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メグ姉と僕 -2-

 そうして僕たちは、この日の午後にはじめて恋人としての契りを交わすはずだった幼馴染みで
 先輩と後輩になったばかりの僕たちは、向かい合ったソファーでお互いの痴態を観察することになる。
 真衣さんの唇に舌に、そして喉で信じられないほどの快楽を与えられてしまって、だらしない声を上げる僕を見つめるメグ姉もしかし克也くんに抱かれた肩を振りほどくことができない。
 最初は揃えられていた膝小僧をさわさわ撫でられていくうちに、
 「トシ、トシぃ」と甘い声を上げていつのまにか膝を緩め、真っ白な内腿を、ブルーのストライプの入ったショーツを露わにして克也くんの指が這うがままになっていた。
 
 細い肩になれなれしく置かれた手がゆっくりといやらしい指遣いで降りてきて、
 メグ姉のワンピースを持ち上げるCカップのバストをやわやわと蹂躙されても、弱々しく首を振るだけで、それどころかメグ姉は僕のおちんちんを音を立てて味わっている真衣さんから視線を逸らすことができないのだ。
 「俊之は恵美のオッパイ、見たことある?」僕たちが呼び捨てにされていることなどよりも、その問いかけはショックだった。彼はにやりと笑う。
 「ないよな。じゃ、見せてあげるよ」
 克也くんの指がメグ姉のワンピースのボタンを一つひとつ外してゆく。
 
 「トシぃっ!お願い!助けて!」
 メグ姉の声に克也くんの指が止まる。
 「どうする?メグ姉のオッパイ?見たくないかい?えっちな気持ちになって乳首かちかちになっているの、見たいよね」
 「あ、うぅあ……」
 僕はうめき声を上げる。真衣さんのほっそりした指が僕のお尻の穴にぬるりと入り込んだのだ。
 音を立ててうごめく舌と、指で刺激され与えられる快楽に僕は逆らえない。
 メグ姉を救うはずの言葉は獣じみた射精の喜びの雄叫びに変わってしまう。
 
 いや違う。
 いままで見たことのないメグ姉の痴態が、真衣さんの与えてくれる快楽を数倍にもすることに気付いてからは僕はもう克也くんの行為を秘かに後押しするようになっていた。
 だって、だってしかたないじゃないか。

 オッパイの先をかちかちに尖らせて、それを克也くんの指で転がされて摘まれてあげる「あの」メグ姉の甘い悲鳴!
 耳をれろれろ舐めら螺れていくうちに、すっごくいやらしくなっていく「あの」メグ姉の表情!
 クリトリスを探し当てられて刺激されるうちに、全身をびくびくさせながらオナニー経験を告白してしまう「あの」メグ姉!
 クロッチをぐいとずらされてぬるぬる光る花弁を照明に露わにしたときの「あの」メグ姉の絶望的な喘ぎ声!
 むだ毛の処理ができていないと笑われて、黒々とした飾り毛を撫で回された時の「あの」メグ姉の涙!
 さっき見た真衣さんのそれとは違ってまだ幼い感じの襞に、克也くんの人差し指がにゅるりと入っていったときの「あの」メグ姉の懇願の声!



 そのすべてが僕はいままでなんども想像するしかなかったものなんだから。
 大好きなメグ姉だからこそ、見たくても我慢してしまったものなんだから。

 友人の姉にペニスをしゃぶられる快楽といままでの抑圧された恋愛感情に僕は翻弄され、
 やがて決して下してはならない判断までしてしまうのだった。

 「ねぇ、俊之」指だけでなんどもメグ姉をいかせた克也くんはくたりとソファーに身体を投げ出している彼女の髪を撫でつつ訊ねた。
 「メグ姉とセックスしてもいいよね?」
 「そんな」
 「い、いや、あたし、あたし」
 僕とメグ姉の悲鳴はすぐに消える。
 真衣さんの指でお尻の穴のすぐ上を擦られた僕は抗議の声より先に射精の喘ぎをあげてしまう。
 
 なんとか克也くんから離れようとしたメグ姉も、生まれて初めて「剥かれた」クリトリスをぎゅっとつままれたとたんに甘い声を上げて全身を痙攣させる。
 くすくす笑う克也くん。
 「じゃ、しょうがないね。交換条件として真衣とセックスしてもいいよ。真衣!」
 「は……い」
 どんよりした瞳の真衣さんが僕にまたがり、ほっそりした指でぜんぜん硬さを失わない僕のペニスを支え溜息とともに腰を落とす。
 温かくてぬめった襞が僕のそれの先をくるんだだけで、また射精してしまう。

