2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

動き出した歯車(その19)

遅い。
時計を見ると、電話があってからかれこれ1時間たつ。
一体何をやっているんだ。
電話が終わった後、手早く朝食を済ませ、身だしなみを整え、服を着替えて待っていたものの、待てど暮らせ
ど来やしない。
いいかげん焦れて約束をすっぽかして出かけようと思った矢先に、玄関の呼び鈴が鳴った。
『ピンポ~ン』

ッたく、どれだけ待たせるんだよ!
内心むかつきながら乱暴にドアを開ける。………香織だった。
けれども、目の前に立っている香織は、今まで見たこともないものだった。

目の前の少女は、真っ赤なウールのコートを羽織り、その内には、これまたウールの真っ白いセーターと、ビロードだろうか 鈍い光沢を放つ真っ黒なスカートを履き、足にはスカートとお揃いの黒いスエードのブーツ
を履いている。
顔には、しっかりとファンデーション、目には薄くアイシャドーが引かれ、唇はピンクとオレンジの
中間色でしっとりと、艶やかに光っていた。
いつもは、スポーティで健康的な可愛さが売り物の香織なのだが、今日は何処となく大人の雰囲気……もっと
言えば妖艶な香りを漂わせているような感じがした。
……何か…えらい気合が入ってない?

「ごめんごめん、お待たせー」
女の子は屈託のない笑顔で送れた事を侘びている。

「香織………だよ……な。」

「何言ってるのよ、もう………ってちょっとその格好で行くの?もうちょっとましな格好にしてよ!」
そう言うが早いか、少女は家にあがると二階にある俺の部屋へと一直線に駆け込み、箪笥の中を引っ掻き回
している。
「はい、これ着て」
有無を言わせぬ言い方だ。
出された着物は、紺地のジャケットに、太目の毛糸をざっくりと編んだ薄い茶色の丸首のセーター。それに、チェックのストライプの入った濃い目のグレーのスラックス(勿論、しっかり折り目はついている)……俺の
一張羅だった。
全く、箪笥の中まで知っているとは……付き合いが長かったとはいえ、こんなにも深く自分のプライベートに
入り込んで居た事に少し驚き、ちょっぴり胸が痛んだ。

「結構時間食っちゃったね。急がなきゃ。……さ、行こう」

着替えが終わったか終わらないかの処で香織に手を引かれ、そのままズルズルと引きずられるように外に出た。

「うぅ、寒いねぇ。こんな天気だと、つい心まで憂鬱になっちゃうよ…ねぇ」
そういう香織の表情は、うきうきとして にこにこと笑っている。
とても『憂鬱』なんて言葉が思いつくような表情ではない。
何か、嬉しい事でもあったのだろうか。そう思いながら、香織の横顔を覗く。
ファンデーションの匂いと、唇に塗られたリップの艶やかな赤色に、艶めかしいものを感じた。

「とてもそんな風には見えないんですけど」

「えへへ、解った?」

解ったも何も、回りに『嬉しい』オーラをばら撒いてるんですけど、香織さん。


その時、ビュッと強い北風が吹きつけた。
思わず身を縮こまぜ、両腕を胸のところで抱え込ませると、左の腕に重さを感じる。
左を向くと、香織が腕にしがみつき、肩に頭をもたれかけていた。

「へへ、暖かい」

まずい、これは絶対にまずい。こんな所を誰かに見られでもしたら、大変だ。
「あの…さ、」

「ん…なに?」

「こういうの…まずいんだけど」

「なにが、まずいの?」

「いや…だから、こんな、腕を組んだりするのは…」

「えー?いいじゃん。べつに減るもんでもないし」

「あのな…減るとか減らないとかそういうもんじゃ無いだろ?」
「こんな所、誰かに見られて、それが景子の耳にでも入ったらどうする?」

「あ…やだ、もう尻に敷かれてるの?」

「そんなんじゃないよ!彼女は優しいから、怒る事はないかもしれないよ。でも、付き合ってる人が他の女と腕
組んで歩いているのなんて、考えただけでも嫌だろ?そんな所を見たら、悲しいだろ?俺は彼女を悲しませるよ
うな事はしたくないの!」


