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さよなら明日香 その4

「どうしたの、あゆみ」
 あゆみは二人の姿を見ていた。あゆみの友達があゆみの見ているほうを向く。
「あれ、あの子、村上さんじゃない」
 友達はあゆみに同意を促した。
「うん・・・」
 あゆみはどうなってるのか、考えを巡らした。
「村上さん、辻内と付き合ってたんだ。知らなかった。
あれ?でも辻内って彼女いるんじゃなかったっけ。別れたのかな。でも、美男美女だからお似合いだね」
 あゆみは呆然としている。


「あ・ゆ・み!聞いてるの」
「う・・・うん」
「あの二人付き合ってるの知ってた?」
 あゆみは我に帰って頭を何度も横に振る。
「付き合ってないって!就活の相談だよ」
 声が震えている。
「じゃあ、今日お持ち帰りか、辻内プレイボーイだし」
 友達はどこか羨ましそうに言った。
「そんな・・・」
 あゆみは絶句する。
「ちょっと、行ってくる」
 あゆみは明日香の所に駆け寄ろうとするが、友達が腕を引っ張る。
「止めときなよ。野暮だよ。二人で飲みに行くんだから覚悟の上だよ」
 あゆみは一気に血の気が引く。「そんな」
「ごめん、やっぱり、行ってくる」 
 友達の腕を振払う。しかし、振り向いた時には二人の姿が消えていた。
二人の消えたほうに駆け寄るが、何処にもいない。
「どうしよう」焦りだけが募る。
携帯を取り出す。裕樹に知らせなきゃ。でも、指が止まる。
知らせてどうなるんだ。不安にさせるだけかも知れない。それにただの相談かも知れない。
それなら、よけい事体を悪化させるだけだ。あゆみは逡巡していた。
でも、やっぱり知らせなきゃ。数回の呼び出し音の後。
「もしもし」
「もしもし!あゆみだけど」
「うん、どうしたの?今からバイトだから」
「明日香!明日香が!」
「明日香がどうしたの?」
「あのね、今××駅前にいるんだけど、明日香がうちの大学の辻内っていう奴と一緒に歩いてたの」
 裕樹は手が震え、胸が締め付けられる。
「・・・そう」
「そうって!!何いってんのよ!!大変な時でしょ!!辻内はプレイボーイで有名なんだから!!」
「そうなんだ・・・これからバイトだから切るね」
 そう言うと、通話はいきなり切れた。
「裕樹!!」
 あゆみは切れた携帯に向かって叫ぶ。周囲の人達が何事かとあゆみを見る。
あゆみは直ぐにリダイヤルをする。しかし、電源は既に切られていた。
「どうしてよ・・・」
 あゆみは泣き出した。
「どうして・・・」

 裕樹は感情を失ってしまう。もう何も考えたくなかった。また一人になっただけだ。
明日香と出会う前の日のように全てが投げやりになる。
裕樹はバイト先につくと、店内にいた福永さんに軽く会釈だけして、通り過ぎる。
福永さんはすぐに裕樹の変化を感じ取って、裕樹のあとを追った。
「裕樹」
 裕樹は振り向く。その顔に感情はない。
「裕樹どうしたの、何か合った」
「いや、なんでもないです」
 裕樹が振り切って行こうとしたら肩を捕まれ無理矢理振り向かされた。
「明日香となんかあったんだね。そうでしょ」
「関係ないでしょう」
 裕樹は投げやりに言った
 その刹那、平手が裕樹の頬に飛んだ。
「関係あるわよ!!裕樹と明日香引っ付けたのあたしなんだから!!
あなた達がハッキリしないから背中押してあげたんだから!!」
 福永さんはうっすらと涙を溜めていた。
 裕樹はあゆみとの会話の内容をすべて話した。
「なにやってんのよ!!早くいかなけゃ!!」
「でも今日バイトだし」
「バイトなんてどうでもイイでしょ!明日香のほうが大事でしょ!!」
 そう言うと福永さんは裕樹の袖を引っ張って店の外に連れ出した。
「早く行きなさい!!」
 裕樹はうんと頷くと駅に向かって走った。福永さんは裕樹の後ろ姿を見ながら
「明日香、明日香、裕樹を信じて」と祈る。
駅につくと裕樹は携帯であゆみに掛ける。
「裕樹!!もうなにしてんのよ!!」
 涙声だ。
「そこにすぐ行くから!」
「うん。わかった。早く来て」


「村上、いい店でしょここ」
「うん」
 明日香はオーナーの店の雰囲気のほうが好きだが、この店の雰囲気も素直にいいなと思った。
「おいしいカクテルあるから」
「あっ、でも、今日は飲まないつもりだから。それに、お酒そんなに強くないし」
「大丈夫、すごくおいしいから、それに帰りは送っていってあげるよ」
 明日香はその言葉に裕樹に見られたらと不安になる。
「お待たせ致しました」
 給仕が赤いカクテルを差し出す。明日香はそれを不安げに受け取る。
「さあ、飲んでみて」
「うん」
 明日香はカクテルに口をつける。すごくおいしい。
オーナーのカクテルも格別だけどこれもすごくおいしい。
「おいしい」
 素直に感想が口から出る。
「でしょ、だから言ったじゃん」
 その後明日香はカクテルを数杯飲んだ。
一度トイレにたったが足下のふらつきから相当酔っているようだった。
でも、意識はしっかりしてるから大丈夫だと思う。
辻内は明日香の話を親身になって聞き、明日香もお酒が入っているのも相まって、
明日香と裕樹の深い部分まで話していた。
辻内はその都度適確なアドバイスをくれる。そして、呟いた。
「やっぱり、フリーターには、俺達の苦しさや辛さがわからないんだな」
 明日香は俯いた。