 「う、は……これ、これ、これって……」
 くすりと笑って真衣さんは腰を浮かせた。
 ぬるりと抜けたペニスは十数秒のうちにさらなる快楽を求めて立ち上がってしまう。
 
 「すごいよね。フェラチオよりももっと気持ちいいよ。たぶん」
 克也くんの言葉は悪魔のささやきだった。
 
 「ね、俊之からもOKの言葉が欲しいんだ。恵美にハメていいって、恵美の子宮に好きなだけザーメン注いでいいっていってくれないかな?ね?」
 「やだ……そんなのやだぁ、やだよぉ……トシ、トシぃ……助けてよぉ」
 涙を浮かべるメグ姉がひょいと抱き上げられ、こっちを向いたまま克也くんの膝に乗せられた。
 大きく開いた太股の付け根からはとろとろと白濁した汁が糸を引いて高級ソファーに垂れていた。
 
 「ね、俊之クン」
 耳元で真衣さんが甘くささやく。
 「だいじょうぶだよ。いちどセックスしたくらいで天野さんの心はキミから離れたりしないよ。
 それに、克也さまが天野さんにすること、みんな真衣にしてもいいのよ。そう、み・ん・な」
 
 釈明の言葉と誘惑が甘い吐息とともに僕の脳を蕩かせる。
 だからそのとき言った言葉を、僕は覚えていない。
 だけどそのあとの快楽は覚えている。



 「やだあっ!やだぁ!こんな大きいの、こんなおおきいの、むり、むり、むり……あ、あああ……あ」
 という破瓜の悲鳴をBGMにしながら、真衣さんのきゅうきゅうからみつく襞を僕は味わったのだから。

 「痛い!痛いのぉ!お願い、お願い!」
 と泣き叫ぶメグ姉の表情から苦痛の色が失せ、
 その代わりにとまどいと悦楽を帯びたものに変わるさまを鑑賞しながら、真衣さんと身体を密着させて腰を振ったのだから。

 「お願いだからなかには出さないで、赤ちゃんできちゃうかもしれないの、
お願いだから避妊して、どんなことでもするからなかに出すのはやめて」
と懇願するメグ姉の声がだんだんせっぱ詰まってきて、
「熱い、熱いのがどくどく、どくどく……」
とつぶやいてアクメを迎えるのと同時に真衣さんの中にたっぷり注ぎ込むことができたのだから。

 初めてのセックスでここまで気持ちよくなることができた僕はただ深く満足し、友人に感謝することしかできなかった。
 疲労に包まれて眠りに落ちるその寸前に、メグ姉が
 「ああ、ああ、覚えちゃう。アタシはじめてだったのにこれを、このセックスを覚え込まされちゃう……ああ、もう、もう帰れない。あたし、あたしだめになっちゃう……」
 と泣いていたことがその日最後の記憶だった。

 目が醒めたとき、お隣の天野家には誰もいなかった。
 母親に聞くとメグ姉は彼女の両親と弟と一緒についさっきバンクーバーへ旅立ったとのことだった。
 戻ってくるのは始業式の二日前とのこと。
 僕は安堵する。
 
 けっきょくメグ姉との「二人っきりのパーティ」はできなかったけれども、それはこれからすればいいわけで。
 僕はそう結論した。
 だから深夜にタクシーでひとり送られてきた昨日の出来事について、根掘り葉掘り聞いてくる母親との会話を強引に打ち切ってしまう。
 もし彼女とちゃんと会話していれば、メグ姉が残した言葉を聞いていただろう。
 そしてそれの意味に気付き、それを防ぐことができたかもしれない。

 メグ姉は僕の母親にこう言ったのだ。
 「俊之君によろしくお伝えください」と。

 あとになって知った。
 メグ姉は空港で体調不良を訴え、ひとりバンクーバーへは行かなかったことを。
 タクシーが走り出したのち、その目的地を自宅から別のところへ変更したことを。
 家族が旅行に行っているあいだ、メグ姉が滞在したのは高森家だった。
 そう、克也くんと真衣さんの住む邸宅だった。


 「青井……お前今日もデートかよ」できたばかりの友人は羨ましそうだった。
 「あの天野先輩とラブラブなんて……すごいよな」
 「これが幼馴染みのパワーですか」
 「かてきょーしてもらったときにダメ押ししたんだって?」
 
 冷やかしの声が増えてくるのに耐えかねて、僕は1-Fの教室を出る。
 入り口のところに待っていてくれたのはメグ姉。
 今年から生徒会書記を務めて高森真衣生徒会長を補佐することになった優等生。

 「トシ」頬を染めてメグ姉が囁いた。
 「ずっと傍にいてね」
 「ああ、ああ、ご褒美ください!メグにご褒美ください!」
 制服をもどかしく脱ぎ捨てて、ソックスだけになったメグ姉がお尻を高く持ち上げておねだりしていた。
 「なんのご褒美ですか?天野さん」
 ソファーに腰かけた真衣さんがメグ姉の頭を軽く踏んだ。
 でもメグ姉はぜんぜん抵抗しない。それどころかストッキングで包まれた真衣さんのつまさきを舐めはじめる。
 
