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カウンセリング -3-

しばらくすると
「葵さん、どうぞ」
って応接間らしき部屋から男の人の声が聞こえてきた。
中にはいると、なんかリストラ食らったみたいな中年のおじさんが座っていた。
チビで禿でデブ、聡を100とすると、かわいげがある分考慮して7かな、
なんて値踏みしていると。
「どうぞ、そこにおかけください。」
ってテーブルを挟んだ椅子にあたしを促した。
椅子に座ると、いきなり
「葵さんでしたか。あなた同級生の彼氏と自分の関係で悩んでいる。
って相が顔に出てますね。」
ってかましてきた。
「美由紀先輩から聞いているんでしょ。
インチキ占い師の常套手段ですよね。」
あたしがいいかえすと、このおじさんは大きな声で笑いながら、
「いやー。さすがにこんな手じゃひっかからんか。すまんすまん。
美由紀くんから聞いていたが、ワシ好みの美人さんだ。
ぜったい先生、葵のこと好きになるって言ってたよ。
いやぁ惜しむらしくは服装がワシ好みじゃないな。」
って嫌らしそうな目で私を見てきた。
気持ちわるーいと思いながらも先輩の顔をたてないとって心の中で自分に言い聞かせた。
「受付の二人も先生の好みの服装を着させてるんですか」
って聞くと
「いやぁ、ワシは制服とか用意する金もないし仕事は私服でいいといったら
あの格好で毎日受付をしとる。」
「まさか出勤もあの服で…」
「まあ、まあ、あの二人の通勤の心配じゃなく君の悩みを占ってもらいに来たんじゃないのかい。
ワシはその辺の占い師と違って君の考えなんて手に取るようにわかるぞ。」
ってうやむやにされてしまった。
「そうだなぁ。例えばジャンケンなんかどうだろう。
ワシは君の目を見れば、次になんの手を出すかたちどころにわかる。
嘘だと思うなら試してみようか」
ってこっちの返事を待たずにいきなり肩を両手でわしづかみにして目を見つめてきた。
あまりの気持ち悪さと、怖さと、恥ずかしさで目をそらすと、
「目をそらすと、ワシの能力の証明にならん。ちゃんとワシの目を見なさい。」
って大きな声で耳元に叫んできた。
びっくってして思わずおじさんお目を見ると頭の中が真っ白になった。
あれ、あたし何するんだったけ、そうだジャンケンだ。
まさか催眠術とかじゃないよね、これって。
一分ぐらい見つめ合ってると
「よし、完璧によめたぞ。」
っておじさんがいって手をはなした。
「よーし、じゃんけんぽん。」
っておじさんがいきなり大きな声をかけてきたので思わず、
何も考えずにパーをだしてしまうと、当然おじさんはグー!。
「あ、あれー。はははは、やっぱり人の心を読んだりするのは不可能ってことが証明されたよ。
はははは、ご協力感謝、感謝。はははっは」
っておじさんが笑い出し、私も大きな声でつられて笑っていた。


「見てのとおり、君が悩みを話してくれないと、
ワシは君の心を読んだりできないからな。
もちろん占い師の看板を上げている以上、
最低限の占いを行う技術を持っているが、
それもこれも君が全てを話してくれたらなんだ。わかるね。」
笑いを辞めると、おじさんはきゅうにまじめな顔になってそう言った。
「話してもらう前に…」
「あたし、話すとも話さないとも言ってません」
ってあたしが言うと
「占いに来たんだよね。当然話さなきゃ。
まさかワシのインチキを暴きに来たんじゃないだろう。
占うつもりがないなら今日はこれで終わるがどうする」
って返してきた。
そうだあたし占いしてもらいに来てたんだ。
おじさんの風貌にだまされてたけど、
今日はあたしと聡がうまくいくようにはどうすればいいかってのを聞きに来たんだっけ。
そのためには 全て を話さなくちゃならない。
そんなことが頭で回り始めると
「話します。お願いします。」
って思わず口にしていた。
「で、話を元に戻すが。
いつもうちでは相談者にリラックスしてもらうためにお香をたきながら、
話をしてもらうんだ。
でも、最近はセクハラとかうるさくてね。
基本的には窓とドアはあっけ放しで行うが、
相談者が希望するなら窓を閉めるるがどうする。」
「相談内容が外に漏れたりしないんですか?」
「こんな一軒家で、庭は幸か不幸か雑草が生い茂ってる。
よっぽどの大きな声でも出さない限り。外にはもれんよ。」
「閉めたら、変なことするんじゃないでしょうね。」
「はははは、だから相談者に決めてもらう。
もちろん絶対に変なことするわけないが、
そうだな、おぬしに関しては閉めるのを望んだ場合
変なことをされるかもしれないってのを覚悟の上で行うってのはどうだ。
はははっは。」
「じゃあ、あけっぱなしで」
あたしも笑いながらそう答えた。
「ははははは、まあ、そうじゃろ。
ちなみに美由紀さんは今は全部閉めっぱなしで電気も消して占いをしているよ。
もちろん、変なことしてるかどうかは内緒じゃ」
「あははは、してるわけないんでしょ。」
あたしは、すっかりこのおじさんを信用してしまっていた、そう心の底から。

