いなかった。
 不思議と嫌悪する感情は起きなかった。
 そうじゃなくって、圭子が悦びの中で全裸でのたうちまわる様子が僕の頭の中で渦を巻いて、想像するだけで、
 ・・・何て言ったらいいかな、胸がキュンと苦しくなるっていうのかな。どうしようもなく圭子をいとおしく感じた。
 それは、今まで一人のガールフレンドとして、あるいは新妻として感じていた圭子の印象とはまったく異なるものだった。
 もっと、ずっと深まったところにある、圭子という女の本性を見つけたとでも言ったらいいだろうか。
 何度も言うが、決して嫌悪感ではない。
 むしろ、美しいもの、圭子もあんなに輝くんだ、あんなに美しく鳴くんだ、っていうことを発見したっていうかな。
 ただ、どうしても気になることが一つだけあった。それは、その圭子の悦びが、夫の僕によってもたらされたものではないってこと。
 その後、何度となく僕が圭子に挑んでも圭子の反応は以前と変わらなかった。いつも優しく僕を受け入れてくれるんだが、ただそれだけなんだ。
 僕は悔しかった。自分が情けなかった。そして、その感情は、僕の中に深く沈殿して、心の中でだけくすぶり続けていた。
 一度だけ、セックスが終わった時、僕は圭子にそっと聞いてみたことがあった。
 あの時、どういうことがあったのか、と・・・。あの時、祖父にどういうことをされたのか、と・・・。
 僕が伸ばした片手を枕代わりにして、僕の胸に擦り寄るようにしながら、圭子は満面の笑みを浮かべて首を振った。そして言った。
「あなただって素敵よ。今だって、たくさん、たくさん、感じたわ・・・」
 でも、結果は明らかだった。圭子をそこに導いてあげられない自分がふがいなかった。
 だから、僕はいろいろと工夫をしてみた。遊び好きで有名な友人に酒を飲ませてさりげなく女の身体の扱い方を聞いてみたりした。
 書店で、周りの目を気にしながらその手の本を立ち読みしたりした。そして、それをそのまま圭子に試した。
 そんな僕に、圭子は、笑ったり、怒ったり、あきれたり、そして痛いと言ったりした。そして、必ず最後に、今度は普通にして、と言った。

 そのことから二週間くらい経ったある夜のことである。
 僕は圭子を組み敷いたまま、腰の動きを早くしていた。激しく、さらに激しくしていた。
 僕の胸の下で圭子の乳房がプルプルと揺れた。圭子の裸の身体が上の方に少しずり上がった。
 僕は我慢できなくなって、終わりそうなことを圭子に伝えた。
 圭子はコックリとうなずいた。僕の腕の下で、僕のリズムに合わせて一生懸命腰を振って応えながら・・・。
 僕は我慢できなくなって、深い快感とともに圭子の中に放出していた。
 圭子は、僕の精液がドクドクと入ってくるのを最後の一滴まで吸い取るように懸命に腰をしぼって応えながら・・・。
 圭子の顔が、髪の毛が揺れていた。
 圭子の中にたっぷり放出した後、圭子の身体の余韻を味わいながら、そのまま素肌を密着させていた時のことだ。
 その時、ふと、いつもとは違う圭子の動きに気づいたんだ。
 最初は少しづつ、それから、身体を離そうとした僕の背中を両手で押さえつけるようにして、自分から腰を振り始めたんだ。
 そう。確かにそうだった。
 僕は驚いた。
 圭子が自分から要求してくるのは初めてのことだった。そして、そのことは激しく僕を刺戟した。
「お前、・・・」
「・・・、いいから」
 僕は、自然とそれに応えていった。圭子の腰の動きにリズムを合わせて、僕も腰の動きを激しくしていった。
 最初は圭子の動きに合わせるように・・・、それから、僕がリードして・・・、そのまま二度目の挑戦をしていた。
 圭子の秘部から僕の一回目の精液が漏れている。音がした。
 僕は腰の振りをさらに早くした。
 圭子は僕の真下で、目をつぶって、そして、感じようと努力している。
 いや、思い出そうとしている、僕はそう感じたんだが・・・。
 僕の背中に回った圭子の両手がだんだんきつくなって・・・、それから僕の腰に移動して・・・、
 そして、その両手が何かを僕に、僕の動きに指示しているように感じたんだが・・・。
 二度目の放出をしていた。それは驚くほどすぐに訪れた。
 その時、圭子はすでに腰の動きを止めていた。僕はしっかり見てしまった。
 圭子の表情に、何か不満を表すような仕草、焦れったいような仕草が顕れていた。
 でも、それはほんの一瞬のことで、すぐ圭子の表情からは消えた。
 そして、グッタリと仰向けに寝転んだ僕の始末をしてくれながら、
「元気なのね。でも、こんなに頑張っちゃって・・・。明日のお仕事、大丈夫?」そう言いながら、クスッと笑った。
 僕は、ハアハア息を吐きながら、でも圭子が達していないのが判って、がっかりした。
 しかし、僕は圭子が自分から求めてきたことに驚いていた。確かに圭子は達したかったんだ。
 確かに一回目が終わった後、圭子は、自分から僕に要求していたんだ。
「もうちょっとだった?」僕は怖ず怖ずと聞いた。
「ううん、いいの・・・」
 圭子は片肘で身体を起こすようにしながら、僕に言った。
 僕は申しわけ程度に、圭子の秘部に触れた。アンダーヘアーが湿っていた。
 しかし、圭子はその手を優しく外した。

