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貝殻の髪飾り 1

「ねぇねぇ、早く泳ごうよ!」
「わぁ 、待ってよ まぁちゃん!」
僕…安藤真二は、幼馴染である二年下の女の子…宮沢麻衣ちゃんと夏休みを利用して海に来てました。
そして海岸に着くなり、麻衣ちゃんこと まぁちゃんは、一人先走って海に飛び込もうとしてたんだ。
「こらこら、子供らだけで遠くへ行くなよ 」
「ほら、康一兄ちゃんもあー言ってるっし、一人でそんな…あっ」
すると、荷物を置いた僕の兄の安藤康一が、追いかける僕を追い抜き、まぁちゃんに向かってたんだ。
「はは、先行くぞ !」
「ずるい、待ってよ !!」
さっきはあんな事を言っていたのに、子供を取り残すのはいいのかよ!
結局、僕が二人に追い着いた頃には、もう二人だけで遊び始めてたんだ。
「遅いよ、シンちゃん!」
「はは、だらしない弟だな まったく!」
「うるさいな もう!」
そのまま今度は三人で海で遊んだ、そしてしばらく経ってから一度浜に戻ったんだ。
もう一人をそのままにして放っとくのも可哀想だと言う まぁちゃんの考えもあってね、
僕と兄はそんなデリケートな奴じゃないよと思っているんだけど。
そして荷物を置いた場所まで戻ると、そこで豪快に海の家で購入したと思われる缶ビールを飲み、
一人盛り上がっている中年親父が居たんだ。
「よぉ、早いな こっちはおかずを肴に一杯やって楽しんでたのによ」
それは、僕の父さん…安藤茂だった…今日は僕の家族と まぁちゃんとで夏の恒例行事になった、
海水浴に来てたわけなんだ。
「おかず?ビールしかないよ おじさん」
「あはは、いやいや そっこいらにおじさんのおかずはあるんだよ 」
僕もこの時はまぁちゃんと同様の事を思って疑問に感じてた、
だが後にこの時の親父の発言は、周囲の他に海に泳ぎに来た女性達の水着姿がおかずだとわかった。
「麻衣ちゃんも、あと数年経てば立派なおかずになるんだがな 」
「ほえ?」
「仕方ないな 親父は、俺には十分に今でもおかずなんだけどな 」
「兄ちゃん…まぁちゃんは食べられないよ?」
「あ もう少し大人になったらお前にも意味わかるからな」
「??」
この時の幼い僕らには、父と兄の言う事は理解できなかった。
その後に、この酔っ払い親父も含めて砂浜でボール遊びをし、
また海でも泳ぐ僕達だった…そして帰る直前。
「あれ?これ…」
僕は人も少なくなった砂浜で一枚の貝殻を見つけてた…それはとても綺麗な鮮やかな代物だったんだ。
「シンちゃ ん、もう帰るよっておじさんが…どうしたの?」
「まぁちゃん…これプレゼント」
「うわっ!可愛い!!」
その貝殻をまぁちゃんに渡すと、彼女は凄く喜んでくれたんだ。
「ありがとう、一生の宝物にするね」
満面の笑みでまぁちゃんは喜んでた、その顔を見られて僕も幸せだった…

