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明日香 その2

あの日から二週間経った。
未だ心の傷跡は癒えず、ある種の諦観と共に日々を過ごしている。
明日香とは同じクラスという事もあり、どうしても顔を合わせる機会がある。
向こうに罪悪感があるのかどうかは分らないが、目も合わす事は無い。
戸川は以前の通り相変わらず馬鹿をやっている。
もっとも、あの日こっぴどく痛めつけたせいか、俺に対して敵意を隠そうとはしない。
あの日からクラスにおける俺達三人の立場は変わった。
戸川は俺に見せ付ける様に明日香の肩を抱いて、わざわざ側を通り過ぎる。
開き直ったのか、どうやら二人は付き合っている様に見えた。
クラスメイトは俺を同情の視線で見ている。
そ、そんな目で見るなと内心で思いつつも、その様な態度はおくびにも出さない様、気をつけていた。

何か吹っ切れる物が必要だ、そう思い安藤君にバンドやろうぜ!と提案する。
いいねえ! と即快諾。一気に盛り上がる。
しかし希望は両方ともボーカル。
どちらも楽器を弾く腕は持ち合わせてはいなかった。
あと二人ぐらい呼んでアカペラグループでもやれというのか。
クラスでギターとか弾ける奴とかいないのか?
逡巡して申し訳なそうに安藤君は言った。
戸川……。
バンドは一切公演する事無く、解散が決まった。



視点を変える事にした。新しい彼女を探そう。
そうすれば、明日香の事で思い悩む事は無い。決断した。
いつまでも女々しく振舞う物では無いのだ。
遊び慣れたイケメン(イケてるメンズの略で顔が良いという意味ではないらしい。TVで言ってた)
の高橋君に合コンの予定はあるか尋ねる。
すると、ある、と答えた。
だがお前いいのか?
何を?
いや、彼女。高峰さん。高峰明日香さん。
すでにその様な立場ではない。心配せずとも良い。
そうかそうか、じゃ今度の金曜の放課後来いよ。レベル高いの連れてくから。
ありがとうありがとう。
いえいえ。
と、高橋君は言う。
あまり話した事が無かったが、意外と礼儀正しいイケメンであった。
で二人で?
二人? 高橋君の視線は俺の後ろに向いていた。
振り返る。安藤君だ。
必死そうな視線で見つめている。
俺も俺も、そう視線が訴えていた。
ごめんよ安藤君。その通りだ。
抱き合って友情を確かめる。
少し気味悪そうにしながら高橋君は、じゃ金曜に、と手を振り去っていった。
二人並んで手を振り返す。
ようし、俺達の青春は今始まったばかりだ!


あの日から達彦は目を合わそうとしない。
当たり前だ、合わせる顔が無い。
天城達彦は私、高峰明日香の彼氏だ。
いや、今の状態ではだったと言わざるを得ない。
そもそも、戸川君とは半年前から関係があった。
その日達彦といつもの様にくだらない事で喧嘩になった。
怒りは収まらず、友達を呼び出し、商店街へ遊びに出る事にした。
その時、偶然戸川君達と会った。
丁度同じ目的で来ていたらしい。
せっかくだから、と皆でカラオケに行く事にした。
先日出たばかりのアイドルの新曲を披露した。
すげー、うまーい、かわいー。褒められていい気分になる。
達彦と行った時はどちらもマイクを離さず、一心不乱に歌っていた。
俺が俺が私が私が、と互いに譲らず。
どちらも我が強いので、不快になる事請け合いであった。
戸川君達は遊び慣れている為か、その様な事も無く楽しい時間を過ごせた。
そのまま、ボウリング、ビリヤード、ダーツ、ショッピングと繰り出す。
最後にクラブへ行った時は、他の皆は帰っていて戸川君と二人きりになっていた。
どう、楽しかった?
うん、こんな面白いのはじめて。
戸川君は満足そうに笑う。と、真面目な顔になり
高峰って結構可愛いよな、俺マジになりそう。
明け透けにそう言われ赤面した。
冗談言って。それに私彼氏いるんだけど
冗談じゃねえって! ていうか何であんなのと付き合ってんの? 
いつも喧嘩してるし仲悪そうに見えるんだけど。
不思議そうに言われた。
そう見えるんだ……。正直気にはしていた。
本当に私は達彦の事が好きなのだろうかと。
そして、達彦も私の事が好きなのだろうかと。
おし黙る私を見て
つうかさーもっと楽しんだ方がいいって。人生短いんだし。
けらけら笑いながら言った。
なー明日香さー。
いつの間にか呼び捨てにされていたが、気にならなかった。
人徳の問題だろう。
経験ある?
経験? 何の?
せっくす。