 あの一件以来、一つだけ変わったことがある。
 それは、圭子が祖父の面倒をよく見るようになったことだ。
 前は、母が一人でやっていて、たまに圭子が手伝っていたんだが、それが今では圭子が祖父の世話を、ほとんど一人でやっているらしい。
「最近は、おじいちゃんの面倒は圭子さんが全部やってくれてるの。ずいぶん助かるわ」母が言ってたっけ。
「圭子さん、言うのよ。私、一人で出来ますから、って。
 また、腰を痛めるといけませんから、お母さんはどうぞ休んでいて下さい、って、追い出されちゃうの」
「そうか。少しは役に立ってるんだな」
「大助かりよ。おじいちゃんと圭子さん、とっても仲いいわよ。妬けるくらい。私は、もうお役ご免ってところでしょうかね」
 そして、「若い人にはもうかなわないわ」と言った。
 僕は、ちょっといやな予感がした。母の言葉の裏を探ろうとした。
 でも、僕はそれをすぐに打ち消した。
 だって、祖父はまた元のように老衰した寝たきり老人に戻っていたからだ。また風呂に入りたいとも言わないようだ。
 世話好きの圭子の善意から出たことに違いない。母がまた腰を痛めないように心配してくれているのだろう。
 でも、圭子との会話の中にもよく祖父の話題が出た。
 今日はこんなに食べたとか、今日は昔話しにつき合わされたとか、そんなたわいのないことばかりだったが、でも話している圭子の表情は明るかった。
 時々、僕は圭子に言う。
「悪いな。すっかりじいちゃんの面倒を見させちゃって」
「あら、そんなことないわ。それに、結構面白いおじいちゃんよ」
 圭子はさも意外そうに言った。

 そういえばこんなこともあったな。そろそろ寝ようかと思っていた時だった。
「ちょっと、おじいちゃんの様子、見て来るわ」と出かけて行った圭子が、そのまま一時間も帰って来ないんだ。
 僕は布団に潜り込んでいたが、あまりにも圭子の帰りが遅いので、心配になって、祖父の部屋に様子を見に行った。
 祖父の部屋は真っ暗だった。シーンとしていた。
 不思議に思って、隣り合わせの居間をのぞくと、父と母がまだ起きていた。
「圭子さん、疲れて寝ちゃったのかもしれないわね」母が言った。
「しょうがないやつだ。連れて帰るよ」
「いいじゃないの、寝かしといて上げなさいよ。きっと疲れてるのよ」
 父が、「まあ、酒でもつき合え」と僕の前にとっくりを出した。
「ところで、圭子さんは、まだ?」母が聞いた。
「え?何のこと?」
「何のことって・・・、まだなの?」あゝ、子供のことか。
「うん。まだみたいだ」
「お前たちの部屋、ちょうどこの真上でしょう。だから、ちゃんとやってるのはわかってるの。だから安心してるんだけど」
「何だよ、やってるって。変なこと言うなよ」僕は少し顔が赤くなった。
「いいじゃないの、夫婦なんだから・・・」
「何たって、夫婦は子供が出来て一人前だからな」父が言った。
「まあ、圭子も早く欲しがってるんだけどな。こればかりは天の授けものさ」僕は言った。
「ちゃんと励むのよ。いい?」
「わかってるよ」
「違うのよ。私が言ってるのは子供のことじゃないの」
「え?」
 母は何が言いたいのだろう。
「ちょっと聞きたいんだけど・・・、ね。さっき、圭子さんがおじいちゃんのところに行くっていうのは、お前が言いつけたの?
 それとも圭子さんが自分から行くって言ったの?」
「いや、圭子がちょっと心配だからって。それがどうかした?」
「そう・・・。やっぱり、私がやればよかったんだわ」
「よさないか」父が母に言った。
「何だよ」
「・・・、いえ。別に・・・。本当にありがたいって思って・・・」
「何が言いたいのか、さっぱり判らないよ」
「いいの。いいのよ。でも、圭子さんのこと、本当に大事にして上げるのよ。そうしないと、圭子さんが可哀想よ。しっかりと、ね」
 母は言い捨てるように言うと、そっと立ち上がって祖父の部屋へ様子を見に行った。そして、決して長くはないが短くもない時間が経って・・・。
 母の、祖父を叱責するような声がして・・・。
 と同時に、廊下をちょっと早足で歩く圭子の足音がして、居間には顔を出さずにそのまま階段を上がって行った。
 その時、僕は父とずいぶん飲んでしまって、遅く部屋に戻ると圭子は背中を向けて、もう寝ていたっけ。

コメント

もしかしてこれで終わりって事無いよな?中途半端じゃん(>_<)

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