「解ったら、もう離れてくれよ。じゃないと、俺、買い物止めて帰るぞ」

「ぷっ…ははは、わかったわかった 離れるよ。もう、ちょっとからかってみただけなのに むきになっちゃって」
「彼女に操を立てるのは 感心な事だけど、もうちょっと余裕のある態度でないと、振られるぞ」

お前、ちょっと会わないうちに、随分と性格悪くなってない?
そう思いながら横を向く。
香織の顔には満面の笑みが浮かんでいた。
ニコニコと明るく、意地の悪そうな邪気など、少しも感じられない。
なんなんだよ 一体、訳が解らない。
それからは 香織から絡み付いてくる事は無かった。お互い、ただ自分の与えられた仕事をこなすかのように、
淡々とプレゼント選びに時間を費やしていった。



全く、女性の買い物と言うものは、どうしてこうも時間と労力を無駄にするのか。
都心に来て、買い物を始めてから、はや6時間が経過していた。
昼食を含めて何度か休憩はあったものの、殆ど立ちっぱなしだ。
その間に、色々な物を見ては、あーでもないこーでもないと悩み、散々迷った上で候補を何点かに絞ってから、
さらにまた悩む。当然その間は候補の品物を吟味するために売り場を何度も往復している。
いい加減つきあいきれなくなってきたところで ようやく決めた…と思いきや、『やっぱりあっちの方がいい
かなぁ』と、また悩みまくる。
こうまで盛大に悩んで決めたものと言えば、ネクタイピンとカフスのセットだったりする。(高校生の買うものだから、さして高価なものでもない)
全く、こんなのは『えい、や!』と踏ん切りをつけるだけのものだと思うのだが……
たったこれだけのものを選ぶのに、どうしてここまで悩むことができるのか、半ば感心してしまう。
外は、もう夜の装いに変わっていた。


疲れた。
帰って、風呂に浸かって、飯食って、早く寝たい。
帰りの電車の中ではそれだけしか頭に無かった。


「ねぇ、疲れたでしょ? ちょっと家によって休んでいかない?」
電車を降り、香織の家まで一緒にいって荷物(といってもたいした事無いが)降ろして帰ろうとしたとき、こ
う言われた。

確かに疲れている。というか、こんなに疲れたのは滅多に無い事だ。実を言うと、ここから自分の家まで帰る
ことすら、しんどいと感じていた。
渡りに船だった。

「じゃ、お言葉に甘えてちょっと寄らせてもらうわ」
長年のつきあいからくる気安さだろうか、疲れていたとはいえ、二つ返事でOKしてしまった。


家に上がったものの、家は真っ暗で静まり返っていた。
中に入っても殆ど寒さが変わらない。
……おじさん、おばさん、どうしたんだろう。


「あれ、今日誰も居ないんだ…」

「うん、お父さんは今日はシフトで夜勤」
「お母さんは、近所で不幸があって、今日はお通夜のお手伝い。帰りは9時過ぎるって」

「そ、そう………なん…だ」

今まで二人だけでこいつの家に上がった事など、何度もあるというのに、今日に限って何だか意識してしまう。何だか、酷く滑稽な情景が拡がっているような感じがする。

「そこに座ってて。今コーヒー入れるから」

リビングに通され、香織からいわれるまでも無く、近くのソファーに腰掛ける。

香織はというと、居間のストーブに火をつけると、コーヒーを入れようと台所でヤカンを火にかけている処
だった。
程なくして、コーヒーを入れたカップを二つ持ってやってきた。
コーヒーを応接のテーブルに置くと、テーブルを挟んで向かいに座った。

「はい、どうぞ」

「ん、ありがとう」
素直に感謝の言葉を口にして、コーヒーを一口すする。
コーヒーの甘味が、苦味が、暖かさが、疲れて冷え切った体に染み込み、えもいわれぬ満足感を体の隅々に運
んでいく。ちょっとばかり生き返る感覚を味わった気分だ。