突然の事に、つい飲んでいたアイスコーヒーを吹き出す。
ごめんごめん、びっくりした?したっけ?
いきなり何を……。
だからせっくす。
……帰る。
鞄を手に取り、立ち上がる。
慌てて戸川君は手を引く。
ちょ、ちょっと待ってよ。怒ったんなら謝るけど。
普通怒るでしょ、常識ないんだから。
すると、呆けた様な顔で言う。
……常識? え、俺女の子とよくそういう話するけど。
もしかして彼氏ともしてないの? あ、これ両方の意味で。
憮然として頷く。
そっかー、何かあんまり遊び慣れてないと思った。
それが何の関係があるの?
と、いきなり真剣な表情である。
そりゃそうだよ、今日日皆している事だぜ。
よく言うよ。
溜息をついた。呆れている様に見える。
嘘じゃねえって。さすがに経験無いと馬鹿にされっからね。
せっくすも遊びの延長線上さ。経験すると余裕が出るちゅうかね。
上の視点で物が見れるちゅうか。
て俺馬鹿だから、うまくまとまんねえやははは。
戸川君は申し訳なさそうに言う。
何となく言いたい事は理解できた。
大人の余裕、とはよく言われる言葉だ。
そんでさー
何?
戸川君が目の前まで顔を近づけてきた。
俺と経験しない?


ここ狭いから気い付けてねー
古いアパートの一室。
私は誘われるまま戸川君の家へ来ていた。
経験することによって、余裕を持つ事が出来れば、関係も変わるのではないか。
あまりに馬鹿げた思考だったが当時の私は遊び疲れていた事も関係して、思考能力が落ちていた。
戸川君も最初は軽い気持ちで言ったのだろう、少し驚いている様に見えた。
とにかく、どうであれ、私は自分の意思でこの部屋に来ていた。
お茶入れるから、ここ座って。
そう言ってクッションを置いた。
ちょっとした気遣いを嬉しく思う。
達彦もこの程度気を使ってくれば……。
すぐに思考は中断された。
戸川君がコップに入れた紅茶を差し出す。
市販のヤツ暖めただけだから、味の保障はできねーはは。
ゆっくりと口を付ける。
どこにでもある様な普通の味だ、しかしそれが妙に安心させた。
それ飲んだら始めようか。
一瞬何を言ったのか分からなかった。
だがすぐにこの家に来た目的を思い出す。
心音が早くなり、緊張が高まっていくのが分かる。
ゆっくりとだがしっかりと頷いた。

コップの中の紅茶はすぐに無くなった。
戸川君は私の背中の方に回る。
そして、緊張をほぐす様に肩を揉み始めた。
私肩凝ってないんだけど……。
気休め気休めー。体が強張ってるよ、もっと楽しもうよー。
言われて赤面する。その台詞が功を奏したのか、体からゆっくりと力が抜けていく。
と、服の中に手を入れてきた。
そして、そのまま胸を半円を描く様、緩やかに揉んだ。
私はあまりに恥ずかしくて下を向いていた。
慣れた様にブラジャーのホックが外される。
服からブラジャーが滑り落ちる。
次は服が胸の上までずらされた。
先程に比べ、より大胆に胸を円状に揉んでいく。
偶に思い出したかの様に先の突起を指で摘む。
捉え様の無い感覚に下唇を噛む。
顔が近づいて来る。
キスをされるのかと思ったら、何と右の耳朶を甘噛みされた。
そして、ふうっと息を吹きかけられる。
心地よさに鳥肌が立つ。


