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大きなもみの木の上で(その5)

そのページからは、不思議とかつて見たポップアップ広告のような
いやらしさ、親父臭さは微塵も感じなかった。
裸で水遊びを楽しむ人々からは、楽しそうな雰囲気しか伝わってこない。
僕は何かに取り憑くかれたかのようにページの閲覧を開始した…

裸でビーチバレー…
裸で甲羅干し…
裸でトロピカルドリンク…

現実ではありえない光景が次々と映し出される。
誰もが皆、幸せそうな笑顔を浮かべていた。

それは、まさに楽園の風景そのもの。

「こんな世界があったなんて…」
僕は恍惚の表情でそれらに見入った。

ギャラリーコーナーの画像を閲覧。
表示された画像をHDDに保存する。
僕はそれを飽きずに繰り返していく。
そんな中、ある一枚の画像が表示された瞬間、
僕は自分の血液が沸騰する音を確かに聞いた。


波打ち際で水に浸る女性の画像。
見た目から、恐らくアジア系の女性だろう。
だが違っていたのは、それが僕と同じくらいの少女のものだということだ。

大人よりもなだらかで、起伏に欠ける体のライン。
ほんの少しだけ、慎ましやかに膨らんだ胸。
そして股間には、覆うものは薄くすらも無く…

初めて見る、同い年くらいの少女の、あられもない肢体。

もし、もしもだよ?
  
もし、この一糸纏わず微笑む少女が仲村万理子だったら……?

そしてそんな光景が、

4日後、僕の目の前で展開されたりしたら………?


「うっ!」
そんな妄想が頭をよぎった瞬間、僕は自分の股間に異変を感じた。

膨張間。圧迫感。
それに伴う、尿意に似た…何か。

まずい!漏れる!?
慌ててトイレに駆け込もうとするも、到底間に合うはずも無く…

「うっ…ああああああーー……!」

にわかに信じがたい快楽の波。
涙が溢れる。
股間がじんわりと湿っていく。
腰が、砕けて無くなる感覚。

僕は椅子から転げ落ち、そのまま床に突っ伏してしまった。
全開放。
まさにそんな感じ。


その後色々なサイトを調べ、僕は今しがたの異変が何であるのかを知った。

異変の起こし方も知った。

その日は、明け方まで、全裸の万理子を想像しながら、僕は異変を起こし続けた…




「うう…」
夏の昼の日差しが容赦なく照りつける。
まるで、僕をとがめるかのようだ。
そんな罰を受けながら、僕は歩き続けている。

昨晩は何だかんだで12回オナニーをした。
最後の1回はもはや何も出なかったが、
僕の脳内では、万理子の滑らかな肌にちゃんと白い筋を描けていた。

「あぁ…悔しいな…」

男はみんなもこんな風に悩むのだろうか?
好きな娘を妄想の中で汚す、この行為をした後に。


でも、妄想の中の万理子は、真っ白に汚されて嬉しそうだったな。

少なくとも、僕にはそう思えた。


昨日は調べ物が全く進まなかった。
なもんで今日はアプローチ方法を変えようと、僕は学校にやってきたのだ。
グラウンドから、体育館から、掛け声が聞こえてくる。
夏休みとはいえ、クラブ部員達は練習するため学校に来ている。

僕の目的地も、そんなクラブ活動をやっている一角だった。


「さぁ、メドレー3セット開始!」
「はいっ、先輩!!」

夏のカンカン照りの中でも、ここは涼しそうだった。
しかし、練習する部員達は熱血そのもの。
そんな中、部員の一人が僕の姿を見て、近づいてきた。

「ちょっと、ここは部員意外立ち入り禁止よ!」

スクール水着に身を包んだ、ちょっと性格キツそうな女の子だ。
僕をじろじろと見て、怪訝そうな顔をしている。

「あ、あのさ」

不意に彼女が帽子を取り去った。
セミロングの髪に纏わりつく雫を払うその仕草は、まるで猫のようだ。

「とくに覗き魔は立ち入り厳禁っ!! 出てけーっ!!!」
つり目がちな瞳をさらにつり上げさせ、彼女は僕の顔面に帽子を叩き付けた。


「冷たっ…」
いきなりの仕打ちだったが、僕は気にしないことにした。
すぐに解ける誤解に目くじら立てても仕方がない。

「…あのさ、幕ノ家と仙道、いる?」
「あ? あんたあの二人の知り合い?」
「うん、クラスメート」
「ホントにー? とか言って実は覗き魔なんじゃないのぉ?」
「違うって。二人に聞いてもらえばわかるよ」

