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夢か恋愛か 7

郡山はさゆりを連れて、部屋から出た。
部屋を出る時に郡山は陽子の顔を見ることが出来なかった。
ただ何も出来ないくやしさと、絶望だけが郡山の全身を覆った。
料亭を出ると、雨がポツポツと降り出してきた。

雨粒がとぼとぼと歩く郡山の背中に落ちる。
「社長」
さゆりは郡山の裾を引っ張る。
「社長、ほんとにいいの」
郡山はさゆりを見る。
さゆりは心配そうに郡山を見つめている。
「社長」
「・・・さゆり、お前は先に帰ってろ」
そう言うと、郡山は料亭に戻った。
「陽子、陽子」
郡山は陽子の名を心の中で何度も叫ぶ。
息を切らし料亭に入ると、
仲居の制止を振りきり部屋に向かい、襖を勢いよく開けた。
郡山が襖を開けた時、部屋の中ではすでに悪夢が始まっていた。
下着姿の陽子が山口の股間に顔をうずめていた。


「陽子・・・」
陽子は突然入ってきた郡山に驚き、くわえていた山口の陰茎から口を放し、
下着がずれ上がり露見していた胸を慌てて隠した。
陽子は呆然と郡山を見ていた。
郡山も同じように呆然と陽子を見ていた。
男の陰茎を手にし、ベージュの下着を来た陽子はとても痛々しい。
「・・・どうして」
陽子は唇を震わせる。
「な、・・・何やってるんだ」
「おいおい、何言ってるんだよ。
頼り無い君の変わりに奥さんが身体を張っているんだろう」
郡山は怒りで身体が震える。
陽子は夫に恥ずかしい姿を見られた羞恥に身体を震わせていた。
「お願い・・・帰って」
「陽子・・・」
郡山はどうしていいのかわからず、その場に立ち尽くしていた。
「・・・お願い帰って」
「・・・駄目だ、お前を置いては行けない」
「はっ、じゃあ君はそこにいてればいいよ」
谷口はそう言うと、陽子を抱き寄せた。
「おい!」
郡山は凄い剣幕で谷口につかみ掛かった。
「何するんだ。こんなことしてただですむと思っているのか」
「お願いやめて!」
涙を流した陽子が郡山の腕を掴む。
「・・・陽子」


郡山の身体から力が抜ける。
「どうなっているんだよ」
萎えた陰茎を晒した山口がうんざりした様子で言った。
「いえ、・・・おい、どうするんだ」
谷口は乱れた洋服を整えながら陽子に怒気を含んだ声で言った。
「大丈夫です」
陽子は郡山に向けていた顔を谷口に向け言った。
「この男はどうするんだ」
谷口は郡山を顎で差した。
「お願い、私は大丈夫だから」
「陽子・・・」
「わかった、わかった。君はそこにいたらいい。
私たちは隣の部屋に行こうじゃないか」
谷口は動こうとしない郡山に呆れそう言うと、立ち上がり襖を開けた。
続きになっていた和室にはすでに布団が敷かれていた。
谷口は「さあ」と、陽子を促す。
下着姿の陽子は立ち上がると、隣の和室に入り続いて山口が入った。
襖が閉められると、部屋には谷口と郡山が二人残った。
「おい、本当にそこにずっとそこにいるつもりか」
「・・・」
「まあ、好きにしたらいいよ。
奥さんが他人に抱かれてているのを見ているなんて、いい趣味だな」
郡山は血走った目で谷口を睨み付ける。
しかし、怒りに手、足が激しく震えるだけで身体が動かない。
「・・・あぅ」
漏れ聞こえてくる陽子のただならぬ声。
郡山は閉められた襖を見た。


