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晴香と理沙 1

登場人物
宮野 晴香(みやの はるか):高校二年生。比較的おとなしい娘。2週間前に片思いの先輩に告白して、現在恋愛中。処女

秋元 浩次(あきもと こうじ):高校三年生。サッカー部所属の期待のエース。整った容姿と親しみやすい性格のおかげで女子のファンは多い。現在晴香と付き合っている。

高野 理沙(たかの りさ):高校二年生。晴香とは中学校時代からの親友。積極性にかける晴香を引っ張っていく良き友。理沙の後押しのおかげで晴香は浩次に告白できた。
-1-晴香
キーンコーンカーンコーン
授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、教室が一気に騒がしくなる。
購買へと走る男子、数人で連れ立って食堂に行く女子。
私は…
「晴香ー、今日のお昼は?」
鞄からお弁当の包みを取り出そうとしてたら、親友の声が降ってきた。
「ん、いつも通りお弁当。ちゃんと理沙の分もあるから。」
「秋元先輩の分も、でしょ?妬けるなーも0。」
理沙が、意地悪く笑いながら肘で突っついてくる。
理沙の言うことは当たってる。
私の分と、理沙の分と、秋元先輩の分。
お弁当の包みは全部で三つ。
「ほらほら、あたしのことはいいから先輩のトコ行ってきな。」
理沙が自分の分の包みを取って言う。
「うん…じゃあまた後でね。」
理沙に手を振って、教室を後にする。
私の手には二人分のお弁当の包み。
先輩のことを考えるだけで、嬉しい気持ちでいっぱいになる。

いつもどおりに、扉からちょこっと顔を覗かせて先輩を探す。
すぐに先輩は気がついて、私に近づいてくる。
いつもと同じ、先輩の優しい笑顔。
笑いかけられるだけで、胸がキュンとする。

今日は天気がよかったから、屋上のベンチで食べることにした。
他にも同じことを思った人が居たらしく、屋上には何人か生徒がいた。
先輩と食べるお昼ご飯。
先輩はいつも、おいしいよと言ってくれる。
そうして笑いかけられるだけで、私はお腹いっぱいになる気がするの。
だから、先輩にはいつも私の分のお弁当も食べてもらう。
私…今すごく幸せです。


-2-晴香
お昼休みも終わり、5時間目も通り過ぎて、本日最後の授業。
眠い目を擦りつつ、黒板に書かれたことを追う。
でもだんだんと瞼が下りてきて…
キーンコーンカーンコーン
突然響いたチャイムの音に、ビクリと肩を跳ねさせる。
そんな、いつもと同じ授業風景。
「晴香、ほら行こう?」
理沙が、中身の入ってなさそうな薄い鞄を担いで私の机に来る。
「うん、ちょっと待って…いいよ、行こう。」
理沙と二人で、サッカー部の練習を見に行くのもいつもどおり。
実は理沙も、秋元先輩のファン。
だから、私の告白を後押ししてくれたときはびっくりした。
「親友でしょ。」そう言って笑った理沙は、すごく頼もしく見えた。
「晴香晴香!秋元先輩のシュート入ったよ!」
「うん見た!…やっぱりかっこいいなぁ…」
そのまま練習が終わるまで、二人そろって秋元先輩に見とれてる。
これもやっぱりいつもどおり。
そして、練習が終わった秋元先輩と、三人で帰るのもいつもどおり。
私と理沙と先輩は家が比較的近い。

-3-晴香
先輩と二人並んで薄暗くなった通学路を歩く。
理沙は少し前の交差点で別れた。
他愛ない話をしながら歩いているうちに、私の家に着く。
「それじゃあ先輩…また明後日。」
明日は土曜日、学校はお休み。
明後日の日曜日は先輩と…その、デートの約束。
「ああ、またね。」
先輩が優しく笑って、私に唇を重ねる。
先輩のキスはすごく優しい。
目を閉じて受け入れると、先輩の唇がより強く感じられるような気がする。
「それじゃ、明後日。」
いつのまにか先輩の唇が離れていた。
歩いていく先輩の背中を、見えなくなるまで見つめてから家に入る。
明後日が楽しみだな…



4-晴香
日曜日。
精一杯のおしゃれをして、約束の駅前で先輩を待つ。
約束の時間まではまだ10分以上ある。ちょっと早く来すぎたかな…?
なんて考えてると、私の携帯が鳴った。
先輩からだ…なんだろう?
「はい、晴香です。」
「あ、宮野か?ゴメン、今日急用が入って行けなくなった。この埋め合わせはいつかするから…ホントにゴメンな?」
「はい…わかりました。絶対ですよ?」
ピ。
自然と溜息が漏れる。
頑張っておしゃれしたんだけどなぁ・・・
トボトボと一人で駅前を歩く。
「ねぇキミ一人?俺たちとオチャしない?おごるからさ0。」
…変な人たちに話しかけられた。
「遠慮しときます…」
「ねぇいいじゃんか0。俺たちのおごりだぜ?」
「嫌です…離してっ…」
男たちに囲まれ、腕をつかまれる。
やだ…怖い…助けて先輩…
「ちょっとアンタ達何やってんのっ!」
聞きなれた親友の声がする。
「え…あ…?」
突然怒鳴りつけてきた理沙に、男たちは驚いた顔をしていた。
「ほら行くよっ。」
理沙が私の手を引っ張って、男たちから引き剥がす。
「まったく…ああいうのに絡まれたら逃げろっていつも言ってるじゃない。」
呆れたように理沙が言う。
「だって…腕つかまれてたし…囲まれてたし・・・」
「だったら大声出すなりなんなりして誰かに助けを求めたらいいじゃない。」
「だって…恥かしいもん…」
理沙が頭を抱える。
「はぁ…まぁいいわ。あたしはこれから用事あるから、またあんなのにつかまる前に家に帰りなさい。」
「うん、そうする…」
理沙はいつもの笑顔で、駅前の人混みに消えていった。
…私も帰ろう。

-5-晴香
月曜日。
理沙が学校を休んだ。
先輩、3つもお弁当食べられるかな…?
そんな心配をしながら、先輩の教室に行く。
「今日は浩次休みだよ?」
先輩のクラスメートが教えてくれた。
いつも来る私のことを覚えてたみたい。
理沙も先輩も休みなんて…
だから、今日は一人でお昼ご飯。
中庭のベンチで、お弁当を開く。
…つまらないな。
元々少食の私は、お弁当も二人より小さい。
それでも今日は半分以上も残してしまった。
…二人ともどうしたんだろう?
先輩が居ないから、サッカー部の練習にも行かないで真直ぐ帰る。
一人で歩く通学路は、なんだかとても寂しかった。

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