「ふー、生き返る」

「今日は長い時間付き合ってくれてどうもありがとう。助かったよ」

「どういたしまして…と言いたいところだけれど、今日は俺も疲れたわ」

「なかなか決められなかったからね。長い間つきあわせちゃってごめんね。……でも、本当感謝してる。助か
ったよ。ありがとうね」
そう言ってにっこり笑う香織。

暫く離れていた事の反動で意識し過ぎなのだろうか、そんなしぐさ、言葉の一つ一つが何とも言えず眩しかった。
まずい、コーヒーを飲んで一服したら、早く帰らなきゃ。と思っているところに話し掛けられた。

「ね、最近遠野さんとは、どう?うまくいってるの?」

「どう、……って まあ、上手く言ってるんじゃないかな」

「『いってるんじゃないかな』って、あんたたち、付き合ってるんじゃないの?」

「うーん、『付き合ってるのか?』って言われると……でも、まぁ付き合ってる部類に入るとは思う」

「えーー?、昼間、腕組もうとしたら『でも、付き合ってる人が他の女と腕組んで歩いているのなんて、考えた
だけでも嫌だろ?』なんて言ってたじゃん」

「……そんな事言ったっけ?」

「…あのねぇ、あんた あの人の事、好きなんでしょ?私が腕組もうとした時には 慌てて振り解こうとしたでしょ?なのに、付き合ってるかどうかについてはどうしてそう曖昧なの?」
「こんな事が彼女の耳に入ったら、それこそ振られるよ?」

今度は、先輩よろしく、俺と彼女の仲を取り持とうと何かと世話を焼こうとする。
ちょっと、違和感を感じた。
なぁ、香織。一体お前は何をしたいんだよ?

「で、実際のところどうなの?」
「進んだ?相変わらず?そのくらいは答えられるでしょ?」

何だ。結局、知りたいのはそれかよ。
全く、女というも生き物は、ゴシップが好きなように遺伝子が組み込まれているんじゃないかと思う。

「そ、そりゃ まぁ………出会った頃よりは、結構進んだと自分では思ってるけど…・」

「そう……じゃ、もう した?」

「『した』って何を?」

「勿論、sex」

「ブッ!!!!」
何を言い出すんだよ?!!!

「あぁぁーーー、もぅ いきなり何すんの。汚いじゃない」

そっちが、いきなり『sexした?』なんて訊くからだろ? 全く、何て事訊きやがる。
などと言葉にならない愚痴を俺が言っている隙に、あいつはこ雑巾を持ってきて、こぼれたコーヒーを丁寧に
拭き取っていく。

「ったく、もう少しで服にかかるところだったじゃない。これ、お気に入りなんだからね。気をつけてよ」

「へーへー」

「で、どうなの?」
コーヒーを吹いてしまった時点で終わりと思っていたのだが、どうやら違うらしい。この件はどうしても答え
が欲しいというのか?

「だから、何でこんな事訊くんだよ?」

「別に、気になったからだけど」

「気になったからって、ホイホイ訊いて答えるようなものかよ?こういうことは」

「いいじゃない。別に減るもんじゃなし」

「…『減るもんじゃなし』って…そういう話じゃないだろ?」

「それにさ、ひろクンだって私に訊いたじゃん。この話」
「私はちゃんと答えたよ。それなのに、あんたはそう言って逃げる気?卑怯だよ」

確かに…そう言われると、反論できない……、俺の話には答える気ないのかよ。


「で…どうなの? したの?まだなの?」
あくまで、俺の口から言わせたいらしい。

「……………ま……まだだよ」

一瞬、沈黙が流れた。
その次の瞬間、香織が見せた顔に、安堵の表情が浮かんでいた様に感じた。

「そう……じゃ、予行演習しない?」

「予行演習って何の?」

「だから、sexの」

「ブッ…グ……ゲホ…ゴホゴホゴホ……」
何とか噴出すのは堪えたものの、その分が鼻から流れてでてくる。
鼻の奥が痛い。
「キャハハハハハ。もう、変な事やって笑わせないでよ」