胸を貪るのに飽きたのか、手は下半身の方に向かっていた。
素早くファスナーを下ろしていく。
半端に開かれたスカートの中を探る。
すぐにパンツを探り当てた。
滑らかに指が股の方へ向かった。
上から女性器を刺激されるのを感じる。
口から息が漏れる。
何度か擦り付けた後、手をすっと取り出した。
指の先が少し濡れていた。
もう片方の手でスカートがゆっくりと下ろされる。
パンツは刺激の名残で濡れていた。
戸口君は達成感を感じたのか満足した様に笑みを浮かべた。
両手で慎重にパンツをずらしていく。
さすがに恥ずかしいので、両手で顔を隠した。
隠す所がちがうんじゃないの、とからかう様に言われたので、拳を軽くぶつけた。
全裸になった私を横たえ、屈む様に戸口君は下半身に向かい顔を近づける。
息が吹きかけられ、軽く震える。
そしてすぐに舌が膣内に挿入された。
メビウスの輪状の様な動きに軽く酩酊した様な気分になる。
と、突然衝撃を受け、軽く悲鳴が出た。
陰核が舌で包まれた為だ。
断続的に続く快い感覚が堪らなく心地よい。
舌を抜くと、次は指を直に入れられる。
より直接的な刺激に喘ぎ声が出てしまう。
同時に乳首が舌で転がすように舐められる。
息が荒くなる、未知の感覚が生じ、高まっていくのを感じる。
と、戸口君が体から離れた。
それでは、本番いきまーす。


狙いを定め、陰茎が押し当てられる。
一呼吸した後、入り口がぐいぐいと押し広げられていく。
亀頭が徐々に進入すると後は早かった。
力任せに突くと、一瞬後に、陰茎は膣内に全て収まった。
息も出来ない程の下半身に来る圧力と、引き裂かれる様な痛みに悲鳴と涙が出る。
しかし、幸せそうな戸口君の顔を見て、歯を食いしばり我慢する事にする。
大丈夫?
う、うん。でもゆっくりでお願い。
緩やかな抽挿が断続的な痛みを与えてくる。
しかし同時に手で、胸や、陰核を刺激してくれるおかげで、少しずつ痛みが和らいでくる。
粘着質な音が聞こえてくる。
なあ、一応彼氏に遠慮してたんだけどさー
んっ、な、何?
相変わらず笑いながら戸口君は言う。
キスしていいー?
はあ、はあ、はあ、んんっ、それは、ちょっと……
さすがにそこまでは許すつもりは無い。
達彦に悪いと思いながら、しかしそれでは現在している行為はどうなのかと考える。
そもそもただ達彦に対する優位性を持ちたかっただけなのだ。
思考は緩やかに曖昧になりその役割を放棄し、体の反応がより直接的に行動を方針付けていく。
互いの性器の間から零れ落ちる大量の粘液が、床を汚す。
息はより荒く、声はより艶やかに、体はより激しく。
はあ、はあ、んっ、ああっ、はあ、まだ、なの?
はあはあ、ああ、明日香が初めてでもイけるまで、俺我慢するから、はあはあ。
それは気遣いなのか、男のプライドなのか、よくは分からない。
だが、嬉しく思えた事は確かだ。
永遠にも続く様な行為は、初めてにも関わらず訪れた絶頂で終止符が打たれた。
ああ……あぁあ……はぁああ……んぁああぁあああー……っ
戸川君も待ち構えたかのごとく、強く奥に一突きし固定したまま、大量の精液を膣内に射精した。
その熱さを感じながら、私は意識を失った。