幕ノ家と仙道は僕の級友で、水泳部員だ。
あまり親しいわけではないが、たまに一緒に遊んだりもしている。
あの二人なら、ネットでは知りえないローカルな情報を知ってるかもしれない。
そう踏んでの今日の登校だったのだ。

「今男子部員はランニングに行ってて全員いないから、確かめようがないよ」
そう言って彼女はプールの方を見やった。
つられて僕もそっちの方向に目をやる。

すると…

水飛沫を上げ、一生懸命に練習する女子部員達。
だけどその表情は、皆楽しげだ。

―それは、すなわち楽園の縮図だ―


(うううっ!!)

瞬間、股間に激痛が走った。
くそっ、おちんちんが勃ってる…!
どうやら僕の中の「エッチなスイッチ」が入ってしまったらしい。
だって、彼女達は裸じゃない。
ちゃんと水着着てるじゃないか。
何で僕は反応する?

プールで嬌声を上げる女の子達の、水着のその中身を想像しているのか?

「ちょっと、あんたどうしたの?」
彼女が不思議そうに僕の顔を覗き込む。
「い、いや何でもないよ」
「お腹でもいたい?」
「ホント何でもないって」

やめて。そんなに近づいたら…

「保健室行けば? …って、きゃっ!」

近づこうとした彼女が、不意に足を滑らせた。
咄嗟に僕は反応し、彼女の方に手を伸ばす。
彼女が地面に激突する寸前、僕の手が彼女の身体を捉えた。


どささっ!

二人して、かなりの勢いでプールサイドにすべり込んでしまった。
いてて…膝、擦り剥いたかも。


…ん?


僕が彼女を捉えた、その構図。
僕の腕の中に彼女がいる。

それはいい。

でも、何故か僕の右手は彼女の胸に。
でも、何故か僕の左手は彼女のお尻に。
でも、何故か彼女の右手は僕の背中に。

そして、彼女の左手は僕の股間に…触れていた。


「おわあっ!ご、ごめん!!」
慌てて飛びのくも、時既に遅し。
真っ赤な顔で自分の身体を抱きしめ、うずくまる彼女。

あああ…
自己嫌悪だ。
彼女の言うとおりだ。
ほんとこれじゃ唯の変態だ。
覗き魔で痴漢で変質者だ。
頭の中がピンク色で染まっているんじゃないのか僕は?

「た…」
ようやく我に返ったのか、彼女が口を開く。
どんな罵声が僕に降りかかるのか、想像するだに恐ろしい。
いや、もしかしたら物理攻撃かもしれない。

でも…

「助けてくれて、ありがと…」

初めの剣幕はどこへやら、妙にしおらしくなった彼女が、僕にお礼を言った。



「さっきはごめん。ひどいこといっちゃって。 …怒ってる?」
「い、いや別に怒ってないけど」
「…そ、そう」

何なんだこれは。
さっきの痴漢行為はスルーなのか?
僕はほっと胸を撫で下ろした。

「私、6年の渡部沙希。 あんたは?」
「あ、僕は藤井健二。 いちおう同級生かな」
「えっ…藤井…?」

僕が名前を言った途端、彼女の表情が変わった。

「そっか! あんた…じゃなくて、君があの有名な藤井健二君なんだー!」
「え、僕のこと知ってるの?」
「うん。物知り博士の藤井君でしょ?」

どうやら僕の噂は意外と学校に広まっているらしい。
受け売り知識を披露する癖は、程々にしとかないとな…


「大人っぽい子って聞いてたけど、ホントなんだね。
あんなことされても怒らないし、私のこと鮮やかに助けてくれたし…」

何なんだこれは。
渡部さんの目がキラキラしている。
尊敬…?
いや、悪い気はしないけど、何か違和感が。
一体何なんだろうかこれは…

その後、渡部さんと色々話をした。
そして僕は、彼女からとっておきの情報をに仕入れることに成功したのだ。

これで3日後、僕は亮と万理子に予告したことを9割がた実行できる。
本日の目的はほぼ計算どおりに達成されたと言っていい。


だが誤算もあった。
いや、予想だにしなかったことだから計算外か。


――帰り際に渡部さんが言ったお願い。

「私も一緒に行ってもいい?」

それを、OKしてしまったことだった――

僕は彼女に何かを期待しているのか?
わからない。
でも、それでも、
僕は結果として、僕と亮と万理子との関係を変えることを選んだのだった。

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