「ゲホ…グ…ゴホ…お前が…変な事……言い出すから…ゴホゴホッ…だろ?」

「変な事ってなによ。あのねぇ、これって結構重要なことなんだよ」
「知ってる?初めての時って、うまく行かなくて 結構焦るんだって」
「でね、何度やってもうまくいかなくて、焦っているうちに男の人のアレが萎えちゃうんだって」
「それがきっかけで、気まずくなって 別れちゃうことだってあるんだよ。いいの?そうなっても」

「良くないよ。良いわけないけど、でも必ずしも初めての相手とは絶対うまく行かないって訳じゃないだろ?」

「そりゃあ、必ずそうなるって言ったわけじゃないけど」

「じゃあ、いいよ。心配してくれるのはありがたいけど、わざわざリハーサルしてまで成功させる必要はない
から」

「あーもう、わかってないな。いい?確かに必ず失敗するわけじゃないよ。でもね、あんた未経験でしょ?
今まで経験していなかった事をいきなりやって、上手くいくと思う? まず上手くいかないにきまってるよ」

「そんなの、やってみなくちゃわからないだろう?」

「あー、そういう事いうの?じゃあ訊くけどさ、あんた どうすれば女の子が気持ちよくなるか知ってる?」
「あのね、女の子はさ、最初の頃は、かなり痛いんだよ。でも、好きな人と一つになれるから、我慢してるの」

「でもね、本当は女の子だって気持ちよくなりたいんだよ。できれば一緒に」
「それなのに、どうしたら良いかわからなくて、無茶苦茶やって、ただ相手に痛い思いだけさせて、それでそ
の後、上手くいくと思う?」

「………」
こう言われると、経験のない自分には反論の余地はない。というか、経験者としての言葉が胸にズシっと響いてくる。確かに、こんな事で景子に嫌われるのはごめんだ。

「だから、今ここで予行演習しておこう、って言ってるんじゃないの」
「何だってそうでしょ?予め一回でも経験しておくと、落ち着いて行動できるって。せっかく経験できる機会
なのに何で躊躇する必要があるの?」

「だからって、こういうのは好きでもない相手とやるものじゃないだろ?いいのかよ、お前は。こんな事で男
に体を許して平気なのかよ」

「私は、ひろクンの事、今でも好きだよ。前にも言ったよね?私はひろクンが相手なら、構わないって」
「あれは、今でも変わってないよ。私は、ひろクンが相手なら、平気だよ」

突如、心臓がドカンと大きく鳴り出した。
一体自分の体に何が起こったのか、解らない。
ただ、この時から目は、前にいる少女から逸らすことが出来なくなってしまっていた。
耳は、自分の心臓の鳴り響く音以外聞こえなくなっていた。
手も足も殆ど動かなくなってしまった。

「勿論、誰にもしゃべりなんかしないよ」
「これはね、ひろクンと遠野さんの仲が上手く行くようにするための練習なんだから」
「だからさ、何の心配も要らないんだよ」
「ね? しよう」

だめだ!これはそんな理由でするものじゃないんだ。それは俺のポリシーなんだ!
頭の中では一所懸命に叫んでいた。けれどもそれは一語も外には出て行かなかない。
何故だ?どうしてなんだ?

心臓は早鐘ようにガンガンと体中に鳴り響き、それに合わせるかのように 呼吸は浅く荒くなっていく。
目の前の香織にも『ハァハァ』といやらしい音を立てて呼吸をしている音がはっきりと聞こえているはずだ。
いつのまにか 俺の股間のものは、はちきれんばかりに大きく 硬くなっていた。
俺は、これから起ころうとしている事に期待しているのか?

咄嗟に景子の悲しそうな顔を想像した。
これを受ければ、確かに上手くできるかもしれない。でも、その代わり、景子の顔を見るたびにその事を思い
出して、態度がぎこちなくなるのは間違いない。
そうしたら、彼女には絶対に感づかれる。……何を考えているんだよ、俺は。
今俺の大切な人は、誰だ?大切な人は、遠野景子という名前の人だろ?目の前にいる人の名前は景子って言う
のか?違うだろ?ダメだ!きっぱり断れ!でないとみんな不幸になる!!!

