スポンサーサイト
- --/--/--
- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
大きなもみの木の上で(その2)
- 2006/08/11
- 15:06
放課後、僕と亮と仲村さんは三人一緒に帰っていた。
「わははは!お前にしては中々の変身っぷりだったぞ健二」
亮が僕の肩をばんばんと叩きながらそんなことを言ってくる。
あの騒ぎの後、何だかんだで仲村さんはクラスの連中と打ち解けることができた。
僕のキャラな行為ではなかったが、まぁ、結果オーライってことにするか。
「あのなぁ…」
とはいえ恥ずかしかったのは事実。僕は憮然とした表情で亮を見返した。
「あの…ごめんなさい。私のために」
「へ?」
突然、仲村さんが申し訳なさそうに頭を下げてきた。
あちゃ…態度に出したのはまずかったか…
「あ、いやその…」
「気にすんなって。健二も最近までこのポーズができなかったんだから」
と言って亮は仮免ドライバーの決めポーズを再現する。
おいおい、こんな町中ですんなよ。
「ほら、ほら!この左手の位置がムズいんだぜ?」
「へぇ~、そうなんだ。男の子の番組って見ないからよくわからないけど、
結構奥が深いんだね」
お、話がそれた。ナイスだ亮。
僕もこれに便乗させてもらおう。
「そうそう。素人さんにはお勧めできない高度な技なんだよ」
「そうなんだ~」
よし、完全に流れたな。
「あ、でも女の子の番組にもそういうのあるんだよ?」
「へぇ」
「おっ、どんなんだよ?」
「えへへ…これこれ」
僕たちが尋ねると、仲村さんはランドセルから一冊のノートを取り出した。
ノートには見覚えのあるアニメキャラが描かれている。
「ああ、それか。そういえば姉さんがよく見てるなそれ」
「あ、藤井くんってお姉さんがいるんだ」
「うん、一つ上なんだけどね」
いい感じに弾む会話。
何かむず痒い感じがする。
「それよりどんなポーズなんだ?」
そんな雰囲気を読み取るでもなく亮はわが道を行くだった。
「やってみせてくれよ!」
「うん、見てみたいな」
ま、僕も興味が無いわけではないのだが。
「うん…ちょっと恥ずかしいけど、見ててね」
そう言って仲村さんは僕たちから少し離れて立ち、腕をクロスさせる。
「私の拳が光って唸る!敵を倒せと轟き叫ぶ!」
おいおい、これ少女向けか?
「政治献金なんて許しません!」
ていうか午後10時放送?
「愛国正義の、迷彩服美少女兵士!」
そこでくるりと一回転。
ふわり…
(…!)
その瞬間、僕は見てしまった。
ひらめいた仲村さんのスカート、その中を…
…ピンク色だった。
…小さなリボンも付いていた。
「…あ…」
やってから気が付いたのだろう。
仲村さんの顔がみるみる真っ赤になる。
「そ、ソルジャー…ムーン…」
それでも、消え入りそうな声で彼女はポーズを決めた。
「何か…いまいち勢いがない決めポーズだったな」
…どうやら亮の位置からは見えなかったみたいだ。
いや、仮に見えていても気付いたかどうか。
「い、いや、なかなか格好良かったよ」
「え?」
「うん、女の子の番組でもそんなのがあるんだね」
僕は下着を見てしまったことを悟られないように彼女を褒めまくる。
「ホントに…格好よかった?」
「勿論。今度姉さんと一緒に見てみるよ!」
「う、うん!面白いからきっと見てね!」
にぱっと笑顔。
どうやら僕に見られたことには気が付いていないようだった。
「あ、僕の家ここだから」
10分ほど歩いた後、僕の自宅に着いた。
亮の家はここから更に5分ほど歩いた所にある。
「しゃべってたらあっという間だったな」
「そうだね~」
「じゃあ、僕はここで…ってそうだ」
家に入ろうとした時、僕はあることを思い当たった。
「そういえば仲村さんの家ってどこなの?」
「え、私の家?」
「うん。この町に引っ越してきたんでしょ?」
仲村さんの自宅。仲良くなれば遊びに行くこともあるだろう。
…うちの近所だったらいいな。
「あの、ここから少し歩いた所にもみの木がある家…知らない?」
「もみの木?」
「悪い。もみの木ってどんなだっけ?」
「えーとほら、クリスマスツリーと同じ木だよ」
もみの木…
もみの木?