 「今日もメグは俊之の恋人『役』を上手にできました!俊之の同級生に見せつけてやりましたし、あたしのクラスのコにも『お隣の年下の恋人』の話題を口にして呆れられちゃいました……」
 「知ってるわ。わたしもそこにいましたから」真衣さんはくすくす笑った。
「学校でも知らない人はいないでしょうね。天野恵美の恋人が誰か」
 僕は歯を食いしばる。
 
 「じゃあ聞くよ」
 メグ姉のまあるいお尻を撫で回しているのは克也くんだった。
 「恵美の本当の恋人は誰?」
 くるくる動かす指でお尻の穴を悪戯されていたメグ姉はうっとりした表情のまま叫ぶ。
 
 「メグには恋人はいません!メグにいるのは『御主人様』だけです!
 メグは克也さまのペニスの奴隷です!克也様のご命令ならどんなこともできてしまうペットです!
 克也さまにご褒美いただけるならどんなに心にもない相手でも、恋人みたいに振る舞えます!!」
 
 「いい子だね。メグ」
 その言葉とともにずぶりとメグ姉は克也さまのペニスに貫かれる。
 メグ姉の唇から歓喜の叫びがほとばしった。
 
 「ああ、ああ、これ、これだけ、これ……ああ、ああ、メグは、メグはとっても幸せです……」
 鮮烈な処女喪失と悪魔的な快楽で「刷り込み」がなされ、家族がバンクーバーへ旅行しているあいだ、
 僕がその帰りを待ちわびているあいだ、高森姉弟にその「刷り込み」を調教を完璧なものとされてしまったメグ姉はもう僕の知っているメグ姉ではなくなっていた。

 克也さまのペニスに貫かれることが幸福だと、その精液を孔という孔に注がれることが喜びだと信じて疑わない淫ペットに造り替えられてしまっていた。
 一二歳のときに弟の性奴に堕ちた真衣よりも下位のペットとして、姉弟に可愛がられることを心から望むようになっていた。
 そう、これは僕のせい。僕のせいなんだ。

 だから僕も「メグ姉の恋人」として振る舞い続ける。
 もし僕がメグ姉から離れたら、「ご褒美」をもらえなくなった彼女はきっと狂ってしまうだろうから。
 そう、これは彼女のため。
 
 恋人として振る舞うのは彼女のためなのだ。
 「ほら、メグ。キミの恋人にもサービスしてあげないと。欲求不満のままじゃ逃げられちゃうよ」
 「あ、ああ……ん。そんなの、そんなのやですぅ……」
 犬の姿勢で克也さまに腰を打ち付けられているメグは部屋の隅に立っている僕を見上げて唇を淫らに歪めた。
 「……トシ。御主人様の許可が下りたわ。さあ、メグ姉のお口を使ってもいいって」
 桜色の唇からにゅるりと舌がこぼれ、唾液がおとがいまでこぼれた。
 
 「御主人様のご命令……なんだから……ね。アンタの汚いザーメンを飲んであげる……のは」
 メグ姉の瞳には被虐の色が「御主人様の命令で、好きでもない男のペニスに奉仕させられる自分」への自己憐憫で濡れていた。
 でも僕はそさくさとズボンを下ろすとメグ姉の顔にペニスを近づける。
 臭いに眉をひそめつつも、メグ姉はちゅるりと僕を飲み込んだ。
 ああ、と僕は声を上げてしまう。メグ姉の舌遣いは信じられないほど気持ちいいのだから。
 
 メグを犯している克也さまが笑った。
 「くわえた瞬間、メグったら軽くイったよ。このマゾ先輩、もうすっかり出来上がってるね」と。
 メグ姉は悲痛な声を上げるけれど、お尻を叩かれながらピストン運動される彼女はとても幸せそうだった。

 そう。これは彼女のため。
 恋人として振る舞うのも、克也さまに命ぜられたとおりメグを悪戯するための道具として振る舞うのも。
 もし僕がメグ姉から離れたら、「ご褒美」をもらえなくなった彼女はきっと狂ってしまうだろうから。
 そう。これは彼女のためなのだ。
 
 決して……メグ姉のお口にしゃぶられるのがいいからじゃ……ない。
 メグ姉の手でしごいてもらえることがたまにあるからじゃ……ない。
 克也さまとの行為のあと、全身をザーメンと汗でどろどろになったメグ姉の身体をきれいにする名目で、シャワールームで悪戯できるからじゃ……ない。
 意識を取り戻したメグ姉に
 「だめよ、トシのそれじゃ……もうぜんぜんだめなんだから」
 と薄く笑われつつも、その締め付けのすばらしさをごくまれに味わえるからじゃ……ない。

 これは、彼女のためなのだ。
 メグ姉が克也さまのペットとしてあり続けるためなのだから。

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