金曜日の放課後。
ホームルームが終わると、さっさと帰宅して手早く着替えた。
家の前で待っていた安藤君が逸るので、共に待ち合わせ場所へと急いだ。
商店街の中央に位置する噴水前。
そこには、すでに高橋君達が待っていた。
横には長く整った黒髪の少女と、短髪を金色に染めた少年。
高価そうな服を違和感無く着こなしていて、かなりのお洒落さん達と見た。
二人とも本日参加するメンバーだろう。
こちらに気づいた様なので、慌てて会釈する。
高橋君は、それじゃ作戦立てながら話そうか、と歩き出す。
横に並ぶ。
合コンは役割分担が大事なんだ。
ふむふむ。
とりあえず俺と…彼女は今回ホスト役なんでフォローに回るから。
照れた様にちらりと後ろの女の子に目配せする。
女の子は小さく手を振り返した。
彼女同伴の合コンてどうなのよと思ったが口に出さない。高橋君は続ける。
んシゲオ君は今回ワイルド系ね、リアクション命で盛り上げて。
金髪の少年が笑みを浮かべ頷く。
聞くと、彼は一つ年上で現在美容師の専門学校に通っているらしい。
と、高橋君が足を止める。真面目そうな顔で
それで、天城さ、今回は同情ネタで行く事にする。
同情ネタ?
どういう意味だろうか、と考える。
ああ、気を悪くするかもしれないから先に謝っておく。
高峰さんとの一件を利用しよう。
俺等がうまく、そういう風に話を持っていくから。
女の子はそういう、可哀想な男の子に弱い。
母性本能に訴えかける、て方向で。
そんなものか、何とも言えずただ頷く。
俺は俺は?
安藤君やる気まんまんだ。
食いしん坊キャラだ。
食いしん坊キャラだな。
示し合わしたように、高橋君とシゲオ君はきっぱりと言った。
そ、それはあんまりだ。そ、そうだ。音楽ならポストロックからクラシックまで語れるぜ。
手を横に振る高橋君。
キャラクター付けは単純な方が上手く行くんだよ
あんまりマニアックな話になると結構引かれるんだよ。
どちらも不快になる事請け合いだ。
会話の内容は広く浅く。これ基本ね。
しょんぼりする安藤君。が、すぐに両拳を硬く握り締る。
ようし、やってやろうじゃないか。天城君も頑張ろうぜ!
ポジティブな安藤君に少し癒された。


そのクラブには今まで入った事が無かった。
安藤君や、明日香がこの様な場所を好んでいる筈も無い。
相手の女の子はすでに席に座っているとの事で、いそいそと向かう。
こんちわー、こんちは
互いに挨拶をする。
それじゃあ、自己紹介行ってみようか!
マリでーす、ヨシコです、ユウカ。
俺達も銘々名乗る。
詳しい紹介の前に何か食べよう、高橋君は提案する。
パフェーとかー、ペペロンチーノ食べたいな、まぐろ丼ーは胃に堪える
メニューに目を通す。何にしようか。
すみません。
さっそうと安藤君が手を上げて、店員を呼ぶ。
はい、ご注文は何にいたしましょう。
全部。
はい?
メニューにある物全部持ってきて。
困惑する店員さん。
皆さんで食べるんですよね?
いや、一人で。
……。
安藤君は、さあ皆も頼みなよ! と笑みを浮かべて促した。
さすが安藤君。早速実践している。
この実行力、見習わなければならぬ。
でも、どうやらやりすぎた様だ。女の子みんな引いてるよ。


テーブル一杯に運ばれたメニューを前にし雑談に花を咲かせた。

……
えー、そんな価格で買えるんですかー。
某有名ブランドと同じ素材で作っているんだけど、ロゴ表示が無いからその分安いんだよ。
そんでさそんでさ、俺は言ってやったんだよ。何で赤い洗面器を被っているんですか、って!
最近の政治情勢は云々。
胃が! 胃が!
そこはお化けトンネルと呼ばれていて……
……

どうにも会話に参加し辛い。
確かに魅力的な女の子が多かった。
しかし、どうしてもつい、明日香と比べてしまう。
彼女と比べると全てが見劣りする。
ずっと好きだった中学時代、告白して承諾を貰い幸せ一杯だった卒業後の春休み、
喧嘩ばかりしながらも心が通じ合っていると信じていた高校生活……。
様々な思い出が浮かんでは消えた。
と、会話が止んでいるのに気づく。
見ると、皆自分に注目していた。
……?
どうしたの、達彦くん泣いてるよ。
思い出に浸っている間、気づかない内に涙を流していたらしい。
赤面し、慌てて拭う。
と、高橋君が目配せする。
ああ、そういう手順だったっけ、すっかり忘れていた。
咳払いをして高橋君が話し始める。
ああ、天城さ。最近彼女に振られたんだ。それが酷い話でさ。
他の男と寝ていたんだって。しかも、知らない間に何回も。
もう三年近く付き合っているのに。
えーひどーい。
きちくおんなー。
思わず苦笑してしまう。
と、前にいる女の子"ユウカが泣いているのに気づいた。
……って何で泣いてるんだ!?
動揺して尋ねる。
ど…どうかした?
あ、ごめん、つい。
同情してくれているのだろうか。
正直あまり気分が良くないなと思っていたら、
私も同じ様な経験があるんだ……。
その場がしんと静まり返った。
店内の騒音が良く聞こえる。

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