…ってまさか。
「ああーっ!」
亮も気付いたらしい。
その事実に。
「それって俺んちの隣じゃんか!」
「え、ホント!?じゃあ亮くんお隣さんなんだ!」
確かに亮の家の隣には空き家があった。
その家にはおおきなもみの木もあった。
まさか…そこが仲村さんの越してきた家だったとは…
「これからよろしくね!」
「ああ、いっぱい遊ぼうぜ!」
お互い握手を交わすお隣さん同士。
その時僕は、なんとも言えない疎外感を感じていた。
「な、健二!」
いきなり亮が話しをこっちに振ってきた。
亮には僕達3人で遊ぶ、という認識しかないらしい。
「あ、ああもちろんだよ」
乾いた声で、それでも笑顔で僕は返事をした。
「うん!3人一緒でね!」
どうやら仲村さんも亮と同じ考えらしい。
(距離なんて些細な問題なのかもしれないな…)
彼女の笑顔を見て、僕はそう思うようにした。
だって、これからはずっとずっと僕達3人は友達なんだから…
その夜、僕は自分の部屋で一人悶々としていた。
「何なんだろう。この感じ…」
僕の家と仲村さんの家との距離。…約5分。
亮の家と仲村さんの家との距離。…約5秒。
この差が意味するものは何なんだろう。
「うぅ~ん」
ごろごろとベッドをのた打ち回る。
勿論答えなんて出るはずも無く、それは徒労に終わった。
「やめやめっ」
がばっと起き上がり、僕はパソコンのスイッチを入れた。
そしてサーチエンジンにアクセス。
続いて関連サイトを根こそぎピックアップ。
その後何回かの絞り込み検索の結果、欲しい情報が浮かび上がってきた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
…もみの木…
マツ科常緑針葉高木。
樹齢は100年から150年程度。
雌雄同株。
初夏に開花し、短円柱形の球果をつける。
成熟後、球果は軸を残して種子が散っていく。
花言葉は「向上・高くそびえる」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ま、こんなところかな」
テキストをコピーし、フォルダに保存…これでOK。
内容は後で憶えておこう。
「さてさて、それじゃ行きますか」
調べ物を早々に終えた僕は、お気に入りサイトの巡回を開始した。
父親が機械好きな為、僕の家のネット環境は昔から充実していた。
皆がテレビゲームで遊んでいた頃、僕はパソコンをそれ代わりにして遊んでいたのだ。
そのためか無駄に知識を溜め込む癖がついてしまったが。
…可愛げのない小学生だな、と自分のことながら思う。
それでも学校では物知り博士で通っているからよしとしよう。
「おっと…」
何気に初めてのサイトにアクセスした瞬間、ポップアップ広告が起動した。
『爆乳キタ―(゚∀゚)―!!無修正エロ画像がタダで見放題!!
↓↓↓↓↓↓↓今すぐココをクリック!!↓↓↓↓↓↓↓』
――――――――――――――――――――――――――
あからさまに胡散臭い謳い文句。
こんなのに釣られる人なんているんだろうか?
僕は露骨に嫌な顔をした。
ネット巡回中、たまにこんなエッチ関係なものを目にすることがある。
が、僕はそんなものに興味は無い。
どうせこんなの、スケベな中年のおっさんとかが見るものに決まっている。
これは不潔なものなんだ。
そんな事を考えながら、僕はその広告ウインドウを閉じた。
「わははは!お前にしては中々の変身っぷりだったぞ健二」
亮が僕の肩をばんばんと叩きながらそんなことを言ってくる。
あの騒ぎの後、何だかんだで仲村さんはクラスの連中と打ち解けることができた。
僕のキャラな行為ではなかったが、まぁ、結果オーライってことにするか。
「あのなぁ…」
とはいえ恥ずかしかったのは事実。僕は憮然とした表情で亮を見返した。
「あの…ごめんなさい。私のために」
「へ?」
突然、仲村さんが申し訳なさそうに頭を下げてきた。
あちゃ…態度に出したのはまずかったか…
「あ、いやその…」
「気にすんなって。健二も最近までこのポーズができなかったんだから」
と言って亮は仮免ドライバーの決めポーズを再現する。
おいおい、こんな町中ですんなよ。
「ほら、ほら!この左手の位置がムズいんだぜ?」
「へぇ~、そうなんだ。男の子の番組って見ないからよくわからないけど、
結構奥が深いんだね」
お、話がそれた。ナイスだ亮。
僕もこれに便乗させてもらおう。
「そうそう。素人さんにはお勧めできない高度な技なんだよ」
「そうなんだ~」
よし、完全に流れたな。
「あ、でも女の子の番組にもそういうのあるんだよ?」
「へぇ」
「おっ、どんなんだよ?」
「えへへ…これこれ」
僕たちが尋ねると、仲村さんはランドセルから一冊のノートを取り出した。
ノートには見覚えのあるアニメキャラが描かれている。
「ああ、それか。そういえば姉さんがよく見てるなそれ」
「あ、藤井くんってお姉さんがいるんだ」
「うん、一つ上なんだけどね」
いい感じに弾む会話。
何かむず痒い感じがする。
「それよりどんなポーズなんだ?」
そんな雰囲気を読み取るでもなく亮はわが道を行くだった。
「やってみせてくれよ!」
「うん、見てみたいな」
ま、僕も興味が無いわけではないのだが。
「うん…ちょっと恥ずかしいけど、見ててね」
そう言って仲村さんは僕たちから少し離れて立ち、腕をクロスさせる。
「私の拳が光って唸る!敵を倒せと轟き叫ぶ!」
おいおい、これ少女向けか?
「政治献金なんて許しません!」
ていうか午後10時放送?
「愛国正義の、迷彩服美少女兵士!」
そこでくるりと一回転。
ふわり…
(…!)