「あぅん」
「奥さん濡れてるじゃないか」
「いやっ」
郡山は呆然と襖を見ていた。
その奥で行われている悪夢のような現実。
それを止めることも出来ず突っ立っている自分。
「奥さん欲求不満なんじゃないか、こんなに濡らして」
「あぁ・・・ああぅ」
「じゃあ、そろそろ入れるよ」
「あぅん」
「はっは、始まったみたいだな。それじゃあ、私も行かせてもらうよ」
谷口はそう言うと、立ち上がり襖を開けた。
襖が開かれると、ぼんやりとした灯りの下で陽子が山口に挿入されていた。
山口は陽子に覆い被さり陽子の足を拡げ抱えている。
陽子は突然開かれた襖に驚いたのか、郡山の方に目を向ける。
そして、二人の目が合った。
陽子の目には涙が溜まっている。
山口が腰を動かすと、陽子の身体も揺れ、涙が目から零れ落ち頬を伝う。
陽子は唇を噛み締める、押し寄せる快楽から逃れるために。
郡山は目を閉じた。
自分の妻を他の男に抱かれているという事実に、傍観している自分のバカさ加減に。
すでに何もかも手後れだった。
「んっ、んっ、んっ」
目を閉じても、陽子の口から漏れる声が聞こえてくる。
ぱん、ぱん、ぱん、という音が響き、
その音の中に軈て性器から溢れた液体が擦れる音が重なり出す。
郡山は目を開く。
「・・・陽子」
郡山は声にもならず、息を吐く。
陽子の顔は赤く火照り、苦しそうに顔を歪めている。
いや、違う。苦しいんじゃない。そんなことは郡山には分かっていた。
だから、陽子は絶望と快楽の狭間で首を何度も横に振る。
見ないで、見ないでと。
谷口はズボンを脱ぎパンツを下げると、
すでに大きくなった陰茎を陽子の口元に持っていく。
口を閉じていた陽子は突き付けられた陰茎をなすすべなくくわえてしまう。
なぜ、自分はここに戻ってきたんだ、なぜだ・・・。
郡山は立ち上がり、部屋を出た。
外の雨は先ほどよりも強く激しくなっていた。
熱くなった郡山の身体に冷たい雨が降り注ぎ、郡山の身体と心を芯まで冷やした。



次の日、郡山は姿を消した。
事務所に一通の書き置きを残して。
「しばらく一人になりたい」
陽子はその書き置きを見て、心配すると同時にどこかほっとしていた。
正直郡山と目を合わせたくなかった。
あんな姿を見られてしまったのだからそれも当然だろう。
あれから谷口は陽子に度々身体を要求した。
その度に陽子はさゆりの代わりという名目で谷口に抱かれた。
最初は義務的な気持だったものだったが、
陽子は谷口に抱かれるたびに身体の確かな変化を感じた。
淡白だった夫とは違う谷口との濃厚な行為に陽子は次第にはまっていった。
陽子の心の中の郡山に対する罪悪感は、やがてさゆりのためという言い訳にかわった。
陽子はそのことに自らの都合のよさを感じ苦しみもした。
だからその捌け口として、さらに仕事に没頭した。
今まで以上に、さゆりのマネージメントに力を注いだ。
その頃からさゆりは裕介との電話やメールも少なくなっていった。
陽子が演技に集中しないといけないと厳しく言ったからだ。
陽子はさゆりが裕介と連絡を取ろうとしているのを見つけると、厳しく叱責した。
さゆりも陽子の演技の為と言う説得に納得し、裕介との連絡を控えるようにした。
さゆりがそういう態度を取っていると、
裕介も察したのか、だんだん連絡してこなくなっていた。
陽子は後日さゆりに内緒で裕介と連絡を取ると、試写会のチケットを裕介宛に送りつけた。
それで、裕介とさゆりの関係は終わると陽子はふんでいたのだった。

恵比須のスタジオ。
「あのシーンについてですけど」
雑誌の記者は予想通りその質問をしてきた。
「その質問についてはお答えできません」
陽子が代わりに答える。
記者は露骨に不快な顔をした。
「じゃあ。大磯監督とはどういう付き合いなんですか」
「すいませんが、そういった質問は」
「えっ、またですか」
記者は舌打ちをすると、仕方なくカメラマンに撮影するように指示する。
さゆりはシャッターが切られていくカメラを前に笑顔が引き攣る。
映画が公開されて以降、インタビューのたびに同じ質問をされる。
そのたびに、あの日のシーンの撮影が脳裏に甦る。

撮影前から、台本を読み、ベッドシーンの撮影があることは知っていた。
そのことについては、助監督からニプレスを付けて撮影すると最初に言われていた。
だから、ベッドシーンの前日に撮影した斉藤の前で服を脱ぐシーンも
実際にはヌードではなく、ニプレスを付けていた。
それでも十分恥ずかしかったが、なんとか演技として割り切れた。
そのシーンの撮影が終わり、その日の撮影は終わった。
撮影後に斉藤が大磯と何やら打ち合わせをしていた。
さゆりと陽子がスタッフに挨拶をし帰ろうとすると、助監督に呼び止められた。
助監督はさゆりに明日はニプレスなしでと何事もないように言った。
陽子は約束と違うと激しく抗議したが、助監督は独自の映画論を並び立て、
結局聞き入れることはなかった。
さゆりはその日の夜、ホテルの部屋の鏡の前で裸になった。
そして、踏ん切りがつくまで鏡で自分の身体を見つめ続けた。