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「悩みを話すって言っても…、何からどう話せばいいんですか?」
柑橘類系のちょっと甘酸っぱい香りのお香が焚かれた部屋で
おじさんを前にどう話し始めればいいかわからずとまどっているとおじさんが
「美由紀くんに話したように、話してくれればいいよ。
そうだなー、まず深呼吸してワシの目を見ずにあごのあたりを見てみなさい。
人の目を見ると相手の心が見えてくる気になる代りに、
自分の心も見られてしまう気がする。
まずはあごのあたりを見て、
できればワシの存在を忘れて美由紀くんに話してるように話しなさい」
て、アドバイスをくれたので、
一回のびをして深呼吸してから目線をあごのあたりに落として、
聡との出会いっていうかはじめて言葉を交わした高校2年の始業式のことから話し始めた。
高2の夏休みに水泳で聡を見て格好いいと思ったこと、
修学旅行のこと、バレンタインデーのこと……。
全てって言われても、何を話したらよくって
何が話さなくてもいいことなのかわからないから、
あたしは聡との出会いからつきあうまでのことを事細かに話した。
おじさんは一つ一つ相づちしたりしながら真剣にきいているように見えるけど、
こんな雑談みたいなのろけ話面白いのかな?
さすがプロ、ポイントだけ聞いて後は流してるんだな、きっとそうだよ。


告白された日と次日の話までするとちょっと話し疲れて
「ふぅ、」
ってため息をついてしまった。
「疲れた?ちょっと休憩するかい」
っておじさんが声をかけて来てくれたので、
「いえ、先生の方こそ退屈じゃないんですか。
悩み相談なのに、こんなのろけ話」
っていうと
「いやいや、葵くんが思っていること全て話してくれた方がいいよ。
そのほうが占い、いやアドバイスの精度も増すっていうもんじゃ。
それに、ワシに話をすることで、自分自身も再確認できることになる。
まあ、これは昨日読んだ本の受けうりだがね。はははっは。」
って言ってくれたので、少しお茶を飲んでから話を再開することにした。
あれ、お茶、暖かい。
そんなに時間たってないのかな、今何時だろ。
聡とデートもあるし時計を確認しておこう。
かばん、かばんっと、そうか受付でかばんを預けたんだ。
「あのー、今何…」、
「さ、続きを聞かせてもらおうか」
「は、はい。その日の夜、早速彼の家にご飯を作りに行って…」
まあ、お茶も冷えてなかったし大丈夫だろう。
あたしは、話を続けた。