その瞬間、僕は見てしまった。
ひらめいた仲村さんのスカート、その中を…
…ピンク色だった。
…小さなリボンも付いていた。
「…あ…」
やってから気が付いたのだろう。
仲村さんの顔がみるみる真っ赤になる。
「そ、ソルジャー…ムーン…」
それでも、消え入りそうな声で彼女はポーズを決めた。
「何か…いまいち勢いがない決めポーズだったな」
…どうやら亮の位置からは見えなかったみたいだ。
いや、仮に見えていても気付いたかどうか。
「い、いや、なかなか格好良かったよ」
「え?」
「うん、女の子の番組でもそんなのがあるんだね」
僕は下着を見てしまったことを悟られないように彼女を褒めまくる。
「ホントに…格好よかった?」
「勿論。今度姉さんと一緒に見てみるよ!」
「う、うん!面白いからきっと見てね!」
にぱっと笑顔。
どうやら僕に見られたことには気が付いていないようだった。
「あ、僕の家ここだから」
10分ほど歩いた後、僕の自宅に着いた。
亮の家はここから更に5分ほど歩いた所にある。
「しゃべってたらあっという間だったな」
「そうだね~」
「じゃあ、僕はここで…ってそうだ」
家に入ろうとした時、僕はあることを思い当たった。
「そういえば仲村さんの家ってどこなの?」
「え、私の家?」
「うん。この町に引っ越してきたんでしょ?」
仲村さんの自宅。仲良くなれば遊びに行くこともあるだろう。
…うちの近所だったらいいな。
「あの、ここから少し歩いた所にもみの木がある家…知らない?」
「もみの木?」
「悪い。もみの木ってどんなだっけ?」
「えーとほら、クリスマスツリーと同じ木だよ」
もみの木…
もみの木?
…ってまさか。
「ああーっ!」
亮も気付いたらしい。
その事実に。
「それって俺んちの隣じゃんか!」
「え、ホント!?じゃあ亮くんお隣さんなんだ!」
確かに亮の家の隣には空き家があった。
その家にはおおきなもみの木もあった。
まさか…そこが仲村さんの越してきた家だったとは…
「これからよろしくね!」
「ああ、いっぱい遊ぼうぜ!」
お互い握手を交わすお隣さん同士。
その時僕は、なんとも言えない疎外感を感じていた。
「な、健二!」
いきなり亮が話しをこっちに振ってきた。
亮には僕達3人で遊ぶ、という認識しかないらしい。
「あ、ああもちろんだよ」
乾いた声で、それでも笑顔で僕は返事をした。
「うん!3人一緒でね!」
どうやら仲村さんも亮と同じ考えらしい。
(距離なんて些細な問題なのかもしれないな…)
彼女の笑顔を見て、僕はそう思うようにした。
だって、これからはずっとずっと僕達3人は友達なんだから…
その夜、僕は自分の部屋で一人悶々としていた。
「何なんだろう。この感じ…」
僕の家と仲村さんの家との距離。…約5分。
亮の家と仲村さんの家との距離。…約5秒。
この差が意味するものは何なんだろう。
「うぅ~ん」
ごろごろとベッドをのた打ち回る。
勿論答えなんて出るはずも無く、それは徒労に終わった。
「やめやめっ」
がばっと起き上がり、僕はパソコンのスイッチを入れた。
そしてサーチエンジンにアクセス。
続いて関連サイトを根こそぎピックアップ。
その後何回かの絞り込み検索の結果、欲しい情報が浮かび上がってきた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
…もみの木…
マツ科常緑針葉高木。
樹齢は100年から150年程度。
雌雄同株。
初夏に開花し、短円柱形の球果をつける。
成熟後、球果は軸を残して種子が散っていく。
花言葉は「向上・高くそびえる」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ま、こんなところかな」
テキストをコピーし、フォルダに保存…これでOK。
内容は後で憶えておこう。
「さてさて、それじゃ行きますか」
調べ物を早々に終えた僕は、お気に入りサイトの巡回を開始した。
父親が機械好きな為、僕の家のネット環境は昔から充実していた。
皆がテレビゲームで遊んでいた頃、僕はパソコンをそれ代わりにして遊んでいたのだ。
そのためか無駄に知識を溜め込む癖がついてしまったが。
…可愛げのない小学生だな、と自分のことながら思う。
それでも学校では物知り博士で通っているからよしとしよう。
「おっと…」
何気に初めてのサイトにアクセスした瞬間、ポップアップ広告が起動した。
『爆乳キタ―(゚∀゚)―!!無修正エロ画像がタダで見放題!!
↓↓↓↓↓↓↓今すぐココをクリック!!↓↓↓↓↓↓↓』
――――――――――――――――――――――――――
あからさまに胡散臭い謳い文句。
こんなのに釣られる人なんているんだろうか?
僕は露骨に嫌な顔をした。
ネット巡回中、たまにこんなエッチ関係なものを目にすることがある。
が、僕はそんなものに興味は無い。
どうせこんなの、スケベな中年のおっさんとかが見るものに決まっている。
これは不潔なものなんだ。
そんな事を考えながら、僕はその広告ウインドウを閉じた。