そしていつしかこの渡した貝殻は、僕とまぁちゃんの絆を表す大事な品になってたんだ。

あれから6年後…


俺は高三の夏を過ごしていた、この長期休暇をバイトに励んでいたんだ。
「ふぅ…夏のバイトは疲れるぜ」
実は俺は夏休みだけでなく、この高校生活の間に様々なバイトで金を稼いでいた、
それは全て来年春からの一人暮らしに向けての資金稼ぎだったんだ。
夕暮れになり、その日のバイトを終えて帰る途中、急に後ろから声をかけられた。
「シンちゃん!」
振り向くと、そこに立っていたのは成長した幼馴染のまぁちゃん…いや、麻衣だった。
6年の月日の中で、顔と小柄の体格に幼さない面影を残しつつも、
麻衣は成長するとこは立派に成長してた…伸びた髪に小さいが形良く膨らんだ胸、
形のいいお尻と、まさに美少女といえよう…
そしてこの艶やかな髪には一つの可愛らしい髪留めが付けられていた。
それは一枚の貝殻だった…これはあの幼い日に彼女に贈った貝殻を加工した物なんだ。
あの時に言った通りに、麻衣は一番の宝にしてこの6年間ずっと肌身離さないようにしてくれてたんだよ。
「よっ!海は楽しかったか?」
「よっじゃないよ 何で今年は参加しなかったの?」
麻衣は不機嫌に怒っている、う ん…黙ってたのは不味かったかな?
「ごめんバイトが忙しかったんだよ」
そう、今日は毎年恒例の海水浴の日だったんだ、だけども今年は俺だけは参加しなかったんだ。
急遽にバイト先の事情で、やむえず俺は参加できなかった事になってる、
だがそれは建前だった…今年は気分じゃなかったのが一番の理由だ。
「もう 一日くらいいいじゃない、そこまでしてお金が欲しいの?」
「欲しいな、この夏の目標額まで、あともう一稼ぎしたいんだよ」
「そんなにしてまで一人暮らしを始めなくても…ここから通えばいいのに」
麻衣はそう言うが春から進学する専門学校に通うには、ここは遠すぎる…
いやその前に一人暮らしをするのを目的で遠方の学校を俺は選んでいた。
「それにシンちゃん家は裕福じゃないの、仕送りとかしてもらえないの?」
「俺の我がままで決めた進学だからな、できるだけ親には迷惑かけたくないんだ」
これも少し違う、本当は…ウチの家の金をなるべく使いたくないだけだった。
どこか後ろめたい事で稼がれたお金だからな…ウチのは。
それからずっと麻衣は、自分の家の前に来るまでブツブツ文句を言い続けてた、
色々と理由はつけてるけども…その真意は分かってる、
俺と離れ離れになるのが嫌なんだ…俺だって麻衣と離れたくない。
「なぁ…麻衣」
「ん どうしたの?」
「お前が高校卒業したらさ…俺と同棲しないか?」
「えっ!!?」
突然の俺の一言に驚き足を止める麻衣、そして驚愕の表情のままで顔を真っ赤になっていく…
「駄目かな?」
「じ…冗談じゃないよね??」
俺は縦に頷く、それでますます麻衣は顔の赤みを強くしていくのだった…。
「俺さ…一人では広過ぎるような広めの部屋を借りとくからさ」
「う、うん…そういえばシンちゃんの行くとこって…私が通いたい学校のある場所なんだよね…確か」
え?そんな話は初耳だった、確かに都会だから色々と短大から専門まで、
様々に学校があるのは確かだけども。


「だ、だから…部屋を見つけれなかったら、知り合いを頼るかもね…う、うん」
俺は微笑む、まったく素直じゃないよな…俺もかもしれないけど。
俺と麻衣は幼馴染という関係から少し上の関係になってると思ってる、
まだきちんと告白とかしてないから恋人では無いと思うけども、
周りから言わせてもらえば立派な恋仲としか見えないとの話だ。
本人らが恋人と言ってないだけで、やってるのは恋仲のそれだとさ。
確かにバイトを始めるまでは、休日になると一緒に出かけて遊んでたし、
歳が少し離れてる割に、大抵いつも一緒だったからな…そう見えたかも。
そしてそれはあってたんだ、もう俺ら二人は互いが好意を持ってるのに気付いてる…
ただそれを口にしないだけで…臆病なんだよ、今の関係が壊れるのが怖いんだ。
「じゃあね、シンちゃん」
「ああ、またな!」
そこで麻衣と別れると俺は、その少し先の自分の家に帰り、中に入っていた。
「よっ真二、お帰り!」
「ただいま兄貴、って何だよその格好は!!」
玄関から入り靴を脱いでいると、台所から出てきたのは全裸にエプロンを付けた兄貴だった。
「はは、男の裸エプロンですまないな さっきまで仕事してたからよ」
「し、仕事ね…」
兄貴は豪快に笑いながら台所に戻っていく、そういえば今日の飯係は兄貴の番だったな。
「そうそう、親父はまだ職場の方だぜ」
ちなみに俺の家は親父の経営する会社と隣り合わせになって一つになってる、
一応は表向きは小さな撮影所を経営する我が家なわけだ。
しかしそこで行われる撮影は、一般的なものでは無かった…
実は俺の親父はAV…アダルトビデオ関連の企画販売会社の社長だったんだ。
何でも一人で社長としての仕事から、現場での企画から撮影に男優までこなすとか、かなり色々としてるらしい…
そして兄貴も高校を卒業してからは、親父の手伝いをしながらにカメラマンや男優として働いてる。
もし俺もその業界に仲間入りしたなら、一家総出のアダルトビデオ家族になるところだったわけだ。
だけども、俺はそれを知った時はショックだった…まさかそんな犯罪まがいといえば言い過ぎだが、
世間的には恥じる仕事をしていたなんてってね。
今の兄貴の姿から見て、どうやら海から戻った後で、すぐに何か撮ってたようだが…まったく体力あるよな。
兄貴は俺と違って筋肉質でマッチョな身体をしている。
俺も決して貧相という体格じゃないが、並んで比較されるとそんな見られ方されても仕方なかった、
だが親父に比べればマシか…あっちは化け物だ、色々な意味でな。
ちなみに俺と兄貴は異母兄弟で、何でも親父が女優を孕ませ生まれたのが俺らだとか…
親父の撮る作品は実践主義で、ヤラセは全くしないというポリシーがあるらしい、
だから時々こういう事も起きるって話だ…よく専属の女優が逃げ出すのもわかるよな、
俺と兄貴の母親も出産した後に、親父を見限って出て行ったという話だし、
凄い家族だよ全く、この事を知ったのは中学に入ってからだった。
母親が出て行ったのは幼少から知っていたけども、まさかこんな話だったとは…