で、いよいよ本題の悩みのところか、
どこまで話したらいいんだろう?
ていうかこのおじさんに聡との何を相談するんだろう。
聡とエッチできないことを何でこのおじさんに話さなきゃいけないんだろう。
あれぇそうだよ、おじさんに聡とエッチなことしようとすると
変な絵が頭に浮かんできて拒否してしまう、どうしましょう。
なんて恥ずかしすぎて相談できるわけないじゃん。
美由紀先輩なんで、ここで相談すればいいなんてあたしにいったんだ?
「えーと…」
あたしが、話に詰まると、
「つきあった日にキスを拒否したのは驚いたり、
前の日のことを考えて拒否したと思っていたが、
その後もキスされそうになったりすると
小さいころ見たポルノ写真の絵が頭をよぎって拒絶してしまうんじゃろ」
っておじさんがいきなり核心をついてきた。
「え、み、美由紀先輩そんなことまで、先生にはなしたんですか。
ひっどいなぁ。信じらんない。
先輩のこと信用して話したのに、ひどーい、酷すぎる、ほんとにもう」
あたしは、怒りとおじさんに知られていることの恥ずかしさで頭の中が真っ白に
顔は真っ赤になりながら、まくし立てた。
「ははは、美由紀くんには後で抗議でも何でもするがいい。
ワシには関係のないことじゃ。
でも一つだけ、美由紀くんは葵くんのことを思えばこそ話をしてくれたんじゃよ。
葵は純情だから絶対ワシには話したがらないとも言っていた。
美由紀くんもここに初めて相談に来たころは、
人のことを気にする余裕などなかったのに、いや今でも他人への関心はうすい子じゃ。
ほんとに葵くんは美由紀くんに気に入られてるんだねぇ、
いや、愛されてんだねぇー。はははは」
とおじさんが美由紀先輩のことをフォローするので、
「でもでも、せ、先輩はどこまで先生に…」
って半泣きで聞くと、
おじさんはきゅうに真剣に
「美由紀くんが、どこまで話したのかは関係ない。
だが事実、君のことを話してくれた。
今、君にとって大事なことは、
ワシに知られたことを恥ずかしがることでも、
美由紀くんが裏切ったとか騒ぐことでもない。
君が今日ここに来た目的はなんだね」
ってあたしの目を見ながらちょっと甲高いよく通る声であたしに聞いてきた。
「あたしと同級生の彼氏の恋愛相談…」
びっくとしながら、消え入るような声で答えた。
「ワシは全部知ってるかもしれないし、
何も知らないかもしれない。
でもここまできたら全部話してみないかい?
美由紀くんは誰かにものすごく相談したいのに
内容からもできないんじゃないかなともいっていた。
ここまで来たんだ、思い切って話すがいい、さあ」


おじさんに言われると、だんだんあたしも落ち着いてきて
「そうですよね。聡とのことをよくするために 全て を話すって。
話します。もう開き直っちゃいました。
小学校6年の冬休み大掃除の手伝いで両親の寝室を…」
開き直って、おじさんに 全て を話すことにした。
もうこうなったら、恥のかきすて。それは旅のか。
「で、この一週間お互い気まずく。
なんとなくメールを交換し今日会う約束をしたんです」
「へー、なるほど。で、葵くんは、聡くんとエッチしたいの。」
「え、そ、そんなんじゃなくって…。もう、先生もわかるでしょ。
インチキでも占い師なんだから」
「はははっは、インチキか。まあ、話を続けよう。
一つ質問してもいいかい。その親父さんの写真集を見つけた時点では、
すでに葵くんは女の子だったのかい。まだ、子供だったのかい?」
「ど、どういう意味ですか。セクハラですよ。」
さすがに、あきれ果ててあたしが席を立とうとすると、
おじさんは間髪入れずこうつづけた。
「いや、言いたくなければ言う必要はないよ。
確かに、プライバシーの問題だし。
二十歳そこそこのお嬢さんには、デリカシーのない質問だ。
でも星占いを知ってるかい」


「バカにしてるんですか。知ってますよ、当たり前でしょ。
ちなみに今日の朝のテレビではあたしは12位、
最悪の奴に会うから注意しましょうでしたよ。」
って椅子に座り直して答えた。
「ああいうのって、ちゃんと占うには、実は誕生日だけでなく。
生まれた時間それも出来るだけ正確にわかる方が、精度が増すんだよね。
生まれた秒まで正確にわかれば、その人の死ぬ時間、
死因まで正確に計算することが可能になるんだ。
テレビでやってるように1年を12等分して、
だいたい自分がどこに属しているかで占うことも出来るが、
それじゃあ射手座はがんこ、天秤座は公平って程度で、ただの遊びだ。
ワシが何が言いたいかわかるよね」
なんか、おじさんの話を聞いていると、
怒りも引いてきて冷静になって来る自分を感じた。
「より、正確な情報を知る方がより的確なアドバイスをおくれるってことですよね。
でも、残念でした。
その時は、まだ子供でしたよ。
思春期特有の潔癖性と生理のストレスによるトラウマの増大。
そんなのおじさんに言われなくても、
今時、中学生の本にでも書いてあることですよ。
そんなことで、相談料とってるんですかぁ」
あたしは、ちょっと小馬鹿にした口調でおじさんにまくし立てた。
「おじさんかぁ、お兄さんじゃないよな確かに。
でも、中学生になってもまだ、子供だったんだ。ちょっと平均より遅いかなぁ」
あたしの話を聞いていないかのようにおじさんは、独り言をつぶやいた。
「誰も、中学生でまだとか言ってません。勝手に決めつけないで下さい」
てあたしが返すと、おじさんはすかさず
「初潮は、小学校6年時の冬ってことだね。はははっは」って大笑いした。
もう、あたしは顔を真っ赤にしながら苦笑いするしかなかった。

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