必死で景子の事を思い、自分に言い聞かせて見るものの、体は全く変化を見せない。
股間のものは相変わらずギンギンに硬く、大きくなったままで、痛いほどだった。

なんとか自分の感情を抑えようと悪戦苦闘している目の前に、刺激的な赤いものが…香織の唇が飛び込んでき
た。
いつのまにこんな近くに……なおもその顔は、ゆっくりとこちらに近づいてきている。既に目は閉じられていた。


あと5cmも接近すれば、あいつの唇が俺の唇と触れてしまうだろう。
俺は、

①身動き一つできなかった。
②「だめだ!そんな事できない」


 
②「だめだ!そんな事できない」
そんな俺の言葉なんてまるで聞こえないのか、香織の唇は近づいてくる。

3cm
「やめろ。だめだよ!止めろってば」
動きは止まらない。

2cm
「だめだ。だめだってば!」

1cm
「頼む。やめてくれ!」
それでも動きは止まらない。

5mm
「駄目だったら駄目だ!!!」
出せるだけの声を総動員して怒鳴って見たものの、香織に変化は見られない。
さりとて、俺の体も金縛りに会ったかのように、身動き一つできゃしない。

3mm
「あぁ…」
声が裏返る。まるで瀕死の鶏が首を締められたかのようで、情けない。
もう駄目だ。あの唇が触れたら、俺はなす術なく、こいつにやられてしまうだろう。
景子、ごめん。俺の事、あんなに助けてくれたのに、俺は君を裏切ってしまう…

観念して目を瞑った。もうじたばたしてもしょうがない。………

「プッ!フフフ……もぉ冗談だよ冗談。じょ お だ ん だってば」

え?………すぐには状況を把握できない。一体何が起きたんだ?
慌てて目を開けると、真正面に香織の顔があった。いたずらっ子のような顔をして笑っている。

「もぉ、単純だなぁ……こんな事くらいで本気になるなんて……こんな冗談くらい、ちゃんと見抜いてよね」

冗談?冗談だって言うのか?
こいつとの付き合いは幼稚園からだ。かれこれ10年ちょい経つ。人生の大半の期間はこいつと面突き合わせ
て生きてきた事になる。
その経験から言わせてもらえば、さっきの表情や雰囲気は到底冗談で言っているようには見えなかった。
本当に冗談なのか?
こいつは、俺がこういう挑発的な態度が嫌いなのは、百も承知の筈だ。まして、それをネタにからかうなんて
いうのは、一番毛嫌いする事だってわかっているはずなのに、何故こんな事を……。
「本当に冗談か?」
訊かずにはいられない。

「あ?という事は……期待してたな? いいよ今からでも。する?」
いたずら猫のような顔をして、又 唇が触れる寸前まで顔を近づけてくる。

「ば、馬鹿言うな!」
熱い。顔から火が出そうだ。 くそ!これじゃ訊きたい事も訊けゃしない。

「あ、赤くなって…かーわいいぃ」

「ふざけるのもいい加減にしろ!!」
半分見透かされている事の照れ隠しで、つい言葉が荒くなってしまう。

「嘘、嘘。ちょっとからかってみただけ」

「からかったって…何だよ、それ?」

「だってさ、あんたと遠野さん、傍から見てると とぉっても仲良く見えるんだよね。なのに、訊いて見ても
『ちょっとは進展しているみたい』でしょ?何か『カマトトぶるのもいい加減にしろ』って思って、ちょっと
意地悪してみたくなっちゃったの」

本当にそうなのか?本当にからかい半分でやった冗談なのか?
俺にはとても信じる事ができなかった。

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

最近のトラックバック

アクセスランキング

アクセスランキング ☆ランキングの参加は、このページ
http://saeta.blog.2nt.com/
にリンクするだけです☆

ブロとも申請フォーム

お知らせ

(*´Д`)<ハァハァ・・・・・・

かんりにん:(*´Д`)<ハァハァ・・・・・・
相互リンクも大歓迎です。
気に入ったらどんどんリンクしてください。

コメント欄にでも知らせてくださると嬉しいです。

ブログ内検索

注目

ページの先頭へ戻る