そして…自分の家の金に後ろめたい気持ちを抱いたのも、この頃だった。

帰ってきてから学校の課題をして、しばらく自室で時間を潰し夕飯の時間になる、
親父も仕事場から出てきて、いつものように親子三人で食卓を囲んでた。


「にしても、お前も無理しても来れば良かったのにな、今年の麻衣ちゃんの水着姿は良かったぜ!」
「がはは、そうそうこの数年でぐっと色っぽく成長したもんだ!」
「ふん!」
そして今日の海水浴の事で盛り上がる親父と兄貴、畜生…俺だって麻衣の水着は見たかったさ。
だが目的の為にも一日も無駄にしたくなかった…
「ったく、そこまでして一人暮らししてまで専門学校になんて行きたいかね 」
「まぁ、人には人の道があるからな父は何も文句言わんさ、だが金なら親なのだから出してもいいのだぞ真二?」
「いいよ、俺の我侭なんだから」
別に自分の親の職業に文句を言うつもりは無かった…
何にせよ産まれてから今まで…ちゃんと親としての責任とってもらい、ここまで育ててもらったのだから。
ただ俺個人が卑猥な仕事で稼いだ汚れた金を使う事に、どこか後ろめたく感じてしまっただけ。
だからこそ、自分でお金を稼げるようになったなら、ここから先は健全な就労で稼いだお金で自立をしたかったんだ、
それが俺の…そして彼女との将来の為になると思ってたから。
「てっきり兄弟男優としてAVデビューすると思ってたのにな 残念だ」
「いやいや康一、それは無理だ!何故なら…」

ガシッ!!

「うっ!」
「こんな貧弱なのじゃとても我が作品の男優としては使えんよ あと二周りはほしいか、がはは!!」
いきなり俺の股を掴み爆笑する親父…そりゃあんたらのに比べたら貧弱かもしれないけども、
一般的には普通よりも大きめ…だと思うぞ。
「ま、困ったらいつでも父に相談するがいい、成りは貧しく見えるが金や人脈はあるからな」
結構売れてるらしいからな親父の会社の作品は、それにこういう職柄か怪しい黒い連中との、
付き合いもあるらしいし…だからこそ頼りたくないのだけど、その辺を親父らにはわからないだろうな。

夕食を食べた後、また自室に戻ると8月の予定表を見ていた…
そこにはびっしりと明日からの8月バイトのスケジュールが書かれてた、
この夏はとことん稼ごうと思っていたんだ…まぁお陰で遊ぶ予定は全く無いんだが。
「さて…明日からも稼ぎまくるかな」
ただ一日…スケジュール表には夏休み最終日だけが空白になっていた。

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