撮影日、いつもの三倍ものスタッフが集っていた。
控え室で沈痛な様子の陽子を、さゆりは私は大丈夫だよと励まし、
意を決し服を脱くとバスローブを羽織り現場に出た。
何人ものスタッフの視線を浴びながら、撮影が始まった。
「よろしく」
斉藤はにやつきながらさゆりの耳もとで言った。
これは斉藤の酒宴の席での復讐なのだろうとさゆりは瞬間に感じた。
スタッフはさゆりの躊躇う時間も与えず準備をせっついた。
さゆりは追い立てられるようにシーツをかぶり、バスローブを脱いだ。
大磯の合図と共にカメラが回る。
さゆりは身体の震えを抑えようと必死だった。
ベッドシーンはリハーサルをせずにすべてが斉藤に一任されていた。
斉藤はさゆりに近づくと、唇に吸い付いた。
斉藤のざらついた舌がさゆの口の中に入ってくる。
斉藤はシーツに手を掛け躊躇なく剥がした。
その瞬間胸に触れた冷たい空気が、自分が裸であるとさゆりにわからせる。
スタッフの男達がこちらをにやついた目で見ている感覚にさゆりはとらわれた。
さゆりは恥ずかしさから目を瞑る。
斉藤はさゆりの胸に手を充てると乳首に吸い付いた。
斉藤は丹念にさゆりの乳首を吸うと、
シーツの中のさゆりの股間に手を充て下着の中に手を差し入れようとした。
「いやっ」
さゆりの口から反射的に声が漏れ、斉藤を押しのけた。
「カット!!」
大磯が大声を張り上げる。
「なにやってんだ!」
大磯の怒号が飛ぶ。
「最初からだ、もう一回!」


その言葉にさゆりは愕然とした。
周りを見回すと、スタッフから冷たい視線が投げかけられる。
さゆりは味方もいないこの中ではどうすることも出来なかった。
陽子は見ていられないのか、目を逸らしている。
我慢しなければ、何度もやり直しになるのだろう、
さゆりは不機嫌な大磯を見てそう確信した。
ただ、こんなこと早く終わって欲しかった。
さゆりは斉藤に身体を貪られるのを無心で耐えた。
「カット!少しは嫌がる演技をしろ!最初から!」
さゆりは大磯を睨むがそのような行為に意味はなく、すぐにまた撮影が始まる。
斉藤はまたさゆりの身体を隅々まで貪る。
そして、また股間に手を充てた。
すると、今度は下着をずりさげた。
さゆりは思わず手で阻止しようとして、シーツがはだけてしまった。
見えてしまった、さゆりは慌ててシーツをあげるが、
そのことでさゆりは畏縮してしまう。
斉藤はお構いなしにさゆりの陰部を弄ぶ。
そして、斉藤はさゆりの上にのしかかると、さゆりの足を拡げ自らの性器を押し入れた。
さゆりは信じられないと言う驚きと恐怖で声が出なかった。
斉藤は硬直したさゆりの身体をしっかりと掴み、
さゆりの唇に吸い付くと腰を動かしはじめた。
さゆりの頭の中はパニックに陥っていた。
しかしここで演技をしなければ終わらない、終わらない。
そう必死で心に言い聞かせ、屈辱の中さゆりは感じ入った表情をし「あぅん」と声を出した。
「カット、オッケー」
大磯の声が飛ぶ。
斉藤はその声にあわせるように、さゆりの中に生暖かい液体を放出した。
斉藤は滑った性器さゆりの陰部から抜くと、
さゆりの耳もとで「よかったよ」と声をかけた。
さゆりは屈辱に震えながらシーツで身体を隠した。
涙目の陽子がすぐに駆け寄って来て、さゆりにバスタオルを掛けた。
さゆりは陽子に抱えられながら、逃げるように控え室に入った。
控え室の中で、さゆりは羞恥と悔しさから泣き崩れた。

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