「俺は村上の彼氏が許せないな。逃げてるんだよ。何もかもから。
俺だったら、村上をこんなに苦しめない」
 明日香は淋しそうに微笑んだ。
「私そろそろ帰るね」
 明日香はそう言うと立ち上がったが、ふらっとその場でよろめく。
辻内はすぐに近寄って来て、明日香を支えた。
「こんなに酔ってちゃ帰れないよ。俺の家近くだから、そこで酔い覚まそうよ」
「いいよ、帰れるから」
「いや、だめだ、こんな状態では帰せない」
 辻内はそう力強く言うと、素早く会計を済ませ、明日香を支え出口に促した。



「あゆみ!!」
「裕樹こっち!!」
 裕樹はあゆみに駆け寄る。
「この辺で見失ったんだけど」
 裕樹は周囲を見渡すが見当もつかない。
「明日香の携帯に掛けてみたんだけど繋がらないの。だから地下にいるのかも知れない。
とにかくこのへん隈無く探してみよう」
「うん」
 裕樹は心の中で「明日香!!明日香!!」と叫んでいた。



 明日香は辻内の部屋の中にきていた。
「ごめんね」
 明日香は辻内が渡してくれた水を飲みながら言った。
「あやまらないでくれよ。俺まで悲しくなるから」
「ごめんね」
 明日香は呟くように言った。明日香は水を飲み終えると立ち上がるが、まだ足下がふらつく。
すると辻内が明日香を直ぐに抱きとめる。
「辻内君・・・」
 いきなり辻内は明日香にキスをした。明日香は慌てて辻内の顔を引き剥がす。
「いやっ・・・いやっ」
 明日香は激しく抵抗する。すると辻内は明日香をあっさりと開放した。
明日香はその場にへたり込み、辻内を見上げると、辻内の瞳に泪が溜まっていた。
「俺、ずっと、村上の事が好きだったんだ。いつも村上の事を見てた。
それで、最近悲しそうな顔をしてるのを見ていて、胸が張り裂けそうだったんだ」
 辻内は涙声になる。
「俺だったら、村上の可愛い笑顔絶対消させないって。
村上の話しどんなことがあったって真剣に聞くって・・・」
「辻内君・・・」
 辻内は村上の前に座る。そして、明日香を力強く抱き締めた。
「ごめん・・・ごめんね。でも、やっぱり」
「俺村上のこと諦められないよ。村上のことばかり考えていて就活も手につかない」
「ごめん・・・」
 辻内の鼻を啜る音が聞こえる。
「俺、村上を抱きたい。君の身体をどうしても愛したい」
「無理だよ」
「それで、俺、新しくスタートきれるから、就活もがんばれるし、
他の人も好きになれると思う」


 そう言うと、辻内は明日香に再びキスをした。舌を明日香の唇に這わす。
明日香は顔をしかめ目を閉じる。辻内の舌が明日香の口の中に分け入ってくる。
辻内は自分の唾液を明日香の中に強引に押し込む。辻内の舌が明日香の舌と絡まる。
辻内は手で明日香の服の上から胸をまさぐりはじめる。
辻内はすぐに明日香のニットを剥ぎ取った。
「待って!おねがい!わかったから、わかったから・・・」
 辻内は構わずズボンの上から陰部に触れる。
「おねがいだから、もうわかったから、・・・シャワー浴びさせて」
 明日香は辻内に対する気持ちがわからなくなっていた。
ただ、こんなに苦しめていることに罪悪感を感じていてる事は確かだった。
辻内は漸く手をはなすと。
「わかった、浴びて来て」
「・・・うん」
 明日香は頷くとユニットバスに案内された。
「このバスタオル使っていいから」
 明日香はバスタオルを受け取るとバスルームに入っていった。
 辻内は明日香がバスルームの鍵を閉めるのを確認すると。万が一の時のため玄関にチェーンをかけた。
明日香は服を脱ぎながら裕樹のことが頭を過っていた。
明日香はそれを振払ってシャワーで念入りに身体を洗う。
辻内は玄関から室内に戻って来て、
昼大学から帰り仕掛けたベランダから室内を写すビデオカメラのスイッチを入れた。
室内には既に三台の盗撮カメラがあるがやはりここは、綺麗な画像を残して置きたい。
危険はあるが今の明日香の状態だと大丈夫だろうと踏んだ。
盗撮カメラはその筋のやつに頼み込んでつけ手もらっていた。
今日の映像を見せるという交換条件つきだ。笑いが込み上げてくる。
まさか村上とやれるとはな。辻内はパンツだけになる。パンツははち切れんばかりになっている。
その時鍵の開く音が聞こえる。辻内はまた顔を巧に変えた。

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